[管理番号:3176]
性別:女性
年齢:34歳
初めまして。
お忙しいところ失礼いたします。
先月検診を受け、マンモ検査で左乳房石灰化像 カテゴリー3
要精密検査の結果でした。
触診異常なし
超音波 異常なし
検診後、左乳房の石灰化近くに1cmのしこりと痛みを感じていたため、
先日乳腺外科を受診しました。
そこでマンモ検査でも石灰化の点が散在していることから、
乳腺症と乳癌が半々の確率。
乳癌だとしても非浸潤がんだろうと伺いました。
良性、悪性の見分けがつかないため、
早急にマンモトーム検査を行って確定診断するようにと、紹介状を書いて頂きました。
触診はしこりが触れるところ以外は異常なしだったようです。
エコーでは、技師の方と医師が一緒に念入りに検査して頂きましたが、
しこりは確認できませんでした。
病院から帰宅後、左の脇の付け根のはり、痛み、圧迫感、左腕のだるさ、左胸の痛み、首の痛み、微熱があります。
また、乳房の乳腺が左だけ張っている気がします。
乳腺の腫れなのか、上記1cmのしこりとは別に乳腺に沿って
小さいやわらかいしこりがいくつもあるように感じます。
マンモ検査の画像では、非浸潤がんだと伺いましたが、
本当にそうなのか、すでに転移しているのではと気が気ではありません。
乳癌の場合、エコーで1cmのしこりがみえないことがあるのでしょうか。
また、石灰化している範囲は左胸上部ですが、箇所が小さいやわらかいしこりを作り、もしくはしこりを作らず、他の場所に転移するようなことはあるのでしょうか?
早々に紹介して頂いた病院を予約しましたが、
マンモトーム検査まで時間があるためとても心配です。
このような症状に関して、
ご意見をお聞かせ頂ければ有難く存じます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
皆さんに共通のことですが、「いろいろな症状を結び付けたがる」傾向があります。
(無理からぬことですが…)
「エコーでは、技師の方と医師が一緒に念入りに検査して頂きましたが、しこりは確
認できませんでした」とあるのだから、「信じてあげましょう」
「病院から帰宅後、左の脇の付け根のはり、痛み、圧迫感、左腕のだるさ、左胸の痛み、首の痛み、微熱があります。」
⇒1000%無関係です。
ご安心を。
「また、乳房の乳腺が左だけ張っている気がします。」
⇒無関係です。
「乳腺の腫れなのか、上記1cmのしこりとは別に乳腺に沿って小さいやわらかいしこりがいくつもあるように感じます。」
⇒「エコーも触診もしている」のだから、余計な心配は止めましょう。
「本当にそうなのか、すでに転移しているのではと気が気ではありません。」
⇒心配する気持ちも解らないでもありませんが…
全くあり得ないことです。
「乳癌の場合、エコーで1cmのしこりがみえないことがあるのでしょうか。」
⇒ありません。
信じてあげてください。
「箇所が小さいやわらかいしこりを作り、もしくはしこりを作らず、他の場所に転移するようなことはあるのでしょうか?」
⇒1000%ありません。
「おかしな想像」をするのは「今すぐ」止めましょう。
そもそも「乳癌」は「乳腺内に転移」などしません。
○いろいろな不安があるのは解りますが…
どれも「的外れ」な想像です。
事実は「良悪の鑑別が必要な石灰化」があるだけで、「エコーでは検出できない=もしも癌だとしても非浸潤癌」だと思います。
「転移の心配」は全くの杞憂です。
質問者様から 【質問2】
田澤先生
お忙しいにも関わらず、
先日は丁寧に回答下さりありがとうございました。
昨日マンモトームの結果が出て、
結果、乳腺症ということでした。
今後の対応について、恐れ入りますがご相談させて下さい。
マンモトームを受けた病院にて、
事前にエコーをして念入りに確認して頂いたところ、
左乳房の石灰化近くに5mmのしこりがあることが分かりました。
(紹介前の病院のエコーでしこりは確認できませんでしたが、
自分では1cmぐらいのしこりを自覚していました。)
また、リンパへの影響はなさそうとのことでした。
マンモグラフィーの結果は、石灰化が散在と区域性の中間あたりだそうです。
さらに、MRIの結果、左乳房の造影剤のグラフが時間とともに上昇し、
下降していたため、
(右乳房の方は上昇し、さらに上昇)悪性の疑いがかなり高いと言われていました。
マンモトームを受ける際に、しこりも取って調べてくれますか?
と放射線医師に確認したところ、石灰化の場所と若干違うため、
今回は石灰化を中心にサンプリングすると仰っていました。
マンモトームによる血の塊なのか、固くなっているところがあります
が、まだ若干しこりがあるような気がします。
マンモトームのサンプル5本に石灰化は取れており病理で問題がなかっ
たこと、ただし、すべての石灰化は取れていないため、
今後は経過観察で3ケ月後に検診を行うべきだが、
もし心配であるならば、外科的生検を行いますと伺いました。
MRIのグラフでかなり疑わしい結果となった場合でも乳腺症ということはあるのでしょうか?
マンモームの結果で乳腺症となった場合でも、
外科的生検で悪性となる場合もありますでしょうか?
不安な気持ちのまま、経過観察をするのは精神的にとても辛いため、
外科的生検も検討したいと考えているのですが、
もし悪性の場合、外科的生検をすることで播種するリスクについても知人から話を聞いて不安になっております。
田澤先生であれば、経過観察と外科的生検のどちらを推奨されますでしょうか?
先生のご経験からご意見をお聞かせ頂ければ有難く存じます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
石灰化に関しては、「マンモトームのサンプル5本に石灰化は取れており」であれば問題はありません。
「ただし、すべての石灰化は取れていないため、今後は経過観察で3ケ月後に検診を行うべき」
⇒これには全く反対です。
確定診断でなければ「ステレオガイド下マンモトームの意味」がありません。
しかも「3カ月で石灰化が変化する」筈がありません。
「だが、もし心配であるならば、外科的生検を行いますと伺いました。」
⇒これは、その「5mmのしこり」のことですね?
外科的生検は不要です。
マンモトームでもバネ式針生検でも「容易に診断」がつきます。
「MRIのグラフでかなり疑わしい結果となった場合でも乳腺症ということはあるのでしょうか?」
⇒あります。
MRIは診断には用いるべきではありません。
「マンモームの結果で乳腺症となった場合でも、外科的生検で悪性となる場合もありますでしょうか?」
⇒石灰化部分であればないでしょう。(もしも、そんな事があれば)ステレオガイド下マンモトーム生検が無意味となってしまいます。そんな事は私の経験上ありません。
ただ、「5mmのしこり」は石灰化と無関係ならば、それを調べる(組織診で十分ですが)ことは問題ありません。
「田澤先生であれば、経過観察と外科的生検のどちらを推奨されますでしょうか?」
⇒シンプルな話しです。
「石灰化」は(ステレオガイド下マンモトームにより)解決済み
「5mmのしこり」は(外科的生検ではなく)「バネ式やマンモトームで十分」です。