[管理番号:5076]
性別:女性
年齢:37歳
こんにちは。
初めて質問させて頂きます。
2017年1月の健康診断で左乳腺石灰化で要精密検査となり、総合病院を受診。
追加で超音波をとり、マンモグラフィーとの画像を見ていただき、マンモに極極小さな(画像を拡大してやっと見えるようでした)石灰化の集まり(7個くらい)があり、半年後に再受診との事でした。
半年後、再度マンモをとりやはり石灰化が見られ、また半年後と言われました。
先生いわく、癌の可能性を疑うよりも石灰化が消える事もあるからその為の経過観察とあっさり言われました。
私としては、それでももし癌だったら、、と思うと半年間不安で不安で仕方ありません。
思い切って「石灰化が何なのかハッキリさせる方法はないのでしょうか?」と聞いた所、ムッとした(信用されてないと思われたのかもしれません)顔で、ボールペンの先を見せて「マンモで挟みながらこの太さよりももっと太い針をさす方法ならありますよ。それでもやりますか?」と半分脅すかのように言われました。
私が黙っていると「もし希望でしたら、ここではできないので紹介状を書きますけど。」と言われ、とりあえず半年後の予約だけ取り帰宅しました。
石灰化について何の知識もなく経過観察しかないのか、、と悩んでいた時にこちらの乳がんプラザで「石灰化で悩んでいませんか」「本当に経過観察でよいのですか」ということはを見つけ、まさに今の自分だ!と思いメールさせて頂きました。
この先生はなぜ経過観察を進めるのでしょうか?石灰化が小さすぎる為でしょうか?小さいから良性という事なのでしょうか?
田澤先生にセカンドオピニオンをお願いする事はできますか?
また、マンモトームを受けられる条件や、こういう人は受けない方が良いなどありますか?
お忙しいとは思いますが、ご意見お聞かせ頂けたら助かります。
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
内容は了解しました。
私がこのメールを読んでいて(解り易い)「Key sentence」は(担当医のいう)『マンモで挟みながらこの太さよりももっと太い針をさす方法ならありますよ。それでもやりますか?』ですね。
今回はこれが全てを表現しています。
私自身は(その医師のいう、ボールペンより太い針で検査する)「ST-MMT」を始めたのは2005年1月でした。(それから少なくとも年間100例以上はやっているので2000例位にはなっています。)
2005年導入当時は、「針の太さ」に驚き、出血に対して(当然)心配し(いろいろな)対策をたてていました。
(今では細いと感じる)「バネ式針生検」も(それまで細胞診しかしていなかった)
導入当初は「こんな太い針刺して大丈夫?出血しないの?」みたいな不安を感じていたものでした。
幸い、私自身は「極めて積極的に、組織診を推奨する立場(「良く解らないから経過観察しましょう」ではなく、「良く解らないのだから組織診して白黒つけましょう」ということ)」だったので、(その後導入された)「超音波ガイド下マンモトーム」の太い針にも慣れています。
○何が言いたいかというと…
私自身の感覚では「太い針を刺して、診断を加速させる」ことは極めて当たり前に思えるのですが、(冒頭の文章の医師のように)『太い針を刺すのは怖い』と感じている医師は実は多いのです。
私から見れば「頼りないくらい細く見えるバネ式針生検」さえ、怖くてできない
「開業クリニック医」が存在することは、このQandAをみればすぐに解ります。
★(医師に限らず)人は(自分の経験を超えて)「想像を働かせる事が難しい」のです。
(ST-MMTも超音波ガイド下マンモトームも極めて日常的である)私と、(ST-MMTをした事が無い)その医師では、「ST-MMTに対するハードルが異なる」ことは言うまでもありませんよね??
「この先生はなぜ経過観察を進めるのでしょうか?」
⇒冒頭の文章を読んでもらえば、解りましたよね?
明らかに(その医師自身にとって)「ステレオガイド下マンモトーム生検に対するハードルが高い」のです。
その医師にとっては(早期で発見するよりも)「(その医師にとっての)危ない橋は渡らない」方が優先しているようです。
♯勿論、その場合には「紹介しなくてはならない=紹介先で(この位で紹介するなよ!忙しいんだから)と非難されるリスクも存在する」という問題もあるのでしょう。
「石灰化が小さすぎる為でしょうか?」
⇒(癌だとしても)「まだ、今なら大事にいたらない」という(最低限の)安心感はあるのでしょう。
「小さいから良性という事なのでしょうか?」
⇒全く違います。
「田澤先生にセカンドオピニオンをお願いする事はできますか?」
⇒勿論できます。
「また、マンモトームを受けられる条件や、こういう人は受けない方が良いなどありますか?」
⇒そんなものはありません。
(それを経験した事がない医師が心配するような)「危険な検査では無い」のです。
○ただし、「困難症例」はあります。(滅多にありませんが…)
是非『今週のコラム 77回目 針は「枠」にしか刺せないのです。』『今週のコラム 78回目 この間、何回も引っ張られたりして大変な思いをした患者さんですが、得られたのも(我々ではなく)「患者さんの勝利」なのです。』をご参照ください。