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左胸のしこり

[管理番号:4202]
性別:女性
年齢:37歳
田澤先生、初めまして。
私は37歳で、8歳と1歳10ヶ月の2児の母親です。
左胸のしこりについて質問させてください。
昨年11月中旬、入浴中に左胸にピンポン玉のようなしこりを見つけました。
2015年2月に第2子を出産したときから、同じ場所にコリコリしたものがありましたが、助産師さんから「ここに母乳が溜まっているから、
よくマッサージして飲ませてください」と言われていたのもあり、しこりという認識はありませんでした。
昨年10月末に卒乳するまで、母乳が溜まりやすいと思い込み、特に気にならずにきてしまいました。
卒乳してから半月経過して、乳房も柔らかくなったときに始めてしこりだったことに気づきました。
そのときもまだ卒乳のケアが不十分だったのかと思いましたが、検診も受けたことがなかったので不安になり、病院を探し受診することにしました。
12月に乳腺専門のクリニックを受診、経過を話し、その日は問診、触診、エコーをしました。
先生より「しこりは3センチあります。
感じは良性のものだと思うけど、似たような腫瘍もある。
マンモグラフィーをして、どうするかまた相談しましょう」と言われ、その日は終わりました。
今年の1月(上旬)日(昨日)にマンモグラフィーを予約していたので検査をし、先生から再度、「しこりは3センチ。
線維腺腫か葉状腫瘍です。
線維腺腫なら取らない人もいるけど、葉状腫瘍なら取らないといけない。
違いを判断するのは取って検査をしないとわかりません。
大きくなるスピードの違いもあるので、3カ月様子を見ます。
もし1カ月でも自分で触って大きくなるようならすぐにきてください。」と説明され、4月初めにエコーと診察の予約をとり帰宅しました。
先生にお聞きしたいことですが、
取らないと判断できないというのはいろいろなところにも書いてあるのでわかりますが、3カ月様子を見るのはなぜでしょうか。
緊急性がないということでしょうか。
このまま次回の4月の受診まで待っていても問題はないでしょうか。
また、3センチの大きさなら局所麻酔での部分切除になるんでしょうか。
葉状腫瘍だった場合は、初めの切除が大事だということですが、受ける病院によって今後が変わってくると思うと不安でたまりません。
このサイトを読んでいると本当にそう感じています。
葉状腫瘍の可能性も高いでしょうか。
診察時には、質問することができず、今になり、取ってくださいと言わないといけなかったんじゃないか、本当に大丈夫なのかどうか不安になってきてしまいました。
長々と書いてしまいましたが、どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「しこりは3センチ。線維腺腫か葉状腫瘍」
「線維腺腫なら取らない人もいるけど、葉状腫瘍なら取らないといけない。」

⇒ここまでは「正しい認識」と言えます。
ただし、
「違いを判断するのは取って検査をしないとわかりません。大きくなるスピードの違いもあるので、3カ月様子を見ます。」
⇒これに関しては…
 勿論「経過観察」もひとつの手段ではありますが、常識的には「組織診すべき」と思います。
 たしかに、線維腺腫も葉状腫瘍もどちらもfibroepithelial tumorとして(サンプリング検査にすぎない)「針生検では確定診断とはなりません」が…
 以下の理由で(経過観察するなら)最低限「組織検査すべき」と思います。
 ①癌出ない事の確認(これは100%できます)
  勿論、画像診断で「癌では無い」と確信をもっているとは思いますが…
  万が一「3cmの腫瘍」で経過観察していて、「実は癌だった」では済まされないからです。(可能性は低いとは思います)
 ②「線維腺腫」「良性葉状腫瘍」「境界悪性葉状腫瘍」「悪性葉状腫瘍」をピンポイントで当てることはできないかもしれませんが、おおよそは解ります。
  つまり、A「線維腺腫」とかB「線維腺腫もしくは良性葉状腫瘍」とかC「境界悪性以上の葉状腫瘍」とかです。(実際のレポートでも、そのような感じになります)
  ⇒Aなら必ずしも切除は不要(ただし、3cmの線維腺腫は実際のところ相対的手術適応であることが一般的)
   Bは「手術を検討すべき」だし、Cなら「絶対的な手術適応(しかも、急ぐ)」という判断に繋がるからです。
「3カ月様子を見るのはなぜでしょうか。緊急性がないということでしょうか。」
⇒上記①「癌では無い、おそらく悪性葉状腫瘍でもない」という自信(それであれば、緊急性はありません)があるのだと思います。
 「3カ月様子をみる」のは「成長速度で(線維腺腫なのか葉状腫瘍なのか)館別する」ためには、最低「3カ月程度は必要」だからです。
「このまま次回の4月の受診まで待っていても問題はないでしょうか。」
⇒担当医の判断ではおそらく「線維腺腫もしくは良性葉状腫瘍」であり、少なくとも
「境界悪性以上の葉状腫瘍や癌ではない」となっていると思います。
 実際に、そうであれば、3カ月の経過観察(4月の受診)でも問題はありません。
「また、3センチの大きさなら局所麻酔での部分切除になるんでしょうか。」
⇒これは2つの要素が影響します。
 1.マージンをどうするか?
  きちんとしたマージンを(3cmの腫瘍で)つけるには「局麻は厳しい」と思います。
 2.腫瘍の(乳腺内での)深さ
  乳腺の浅い部分に突出しているものは「取り易い」し、逆に「乳腺の奥深くにある」場合には、(小さくても)局麻で摘出することは困難となります。
「葉状腫瘍の可能性も高いでしょうか。」
⇒検診歴が無いし、画像を見ていないので「全く判断」できません。
 ただ、担当医の反応からは「境界悪性以上の葉状腫瘍では無さそう」と考えます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

管理番号4202 左胸のしこり
2度目の質問です。
田澤先生、こんにちは。
前回はお忙しい中、返答していただきありがとうございました。
大変感謝しております。
先生の回答と主治医の説明を私なりに整理し、あれから3カ月、落ち着いて過ごすことができました。
4月末に再診だったため、同クリニックに診察に行ってきました。
主治医によるエコー検査では、しこりは5ミリ大きくなっていました。
説明では、「3カ月で5ミリ大きくなっています。3センチを超えてきたし、大きくなってきているから取ったほうがいい。
あと2カ月だけ様子を見て取る方向にしましょう。
大きさから局所麻酔は無理、しこりから少し大きめに取るので全身麻酔になります。」
ということでした。
針生検は、この場合は結局はっきりしない、手術で取って検査しないとわからないと。
次回受診は、触っていて大きくなってないようなら6月末の予定です。
手術は1センチのマージンという具体的な数字はありませんでしたが、少し大きめにとるという説明はありました。
乳腺専門のクリニックですが、手術のときは総合病院の手術室で、先生が執刀してくださるそうです。
質問ですが、
①3カ月で5ミリ大きくなるというのは早いほうでしょうか?
線維腺腫でもこのぐらいのペースで大きくなるんでしょうか?
また葉状腫瘍だった場合、3センチというのは大きい方なんでしょうか?
②生検をしないまま手術というのはあまりないことでしょうか?手術で取り除く場合でもしてもらうようにお願いしたほうがいいのでしょうか?
③このあいまいな場合、マージンは1センチでも十分なんでしょうか?
これまで自己検診では大きさの変化はわかりませんでしたが、最近は初めのピンポン玉より大きくなっているのを感じています。
田澤先生に手術をお願いしたい気持ちですが、子どもも小さく(関西)在住ということ、また線維腺腫の可能性もあるため悩んでいます。
長々と書いてしまい申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「①3カ月で5ミリ大きくなるというのは早いほうでしょうか?線維腺腫でもこのぐらいのペースで大きくなるんでしょうか?」
⇒早いとは思いますが、37歳であれば「線維腺腫でも(このスピードは)矛盾しません。
「また葉状腫瘍だった場合、3センチというのは大きい方なんでしょうか?」
⇒大きい方ではありません。
 (もしも葉状腫瘍でも)「確実に根治できる大きさ」と言えます。
  私の感覚では 5cm以上となると「葉状腫瘍らしい」大きさという印象があります。(あくまでも経験上)
「②生検をしないまま手術というのはあまりないことでしょうか?手術で取り除く場合でもしてもらうようにお願いしたほうがいいのでしょうか?」
⇒全麻でマージンを付けるのであれば問題ないとは思います。
「③このあいまいな場合、マージンは1センチでも十分なんでしょうか?」
⇒画像所見次第ですが…
 せっかく「全身麻酔」なわけだから、もう少しきちんとしたマージン(2cm)できるわけです。
 そうすれば(万が一葉状腫瘍でも)必要十分と言えます。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

左胸のしこり
性別:女性
年齢:37歳
管理番号4202 左胸のしこり
田澤先生、こんにちは。
毎回、丁寧にお答えいただき有り難く思っています。
6月(下旬)日に再診してきました。
前回診察のときは、大きくなっているから手術の方向でと言われていましたが、今回はエコーで大きさに変化がなかったため(37㎜×32?㎜大)、手術の話は出ず、また3ヶ月後にきてくださいということで経過観察になりました。
私から手術してほしいと言おうかと何度も考えましたが、ここで手術をする決心がつかず結局言えませんでした。
しこりが見つかってから約半年、少しずつこの乳がんプラザを読ませていただいています。
子どもも小さく、費用もかかるため、東京までは今の私には遠く感じますが、万が一、葉状腫瘍だったときのことを思うと、お願いできるのなら田澤先生に手術をしていただきたいです。
良性のしこりかもしれませんが、先生に手術をお願いすることは可能でしょうか?
また紹介状はなくても受診できますか?(今の主治医が少し話しにくいのもあり、言いにくいです。)
もしお願いできるのであれば、手術は早くていつ頃になりそうでしょうか?
また予約はどのように取らせていただいたらいいでしょうか?
今週のコラムで術前術後は一回ずつ受診すればいいようですが、私の場合も同じでしょうか?
このしこりが見つかってから、なんとなくモヤモヤした気持ちが消えません。
主人もとても心配しており、田澤先生に手術をしてもらえるのならそれが一番だと、早く東京に行ってきてほしいと背中を押してくれています。
私も手術をしてはっきり診断がついてほしいと思います。
お忙しい中恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
37mmの腫瘍なら経過観察は勧めません。
摘出すべきです。(たとえ線維腺腫でも、その方が安全です。)
「もしお願いできるのであれば、手術は早くていつ頃になりそうでしょうか?」
⇒9月中にはできそうです。

「また予約はどのように取らせていただいたらいいでしょうか?」

⇒秘書メールで大丈夫です。
「今週のコラムで術前術後は一回ずつ受診すればいいようですが、私の場合も同じでしょうか?」
⇒その通りです。
 秘書メールすれば…
 事前に段取りをつけて
 「全身麻酔の検査⇒診察⇒説明同意書⇒入院案内」これを1日で行います。
術後は(勿論)病理結果の日だけです。

秘書室へメールは、
各ページの右上にある 「秘書室へメール」からご相談ください。
もしくは、こちらのリンクをクリックしてください。

 
 
 
 

 

質問者様から 【質問4 脇のしこり】

性別:女性
年齢:38歳
田澤先生、ご無沙汰しております。
昨年9月に手術をしていただいたものです。
(カルテID ○○ 関西在住)
その節は大変お世話になりました。
先生に手術していただいたおかげで、その後も特に何も心配や不安もなく、忙しくも穏やかに生活できており、本当に感謝しております。
大変恐縮ですが、今回は度々ご回答されている脇のしこりで質問させていただきたいのです。
脇のしこりの回答は以前から読ませていただいておりますが、大丈夫なのか心配になってしまいました。
数日前、なんとなく左脇下に違和感があり触ってみると、ビー玉以上、
巨峰弱ぐらいの大きさの丸くてコロコロ動くしこりを見つけてしまいました。
腕を上げて少し押すと触れる感じで、部位は先生が記載されている②番かそれよりやや下?あたりです。
脇のくぼみの下あたりで皮膚にくっついている感じはありません。
触っていると少し痛みますが、しこりに気付くまでは特に痛みを感じたことはありません。
手術した左胸に自己検診でしこりはありません。
右胸にもしこりはありません。
術後、まだ一年たっていないので市の検診も受けていません。
数日前から疲労と風邪気味で体調を崩していたためそのせいでしょうか?
胸にしこりがないので心配のないものでしょうか?
手術をしたことと関係はあるのでしょうか?
ホルモンの影響でしょうか?
脇のしこり②の部位は受診したほうがよいと書かれていましたが、一度受診が必要でしょうか?
安心して過ごしていたのに、しこりを見つけてしまい不安になってしまいました。
手術をしていただいた先生のご意見を伺いたく質問させていただきました。
お忙しい中このような質問で申し訳ございません。
ご回答いただけたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
まず、質問者は葉状腫瘍なので、それとリンパ節を関連付ける必要は全くありません。
ご安心を。
「数日前から疲労と風邪気味で体調を崩していたためそのせいでしょううか?」
⇒関係なさそうです。
「胸にしこりがないので心配のないものでしょうか?」
⇒その通りです。
「手術をしたことと関係はあるのでしょうか?」
⇒対側なので無関係です。
「ホルモンの影響でしょうか?」
⇒その可能性が一番高そうです。(年齢的にいって、卵巣が不安定となり副乳が硬くなったりするので)
「脇のしこり②の部位は受診したほうがよいと書かれていましたが、一度受診が必要でしょうか?」
⇒経過をみましょう。
 皆さん「②の部位なので心配!」と受診しますが…
 私が診察したところは、其のほとんどは「ただの副乳」です。
★脇のシコリは(気になるのでしょうが)実際は「ただの副乳が殆ど」です。
 まずは自己検診を継続することをお勧めします。
 大事なことは…
 「凄く心配」という場合には勿論、すぐに病院受診してもいいですが、「これは、
たぶん違うよな?でも…」程度の時には「自己検診の継続」をお勧めします。(結局、病院受診するにしても、自己検診を継続することで「(今後のための)学習になる」のです)