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しこりのない乳房と脇の下の痛み

[管理番号:438]
性別:女性
年齢:51歳
こんにちは。
私は3年前、乳ガンで右側を全摘しました。現在は3カ月に一度乳腺科を受診しています。ステージ1のリンパ節転移なしでした。
1月末より健側の左の乳房と脇のリンパのあたりが痛くなり、次の受診が4月末だったので待てず2月末に受診しました。
しこりは感じないが熱いような痛みがあると話しましたら、その日にマンモグラフィーとエコーの検査を受け、一週間後に異常なしとつげられました。元々石灰化がありましたが、前年と比べても変化なしとの事。
乳ガンは痛くないから大丈夫と言われました。
その後も痛みは変わらず、痛いところを触っていると肋骨も痛い感じがして、3月末にまた受診して、骨シンチグラムの検査をお願いしました。
とても不安だと言うと原因は、よくわからないが乳腺症か乳ガンをやった人には良くあることで痛み止めを出すくらいしか治療はない、それでも不安なら、メンタルヘルス科を紹介しますとのことでした。
4月末に骨シンチグラムも異常なしでした。
痛みと同時に乳輪の赤みの話しをしたら、大丈夫ですよと言われました。
昨日、乳首脇の乳輪のなかに1㎝くらいのできものを見つけ、乳首もずっと痛いので不安でいっぱいです。が、何度も受診してるし、ガン以外は診てくださらない雰囲気です。
しこりのない乳ガンではないかという事が1番の不安です。
これ以上の検査はあるのか、このまま放置していいのか、また受診したら、メンタルヘルス科を勧められるかと思うと受診するのも不快です。
どうしたら良いのかわからなくて悩んでいます。
どうかアドバイスをよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「術後の対側の痛み」と「乳輪にできた1cmのしこり」ですね。

回答

「昨日、乳首脇の乳輪のなかに1㎝くらいのできものを見つけ、乳首もずっと痛いので不安でいっぱい」
⇒受診した方がいいと思います。
 この「1cmのしこり」が何なのか?
 きちんと診察してもらってください。
 
「しこりのない乳ガンではないかという事が1番の不安です」
⇒2月末に「マンモグラフィーで石灰化もチェックしているので」しこりのない乳癌として可能性があるのは「乳頭部にできるパジェット」位です。
 
「これ以上の検査はあるのか、このまま放置していいのか」
⇒「超音波」で「乳輪部の1cmのしこり」を診てもらえばOKです。
 
◎超音波で「きっちり診てもらい」不安を無くす事が重要です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
お忙しい中、ご返答ありがとうございました。
私は3年前の4月、6月、8月と温存、温存、全摘の三回の手術をしました。4月は6ミリの浸潤癌、病理検査で乳管内進展像が散見され、6月に0期の非浸潤癌の手術、その後の病理検査でさらに拡がりがあったので、8月に全摘しました。
乳管内の0期の癌はマンモやエコーではわからないんだなと思いました。
そんな訳で健側の乳房と脇の下の痛みがあると、不安になります。かれこれ4か月痛みはおさまらず、以前より少し強くなっています。
数日前に見つけた乳輪の1センチくらいのできものが仮になかった場合、マンモ等で異常がなかった場合、痛みの原因は、わからないものなのでしょうか?
乳腺症ですか?と聞いても、わからないけど、乳癌経験者にはよくある事ですと言われ、病名とか原因がわかれば不安は解消されると思うのですが…。
そういうものなのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 詳細に「ご自身の手術歴」を教えていただき、ありがとうございます。
 「しこりのない乳ガンではないかという事が1番の不安」という前回のコメントの真意が解りました。

回答

「乳管内の0期の癌はマンモやエコーではわからないんだなと思いました。」
⇒石灰化や、(単孔性)乳頭分泌などのサインが無い限りは解りません。
 
 【(臨床医から見た)癌細胞の一生】
①癌細胞が乳管内にうまれる
②癌細胞が乳管内で増殖
 (この段階で癌細胞が一部壊死をすると石灰化が生じる:この場合マンモグラフィーで『石灰化が指摘される』)
 (この段階で癌細胞から分泌があると『単孔性分泌を自覚する』)
 ♯但し、「石灰化や単孔性分泌」の原因が『癌だけではない』ことには注意が必要です。
③癌細胞が乳管内で更に増殖、乳管内に留まってはいるがエコーで『腫瘤非形成性病変』や『極めて小さい腫瘤』としての所見
 ♯「腫瘤非形成性病変」はトップページの「腫瘤非形成性病変」のタブを参照してください。
④癌細胞が浸潤して「しこり」を形成(自覚なし)
⑤癌細胞が浸潤して「しこり」を形成(自覚あり)
 大雑把なイメージとしてはこのように①から⑤のようにすすみます。
 ①を診断する事は『現代の医学では不可能』であり、「映画の中の世界」です。
 質問者が言っているのは②の段階だと思いますが、『(回答にも示した様に)石灰化や単孔性分泌が無い限りはこの段階では診断不能』です。
★やはりできる事は「マンモグラフィーでの石灰化のチェック」と「超音波での腫瘤非形成性病変」や小腫瘤のチェック」です。
 
「マンモ等で異常がなかった場合、痛みの原因は、わからないものなのでしょうか?」
⇒確定するのは難しいです。
 状況から「○○だと思います」と言う事は可能です。(少なくとも癌が原因かは解ります。 上記①や②の段階で症状が出る事は決して無いのです)
◎質問者は「3年前にⅠ期で手術」をされている。
 サブタイプが「luminal type」であれば、当然「内分泌療法」をやっているでしょう。(年齢からするとノルバデックスでしょうか?」であれば、
 ○「ノルバデックスによる乳腺の刺激症状」でも説明はつきます。
 ○また「51歳という年齢からは(もしもホルモン療法をしていないとしても)卵巣機能が不安定となり、エストロゲンによる乳腺の刺激による痛み=これを乳腺症といいます」かもしれません。
★はっきりと「○○が原因です」とは言えませんが、「(マンモグラフィーや超音波できちんと確認した上で)上記2つの内のどちらかである」と説明はつきます。
 
「病名とか原因がわかれば不安は解消されると思うのですが…。そういうものなのでしょうか?」
⇒(上記のように)「ノルバデックスによる乳腺の刺激症状」もしくは「エストロゲンによる乳腺の刺激症状」で十分説明がつきます。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

丁寧な回答をありがとうございました。
田澤先生のQ&Aは本当にすばらしいです。
こんなにも不安に思う患者の心に寄り添って下さる医師がいらっしゃるんだなと感動しました。
自分が乳ガンについてあまりに勉強不足だということにも気付き反省しました。
どうかこの乳ガンブログをずっと続けてほしいです。
本当にありがとうございました。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 過分な「感想」ありがとうございます。
 私ができることは、「確実な情報を自分の経験で皆様に還元」することです。
 これからも、何かありましたらご質問ください。