[管理番号:403]
性別:女性
年齢:48歳
初めて質問させていただきます。
今年2月、市の乳がん検診(乳房エコー)で、左AのDCISs/o、右Cの腫瘤指摘ありとの事で、3月に総合病院にて針生検・バコラ生検・CT・MRI検査を受けました。
検査結果は、左乳腺Vacora生検3本:Mucocele-like lesionで悪性の可能性を除外できない。検体適正。鑑別困難。
右乳腺Vacora生検3本:浸潤性乳管癌(a1)の所見。核グレード1。免疫染色の結果は、ER:陽性、PgR:陽性、HER2:1+、Ki-67:約28%で陽性。
右腋窩リンパ節:判定不能(3回)。
CT、MRIでは転移なしでした。
右側のしこりは2cm位の浸潤性乳管癌と確定診断が下されましたが、左側と、右側リンパのしこりはグレーのままです(画像では明らかに異型だそうです)。
今後の治療方針として、右側の温存手術をする際に、左側のグレーゾーンも一緒に取って、リンパ節もレベル1(ここにあるそうです)の部分を切除する事を提案されました。
ただ、左側もエコー上では2cm位で広範囲の切除になるため、形が崩れるから全摘にして、バランスもあるので右も全摘+再建ということも・・・と。
まだグレーの段階で両乳、リンパを全部取ってしまうのは納得いかず、セカンドオピニオンを受けました。
そちらでは最小限の切除での治療を希望したところ、左は細胞検査できるだけの最小限に、右の癌は部分切除、リンパ節も切除という提案でした。
それでも納得がいかず明日、最後にもう1度セカンドオピニオンに行きます。
悪いものは早く治療したいです。
でも、正常かもしれない部分まで切除することに躊躇してしまいます。
このような3箇所のしこりを抱えた場合、今後どのように治療をするのが最善でしょうか。
長文すみません。もし、先生のご意見が伺えたらと思い、質問させていただきました。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
状況は解りました。
どう考えても最初の病院の方針は乱暴だと思います。
私の意見を述べさせてもらいます。
回答(私の意見)
「左側もエコー上では2cm位で広範囲の切除になるため、形が崩れるから全摘」
⇒これは全く賛成できません。
術前の「癌の確定診断無しで」乳房切除は全く問題外です。
「リンパ節もレベル1(ここにあるそうです)の部分を切除する事を提案」
⇒これにも賛成できません。
「細胞診で陰性(担当医の細胞診技術に問題があるのかもしれませんが)」である以上、「(最初から)腋窩郭清は過剰侵襲」です。
私であれば、「センチネルリンパ節生検」を行い、そこで(術中、センチネルリンパ節に転移が見つかれば)腋窩郭清を追加します。
「今後どのように治療をするのが最善でしょうか。」
⇒私であれば(全く迷うことなく)以下のように勧めます。
右乳房温存術+センチネルリンパ節生検
(同時に)左乳腺部分切除(外科的生検) 2cmの腫瘍は完全に切除します。その上で「どの位のマージンをつけるか?」は患者さんと相談の上決めます。
※癌を想定して「マージンをつけておくか?」良性であった際に(勿体なくないように)「マージンをつけず最小限の切除にするか?」患者さんの希望に合わせます。
◎左の「Mucocele-like lesion」は(外科的生検による)最終診断で「癌となる可能性」があり当然、同時に切除すべきです。
針生検(マンモトーム生検を含む)では何度やっても確定診断にたどりつくのは困難なのです。