[管理番号:4344]
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生、こんにちは。
乳がんが発覚してから、田澤先生のコラムやQ&Aを拝見して勉強させていただいてます。
ちょうどコラムの「腋窩リンパ節腫大」の内容が
私自身とても気になっていたことなので、質問させてください。
11月に健康診断でひっかかり(8月に自分でしこりに気がついていました)、
12月末に精密検査をしました。
その結果、今現在分かっている(知らされている)事は
《エコー・マンモ・MRI》
右胸のしこり:35×25mm(広範な壊死を伴っている)
右腋窩リンパ節に5個の腫れ、一番大きなものは22×12
(すべて楕円形で真っ黒なものでした)
左腋窩リンパ節には正常な形のリンパ1個
鎖骨の辺りにも怪しい形の影が1個
《バコラ生検》
浸潤がん
ER:陰性
PgR:陰性
Ki-67:70ー80%程度
グレード3
遠隔転移はなし
1回目の胸からの針生検は「壊死部分から採取してしまったのでは?」
とのことでがん細胞が検出されず
2回目の針生検は脇のリンパから採取したものの、がん細胞が検出されず
3回目の胸からのバコラ生検でがん確定となり、上記の検査結果が出ています。
さらに詳しい結果はこれからです。
1週間後にセンチネルリンパ節生検+全摘の手術が予定されています。
この状態ならガイドラインを読むと、
センチネル生検はやらずに腋窩リンパ節郭清と思っていたのですが、
腋窩リンパ節からがん細胞が発見されなかったことで、
(リンパ節の細胞は確認されているから、きちんと採取できているとのこと)
転移がない可能性もあると期待していいのでしょうか?
それとも私ができればリンパ節郭清はしたくないと希望しているので、
納得させるための検査でしょうか?
ちなみにアトピーの診断はありませんが、耳の中や周りが30年以上痒く、
常に荒れています。
頭皮も5年くらい痒く改善されていません。
転移があるかないかで、ステージや予後が大きく変わってくるので、
とても気になっています。
どうぞ、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
しばしばコメントしていますが…
なかなか他の医師の手技の精度を予測することは困難です。
特に細胞診は(日頃、自分でエコーしないような乳腺外科医にとっては)ハードルが高いものであり、(癌であっても)クラス3しか出せないことを(このQandAでも)しばしば目にします。
とすると、今回気になるのは
「右腋窩リンパ節に5個の腫れ、一番大きなものは22×12(すべて楕円形で真っ黒なものでした)」
「2回目の針生検は脇のリンパから採取したものの、がん細胞が検出されず」
⇒(通常、腋窩を針生検することは)危険なので、これは「細胞診」ですよね?
22mmのリンパ節を外す事は無い」と信じたいところですが…
「腋窩リンパ節からがん細胞が発見されなかったことで転移がない可能性もあると期待していいのでしょうか?」
⇒「2相性がない」22mmのリンパ節は、「転移疑い」と画像診断せざるをえないでしょう。(実際に見ていないので、断言はできません)
ただし、「細胞診で陰性と出ている(精度は不明ですが…)以上」やはり「センチネルリンパ節生検すべき」です。
「納得させるための検査でしょうか?」
⇒そんなことはありません。
担当医は「自らの細胞診の正しさ」を信じれば、尚の事「センチネルリンパ節生検すべき」と言えます。
「転移があるかないかで、ステージや予後が大きく変わってくるので、とても気になっています。」
⇒22mmあれば、誤ったセンチネルリンパ節生検になる可能性は殆どないので、その意味では結果を受け入れる事が肝要です。