Site Overlay

乳がんの後の同じ胸に出来た「しこり」について

[管理番号:1887]
性別:女性
年齢:52歳
こんにちは。初めまして。
2年前に、左胸が乳がんになりました(髄様がん)。
初期のため、温存手術をし、抗がん剤と放射線治療をしました。
(ホルモン剤は、体質的に非該当)。
ちなみに、リンパまでは行ってなかったです。
その後、3か月に1度の血液検査(腫瘍マーカー含む)と、年に1度のPET-CT検査、マンモと超音波検査をしています。
昨年は異常なしでした。
今年の11月の検査で、血液検査、PET-CT、マンモは
異常なかったのですが、超音波検査で左胸にしこり(6mm)が
見つかりましたので、局部麻酔をして、太めの針で、生検をしました。
結果が出るまで2週間かかると言われました。
結果を待つ間、とても不安です。
そこで教えていただきたいのですが、
①この場合のしこりは「良性」の場合もあるのでしょうか?
先生は、昨年まで画像にうつっていなかったので、悪性の可能性が
高いでしょう。とおっしゃっていました。
再発と考えた方がいいのでしょうか?
もちろん、結果が出れば分かる事なのですが、心の準備をしておきたいと思っています。
②また、再発だとした場合は、全摘するのが最善の方法なのでしょうか?
小さいから他にも方法があるのでしょうか?
良性の場合は、様子を見る形でよろしいのでしょうか?
③また、再度、抗がん剤を使う事になるのでしょうか?(前回と同じもの?)
前回は、初期だけれど、私のがんは、顔つきが悪いものなので、抗がん剤が必要と言われました。
抗がん剤は、副作用が大きいので、できれば使いたくないのですが、
必要であれば仕方ないと思っております。生きるためですので。
④参考までにお聞きしたいのですが、PET-CTは、ごく初期のがんでも見つかるという事を聞いていたのですが、
PET-CTで異常なしでも、超音波で がんが見つかることはあるのでしょうか?
どうぞよろしくご回答のほど、お願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
髄様癌ですね。
もともと特殊型の「予後良好群」としてかつては(2013 St. Gallenまではリンパ節転移が無ければ化学療法の対象にならないと言われていました)
ただ、現在の乳癌学会のガイドラインでは(アポクリン癌などと共に)「通常の組織型(乳管癌)と同様の扱いをする」ことになっています。
とは、言え「やはり予後良好群」です。
「顔つきが悪いものなので、抗がん剤が必要」とありますが、髄様癌であれば「トリプルネガティブ」であるのが当たり前なので「顔つきが悪い」と言うコメントはやや奇異に感じます。
年に1回のPET検査は「過剰検査」だと思います。

回答

「この場合のしこりは「良性」の場合もあるのでしょうか?先生は、昨年まで画像にうつっていなかったので、悪性の可能性が高いでしょう。とおっしゃっていました。再発と考えた方がいいのでしょうか?」
⇒「悪性の可能性が高そう」です。
 ただ、私はそのしこりを「直接みているわけではない」
 理由は2つ
①年齢的に、「新しいしこりができる時には、悪性を疑う」
②実際に(その画像を見ているであろう)担当医が「悪性の可能性が高いでしょう」と言っている。
 
「また、再発だとした場合は、全摘するのが最善の方法なのでしょうか?」
⇒その通りです。
 何故なら「術後の放射線がかけられない」からです。
 ♯放射線は「同じ部位には2度とはかけられない」のです。
 
「小さいから他にも方法があるのでしょうか?」
⇒「他の方法」とは「再温存」ですが、「術後照射ができない以上、最善とはいえません」
 
「良性の場合は、様子を見る形でよろしいのでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「また、再度、抗がん剤を使う事になるのでしょうか?」
⇒純粋な局所再発ならば、「抗がん剤は不要」に思います。
 あくまでも「局所治療が主体」となります。
 局所療法とは、この場合(放射線照射後なので)「手術のみ」となります。
 
「PET-CTで異常なしでも、超音波で がんが見つかることはあるのでしょうか?」
⇒PETで「5mmの癌」が見つかる可能性がありますが、あくまでも「見つかる可能
性がある」というだけです。
 病変の検出力では「超音波の方が上」のことも多いです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、早速のご回答、ありがとうございました。
先生の回答を拝見して、随分と気持ちの整理がつき、感謝しております。
悪性の場合は、局所療法として、全摘をすればいいという事がよく分かりました。
さて、内容で、一部、再確認させていただきたく、メールします。
お忙しいと思いますが、よろしくお願いします。
抗がん剤を再度、使うかどうかの質問で、
⇒純粋な局所再発ならば、「抗がん剤は不要」に思います。
と書いてあり、この、「純粋な局所再発」というのは、具体的にどういう事なのか、教えていただけますでしょうか?
逆に言えば、どういうものであれば、抗がん剤は必要になるのでしょうか?
リンパまで行ってしまっている場合とか、そういう事でしょうか?
 
最初の方の文面を拝読しますと、私が手術をした2013年までは、髄様がんは、りンパ節に転移がなければ、化学療法の対象にならなかったんですね。
私が化学療法を受けたのは、「顔つきが悪い」からという説明は、「奇異に感じる」と書かれていますが、顔つきは関係なかった?のでしょうか。
化学療法を受けた事自体は、間違いではなかったのですよね?
今更の話で恐縮ですが。。
「髄様がん」は、トリプルネガティブは当たり前という話も全然なくて、初めて知りました。そうだったのですね。
あと、年に1回のPET検査は、私の場合は必要ないのでしょうか?
転移の有無を調べるには、どのくらいの頻度で受ければいいものなのでしょうか?安心感のためにやっている所があるのですが。
よろしくお願いいたします。
なお、先生のメッセージで、
髄様がんが、予後が良いがんの種類と聞き、少し安心いたしました。
ありがとうございます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
『「純粋な局所再発」というのは、具体的にどういう事なのか、教えていただけますでしょうか?』
⇒乳房内再発です。
 乳房内再発には「手術時の取り残し」や「全く別個に新たにできた癌」のどちらかが考えられますが、そのどちらでも「手術で全摘」するだけでいいと思います。
  
 ただし、「全く別個にできた癌(サブタイプが異なる」場合には「そのサブタイプに応じた治療」(もしかしたら抗がん剤)の追加がありえます。
 
「逆に言えば、どういうものであれば、抗がん剤は必要になるのでしょうか?」
⇒「全身転移の一環」としての「局所再発」です。(皮膚転移とか)
 ただし、質問者は「PETで陰性」だから、当てはまらないと思います。
 
「リンパまで行ってしまっている場合とか、そういう事でしょうか?」
⇒手術時の取り残しであれば、やはり「局所療法」です。
 
「化学療法を受けた事自体は、間違いではなかったのですよね?今更の話で恐縮ですが」
⇒「特殊型」として「リンパ節転移が無かった」のを考慮すると「化学療法の適応は
必ずしもない」と思います。
 
「年に1回のPET検査は、私の場合は必要ないのでしょうか?」
⇒必要ありません。
 画像診断として「術後に定期的に行うべき」ものは「マンモグラフィーのみ」となります。
 
「転移の有無を調べるには、どのくらいの頻度で受ければいいものなのでしょうか?」
⇒定期的な視触診と「1年に1回のマンモ」が推奨されています。
 その他には「腫瘍マーカー」くらいでしょう。