[管理番号:2589]
性別:女性
年齢:50歳
3月(上旬)日に右乳がんと診断されました。
しこりの大きさは2.7センチです。
3/(下旬)に手術をしますが、ステージを確定する各種検査は3/(中旬)に行われます。
現在、しこり痛、しこりの延長線上(9時の方向)の背中に筋肉痛、時には軽い鈍痛があります。
右手足の先のしびれ(特に朝)ががん告知される少し前からあり、骨転移ではないかと大変不安です。
もともと更年期障害もあり、手足のしびれ、こわばりはありましたが…
検査してステージ結果を待つしかないのですが、
しこりの硬さから、硬がん?ではないか、ステージも転移が既に発生していて4ではないかと…
先生のご意見をお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「右手足の先のしびれ(特に朝)ががん告知される少し前からあり、骨転移ではないかと大変不安です。」
⇒骨転移ではありません。
「しこりの硬さから、硬がん?ではないか」
⇒触診から「組織型」を推定する事はできません。
何故なら、「触診での硬さ」には「癌そのものの硬さ」というよりも、「癌のある深さ(皮膚に近いのか、乳腺の奥のほうなのか)」などの要素の方が大きいからです。
○また、「硬癌」を特別扱いする必要は全くありません。
♯ネットか何かで「硬癌が悪い癌」のように記載してあるとしたら、完全に無視してください。
「ステージも転移が既に発生していて4ではないかと…」
⇒ありえません。
質問者様から 【質問2】
以前、質問させていただいた者です。
術前のMRIや骨シンチなどで、他臓器転移はなく、ステージ2aということで、3日程前に一部切除の手術(右)をしました。
しこりの大きさは2.5センチでしたが、しこりの位置が比較的外側にあり、このしこりの位置なら全摘しなくていいとのDr.の強い判断で一部切除でした。
センチネルリンパ生検で1箇所のリンパ節転移がわかり、リンパ節郭清しました。
つまり、ステージ2bということでしょうか?
現在はリハビリ中ですが、両鎖骨上の痛み、右手の痺れ、喉の奥の違和感など心配なことばかりです。
Dr.は病理検査結果が出てから、外来の時に今後の治療についてお話しましょうとしか言われません。
リンパ節転移していたこと、鎖骨などにも転移しているのではないかなど、とても不安です。
先生のご経験上、おわかりになることをすべて教えていただきたいです。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
まず、「いろいろな転移」から頭をきりかえましょう。
乳癌で(再発ではなく)初期治療の段階で「遠隔転移」することなど、かなり特殊な
ことなのです。
「術前のMRIや骨シンチなどで、他臓器転移はなく」
⇒当たり前です。
そもそも骨シンチなど「全く無用な検査」です。
「今週のコラム 6回目 無駄どころか有害なのです」を是非、ご参照ください。
「センチネルリンパ生検で1箇所のリンパ節転移がわかり、リンパ節郭清しました。
つまり、ステージ2bということでしょうか?」
⇒その通りです。
「現在はリハビリ中ですが、両鎖骨上の痛み、右手の痺れ、喉の奥の違和感など心配」
⇒前回、回答したように「転移ではありません」
しかも(無駄とはいえ)骨シンチで確認しているのだから、「転移から頭を話しましょう」
「リンパ節転移していたこと、鎖骨などにも転移しているのではないかなど、とても不安」
⇒何故不安なのか、理解できません。
骨シンチをして「骨転移が無い」ことがわかっているのだから、「鎖骨転移の心配」はナンセンスです。
「先生のご経験上、おわかりになることをすべて教えていただきたいです。」
⇒私のように、数多くの乳癌患者さんを診察していると、(初発治療の段階で)「遠隔転移の心配など、ナンセンス」だということを実感しています。
質問者様から 【質問3】
以前にも2度質問させていただいております。
病理診断結果 についてお聞きしたいと思います。
右乳がんで温存手術を3月末に終えました。
充実腺管がん
腫瘍の大きさ ?1.8センチ(浸潤径)
リンパ節転移 ?2個(15個中)
脈管侵襲 ?リンパ管あり
腫瘍の悪性度 ?グレード3
Ki67指数 ?30%以上
ホルモン感受性
ER ?陽性
PgR ?陰性
HER2 ?陰性1+
ルミナールB?タイプ
手術は乳房温存しましたので、まずは放射線治療をし、抗がん剤治療、ホルモン療法と順に進めていきます。
何よりも悪性度が高いグレード3に分類されたこと、予後もあまり良くない充実腺管癌であったことがショックで、再発、転移の可能性、確率などとても心配です。
再発や転移の確率、抗がん剤治療の際の進め方など、先生の見解をお聞きできますか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
pT1c(18mm), pN1, luminal, NG3
「Ki67≧30」となると、「luminalB相当」と考えるべきでしょう。
「手術は乳房温存しましたので、まずは放射線治療をし、抗がん剤治療、ホルモン療
法と順に進めていきます。」
⇒通常は、「抗ガン剤」⇒「放射線」です。(ホルモン療法は併用でも可)
「何よりも悪性度が高いグレード3に分類されたこと、予後もあまり良くない充実腺管癌であったことがショック」
⇒考え過ぎです。
「再発や転移の確率」
⇒ホルモン療法+化学療法で10年再発率は「23%」となります。
「抗がん剤治療の際の進め方」
⇒TC療法です。
「ルミナールBでの化学療法はTC」だと思います。