[管理番号:2117]
性別:女性
年齢:51歳
8年前健康診断で左側乳腺腫瘤疑いの判定、マンモグラフィーと超音波の検査を受け異常なし、以後毎年マンモグラフィーを受けて来ましたが1年前に左乳腺石灰化と診断されマンモグラフィーと超音波の検査を受け経過観察となり、今年6月に再び検査、石灰部分の大きさに変化無しなので大丈夫だと思うが念のため半年後にもう1度検査を勧められ今月初めに検査しました。
超音波で血流が見られると言われバコラ生検をし、結果を聞きに行きましたがグレーなので更に検討中、結果は年明けと言われました。
不安で毎日眠れません。
今時点の検査報告書で先生が判断できる事がありましたら是非教えていただけませんでしょうか?
所見 1.バコラ生検組織4本 Mastopathyが見られる。
usual ductal
hyperplasia, cystic change, sclerosing adenosis などが見られる。
2.バコラ生検査標本4本 4本すべてに小葉の異型増生像が見られLCISを疑わせる。
小葉内には異型上皮が充満し、腔は見られない。
また2本には乳管の増生像が見られ部分的にatypicalとなっている。
免疫染色を行いさらに検討する。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「今時点の検査報告書で先生が判断できる事がありましたら是非教えていただけませんでしょうか?」
「4本すべてに小葉の異型増生像が見られLCISを疑わせる。小葉内には異型上皮が充満し、腔は見られない。」
「また2本には乳管の増生像が見られ部分的にatypicalとなっている。免疫染色を行いさらに検討」
⇒「LCIS」はリスク病変という位置づけであり、実際に「atypicalな乳管増生=ductal hyperplasia=atypical ductal hyperplasia:ADH」が疑われています。
最終的に①鑑別困難(indeterminate):epithelial atypia(異型上皮)を伴うLCIS」となるか②乳癌疑い(suspicious of malignancy):ADHとなるか③乳癌:DCISとなるかです。
③は「(早期)癌」の診断となりますから「治療が必要」となり、
②であっても「病変の切除は必須」と私は考えます。
トップページの「ADH」や「ADH」の中の「鑑別困難とADH」を参照してください。
①の場合の取り扱いは施設による温度差がありますが、私なら「病変全体の摘出」を勧めます。