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右胸皮下乳腺全摘手術後6年 脇下に悪性しこりが再発

[管理番号:3660]
性別:女性
年齢:59歳
悪性と診断されたしこり(再発)についてご相談させていただきます。
年齢は59歳です。
右乳がんの皮下乳腺全摘手術(+同時再建)を
受けたのが2010年4月。
術後6年の2016年9月、半年に一度のエコー
でしこりが見つかり、細胞診の結果クラスVと診断されました。
しこりの位置は、右脇の下(胸との境目あたり)、センチネルリンパ節生検痕の横線から3cmぐらい下、インプラントの端から3cmほど右です。
エコーで見たしこりの大きさは6mm。
外側から簡単に触れる事ができ、肉眼で軽い膨らみが見えるほど皮膚に近い所にあります。
渡された細胞診報告書は「判定結果:Class V」「円柱上皮細胞+」「遊走細胞 好中球:a few」「赤血球: a few」「コメント: 核腫大し、核小体の目立つDuctal cellsが不規則な集塊で出現しています。
二相性はなく、配列も乱れています。
Ductal carcinomaを考えます。」以上。
ちなみに初発時2010年5月の「病理診断一次報告
書」には「IDC a3 18mm pN(2/2) ly1 NG1 3+ 3+ 0」とあります。
また「最終報告書」には 「ER(3+), PgR(3+), Her2タンパク
過剰発現なし,スコア0」とあり、サマリーには「IDC a3 22mm
pN1(1/1) 1/850/1」とあります。
(一時報告書から変更?)
同2010年6月に受けたオンコタイプDXスコアは19で、抗がん剤は受けずホルモン療法(フェマーラ)を2015年7月まで5年間続けました。
最近の14ヶ月は無治療で、半年に一度のエコーと年に一度のマンモを受けています。
2010年からの主治医が、○○病院から地方医大に移られたのが昨2015年。
同年7月に5年間のホルモン療法が終了したため、それを期に私も○○病院を離れました。
○○病院紹介の個人クリニックでの定期健診に切り替えたのが今年2016年3月ですので、2回目になる半年検診のエコーでしこりが発見されたことになります。
 私は、医師のコメントに一喜一憂するタイプではありませんが、検診クリニックの医師はカルテを全く読んでおらず、今回の再発を「以前と同じトリプルネガティブ」と言ったり、「再発したんだから、癌のタイプはだいたい前回と同じ」、「遠隔転移があれば、右脇のしこりを切っても延命に繋がらないから切らない。
でもそのうち匂ったりしたら、やはり切ることになる」など、不勉強かつ不安を煽るようなコメントを連発し不信感が募りました。
前回はもちろんですが、今回のしこりがトリプルネガティブ?という資料は共有されていないのですが….
細胞診の結果を待つ間の10日間、田澤先生のQAを拝見し、とてもクリアでシンプル、かつ親身なご説明に感心しました。
ここからがご質問ですが、
A)先生であれば、やはり局所療法=しこりの摘出手術と放射線照射を勧められますか。
B)6mm程度のしこり摘出の場合、先生であれば、手術時間及び入院期間はどのぐらいになりますか。
C)実は2013年4-5月に食道がん治療のため、リニアックの放射線照射60グレイ(+シスプラチン/5FU)を受けているので、放射線治療は二重照射になる可能性があります。
トモセラピーであれば、腋窩などに絞った照射も可能なのでしょうか。
D)出来れば先生にオペをお願いしたいと思いますが2-3ヶ月待ちとも伺います。
6ヶ月前のエコーで発見出来なかった6mmのしこりは、仮に3ヶ月待ちの場合、状態が進んでしまう可能性はないのでしょうか。
E)検査クリニックの医師曰く、○○病院でのNext Stepはおそらく、肺・骨などへの転移検査になるそうです(初発のときもそうでした)。
先生が考えられるNext
Stepはいかがなりますか。
A)でしょうか。
長くなりましたが、ご回答いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「遠隔転移があれば、右脇のしこりを切っても延命に繋がらないから切らない。でもそのうち匂ったりしたら、やはり切ることになる」
⇒そもそも「腋窩の局所再発」で遠隔転移のことを持ちだす必要はありません。
「不勉強かつ不安を煽るようなコメントを連発し不信感」
⇒この手の「局所再発と遠隔転移再発の区別ができない」医師には困ったものです。
 この手の医師のコメントを聞いていると我慢が出来なくなるのは私も一緒です。
 
 
「前回はもちろんですが、今回のしこりがトリプルネガティブ?という資料は共有されていないのですが….」
⇒そもそも前回のサブタイプはluminal でしたね。
「先生であれば、やはり局所療法=しこりの摘出手術と放射線照射を勧められますか。」
⇒その通りです。
 局所コントロールはとても重要なことです。
 局所再発の場合には「根治への扉」となるのです。
「6mm程度のしこり摘出の場合、先生であれば、手術時間及び入院期間はどのぐらいになりますか。」
⇒実際に診察してみないと不明ですが…
 皮膚直下の、「其の程度のしこり」であれば、「局麻でも可能」なのではないかと思います。
 手術時間は30分位でしょう。 その場合は「勿論、日帰り」です。
 ○全身麻酔であれば「2泊3日」となりますが、その必要はなさそうです。
「トモセラピーであれば、腋窩などに絞った照射も可能なのでしょうか。」
⇒食道がんでの照射とは照射野は被らないと思います。
「6ヶ月前のエコーで発見出来なかった6mmのしこり」
⇒6カ月前に「ゼロ」だった訳では勿論ありません。
 普通に考えれば「術後から存在していた腫瘍細胞」が「フェマーラ終了」してから、「ゆっくり増大」していったと考えます。(つまり、急速に増大しているわけではないでしょう)
「仮に3ヶ月待ちの場合、状態が進んでしまう可能性はないのでしょうか。」
⇒殆ど増大しないと思います。
「○○○でのNext Stepはおそらく、肺・骨などへの転移検査になるそうです(初発のときもそうでした)。先生が考えられるNext Stepはいかがなりますか。」
⇒勿論、全身検索は念の為しておくべきだと思います。
 ただし、(それとは無関係に)局所治療(手術)の予定をたてるべきです。
○私が危惧するのは、「局所再発と遠隔転移再発を混同した、その手の医師」が「再発は延命だから、局所療法は意味がない」とか「サブタイプが○○だから、(手術ではなく)まずは抗ガン剤をします」とか、おかしな事を言いださないかという事です。