[管理番号:4428]
性別:女性
年齢:30歳
田澤先生、はじめまして!
胸のしこりに気づいてからこちらのサイトをよく読んでいたのですが、
過去のQ&Aと自分の検査結果を一つ一つ照らし合わせての判断が本当に正しいのかわから
ず、田澤先生のご意見が聞けるととても心強いと思い、思い切ってご連絡いたしました。
検査結果をネットの情報を頼りに読み解こうとしたのですが、単語はわかっても結局どのくらいの危険度なのかがわかりませんでした。
間違った情報を鵜呑みにしてしまうのも怖いので、きちんとした先生にご意見をお伺いしたく思います。
いろいろと関連書籍やこちらのサイトを拝見していますが、自分がどんな状況・段階にいるのか把握しきれておりません。
お忙しいところ大変恐れ入りますが、手助けいただけないでしょうか?
もし以前に出ている質問と類似のものばかりでしたら申し訳ございません。
以下の6点についてお伺いできたらうれしく思います。
①これまでの検査とバネ式針生検の検査報告書の田澤先生の見解をお伺いしたいです。
自分で調べる限り、主治医の先生がおっしゃるほど安心できるものではない気がするのですが、素人なのでよくわかりませんでした。
■主治医からお聞きしたこと
・若いから少し心配していたけどそこまで悪いものではなかったので一安心
・胸の形もほとんど変わらず残せる、日帰り手術で大丈夫
・先生のエコーでの見立てだとリンパ節転移はまずないと思うが、MRIで別の方がWチェックしたほうはリンパ節転移疑いありだったとのこと
・MRIで乳頭に向かって白くつながっているものが見えるが、分泌物だろうとのこと
・手術後の治療はどうなりますかと尋ねたところ、放射線はやったほうがいいが、やらなくてもいいとのこと(働きながら通うのが大変なため)
・抗がん剤やホルモン治療などのことには具体的には触れられませんでしたが、仕事をしながらでも可能とだけお伺いしました。
■病理組織報告書から自分で調べたこと
・硬癌(悪性度高い)の要素が多く充実腺管癌の要素が少ない浸潤性乳管癌(悪性)であり乳管内進展も伴っている
・がんは乳腺外脂肪に及んでいる
・リンパ管に侵襲している恐れあり、静脈への侵襲はこの検査では見られなかった
・腫瘍間質は硬癌悪性腫瘍に見られるものが多い?
・核や細胞の悪性度はグレード1(やや低め?)
・P-63(-),とCK5/6(-)は腫瘍マーカーの結果であるらしい?
・P-63(-):筋上皮細胞(核)マーカーが陰性→浸潤性乳がんの疑いあり
・CK5/6(-)→腫瘍細胞である
・癌巣が浸潤性の増殖を示し、周囲組織との境界が不明瞭である(あまりよろしくない?)
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【病理組織報告書】
[臨床的診断]
右乳癌
[病理組織診断]
adequate:invasive ductal carcinoma
scirrhous (2a3>2a2), malignant
[病理組織所見]
検体は2個採取され,core needle biopsy による採取検体です。
ともに浸潤癌を認めます。
核クロマチンの濃染を示す不整形核と好酸性の細胞質を持った carcinoma cells が
繊維性間質内に索状あるいは小型細胞胞巣を形成し増殖しています。
invasive ductal carcinoma, scirrhous (2a3>2a2) に組織分類しました。
P-63(-), CK5/6(-)
組織学的波及度:f
腫瘍間質:scirrhous 浸潤様式:INFc
脈管侵襲:1y1, v0 乳管内進展:(+)
組織学的悪性度(SBR):管腔形成2, 核異型2,核分裂数1, grade1
(取扱い規約):核異型2, 核分裂数1, grade1
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【検査の経緯】
(1)初診(エコー、MRI)
・自分でしこりに気づいて受診
・エコーの結果癌を疑う2cmくらいのしこりありで、その日の内に予約が取れたのでMRIを撮りました。
・この時点ですでにほとんど胸は変わらずに残せそうだから安心してねとおっしゃっていたので、主治医の中ではほぼがんで確定だったような印象を受けました。
(2)MRIの結果報告と針生検
・3日後にMRIの結果を聞きにいったところ、しこりに血流があってがんの可能性が高い画像である旨お伺いしました。
・その日のうちにバネ式針生検を受けました。
針生検の際の痛みはなくいただいた痛み止めも飲まずに済みました。
・後で調べてみるとMRIで悪性か良性かわかる、がんの広がり具合もわかるらしいと知りましたが特にそういったお話はありませんでした。
(3)針生検と血液検査
・針生検の2週間後に検査結果報告がありました。
・「残念ながらがんでした。
でも若いから少し心配してたけどそんなに悪いものじゃなかったから大丈夫」とのこと。
・乳輪に沿って切開できて胸の形はほとんど変わらないようにできる、日帰り手術で大丈夫、とのこと
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田澤先生のように数値などから理論的な説明があるものと思っていたので、ちょっと拍子抜けです。
安心させようとして下さってるのかもしれませんが、本当にお任せしてよいのか逆に少々不安が残りました。
とはいえ何をどう聞けばのかも分からず…(聞くことリストを作っていったのに患者力が低くうまく聞けませんでした汗)
(3)の日は言われるまま採血をして帰ってきてしまいました。
少し考えたり、病理検査の結果をじっくり見たかったので日帰り手術の予約は後日電話で入れることになっています。
一度聞きたいことをまとめて分からないことを相談するためにクリニックを受診してもよいものか迷っています。
②田澤先生ならばどのような治療を提案されるでしょうか?まだ治療方針を決められる段階ではないのでしょうか?
③針生検でサブタイプやグレードを伝えていただけると思っていたのですが、自分から聞かないと教えていただけないものでしょうか?
リンパ節の転移、遠隔転移の有無が不明なのでまだわからないのかなとも考えております。
④今回行った血液検査の目的はなんでしょうか?手術に使う麻酔などの適正確認のため、もしくは転移の有無の確認でしょうか?
治療明細には梅毒血清反応やHBs抗原定性、HCV抗体定性などの文字列が見られました。
⑤しこり、がんの正確な大きさを知れるのは手術で患部を取り出した後でしょうか?
細かい数字に意味はないかもしれませんが気になってしまいます汗
⑥田澤先生ならばセカンドオピニオンを勧めますでしょうか?
主治医の先生にすごく不信感があるわけではないのですが、本当にこれでいいのか、
初めてのことに漠然とした不安があります。
とはいえセカンドオピニオンを受けても結果はあまり変わらないような気がしています。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「①これまでの検査とバネ式針生検の検査報告書の田澤先生の見解」
⇒物事はシンプルに考えましょう。
術前に必要な検査は「以下の3つだけ」です。
1.エコー
2.針生検
3.MRI(拡がり診断⇒術式決定)
そして上記から
cT1c(20mm)cN0 リンパ節はいずれにせよ「センチネルリンパ節生検」で調べるべきなので、画像でこれ以上追及する必要は全くありません。
MRIでは限局 担当医のコメントからは、そのように読み取れます。だから「温存術を勧められている」わけです。
サブタイプ 針生検の結果は遅れて(通常2週間程度)出てきます。
♯ただし、術後治療法決定のためにあるので、術前に不明であっても支障はありません。
「②田澤先生ならばどのような治療を提案されるでしょうか?」
⇒温存術です。
術後放射線は温存術なら必須です。
♯全身治療はサブタイプが判明したら、それに応じて決めます。
「③針生検でサブタイプやグレードを伝えていただけると思っていた」
⇒サブタイプは「これから」出るのかもしれません。
グレードは1です。(核異型2+核分裂1 総合で核グレード1)
(参考に)
「核グレード」は「核異型の点数」+「核分裂の点数」です。
核異型 弱い:1点
中間:2点
強い:3点
核分裂 5個未満(10視野で):1点
5~10個 〃 :2点
11個以上 〃 :3点
核グレード(NG) 核異型の点数+核分裂の点数
2点、3点 :核グレード1
4点 ;核グレード2
5点、6点 :核グレード3
「リンパ節の転移、遠隔転移の有無が不明なのでまだわからないのかな」
⇒「リンパ節転移の有無」は画像所見でこれ以上追及する必要がありません。(術中センチネルリンパ節生検を行うのです)
「遠隔転移」はありません。
♯30歳では絶対に「無用な被爆(CTやPET)を避けるようにする」ことが肝要です。
「④今回行った血液検査の目的はなんでしょうか?」
⇒全麻術前検査にすぎません。
「しこり、がんの正確な大きさを知れるのは手術で患部を取り出した後でしょうか?」
⇒その通りです。
術前には「画像診断」に基づいた評価をしますが、術後は「病理組織検査結果」にも届いた評価をするのです。
「田澤先生ならばセカンドオピニオンを勧めますでしょうか? 主治医の先生にすごく不信感があるわけではないのですが、本当にこれでいいのか、初めてのことに漠然とした不安」
⇒「温存なのに放射線は要らない」ような発言が気になります。
また「センチネルリンパ節生検を行う」のかも要確認です。
上記のような点で不安が残るのであれば、セカンドオピニオンもいいと思います。