[管理番号:5893]
性別:女性
年齢:55歳
田澤先生こんにちは。
55歳の母が乳癌と診断を受けてから、毎日のようにこちらを拝見しています。
本日、術後の病理結果が出たので初めて質問を投稿させていただきます。
10月終わりに毎年受けている地域のマンモグラフィーでしこりが見つかりクリニックを受診→乳癌で間違いないと症例数が多い大きい病院を紹介していただく→細胞診やエコーなどで腫瘍は1.5cm 、トリプルネガティブで、ki-67が90以上と非常に顔付きの悪い癌だと発覚→それ以外にもう1つ小さい腫瘍と、また別にもモヤモヤした影があるとのことで手術は全摘出に決定→12月○日に右乳房全摘出手術を受けました。
センチネルリンパ節生検は3個とって転移なし、
また術後に念のためPET CTを撮りましたがそちらも問題ありませんでした。
以外病理結果です。
①浸潤がん
腫瘍径 2.2cm
ER - PgR - HER2 -( トリプルネガティブ)
ki67値 90%以上
②浸潤がん
腫瘍径 0.6cm(まわりのモヤモヤも合わせると2cm)
ER + PgR + HER2 -(ルミナルタイプ)
ki67値 4%ほど
③非浸潤がん
まわりのモヤモヤと合わせて3cm
「最初に1.5cmでステージ1と診断されていたものが、術後に2.2cmでステージ2aに変わってしまったこと」と、「腫瘍がもう1つある点」がとても気になっています。
1.5cmだったものが手術までの1ヶ月弱で2.2cmまで大きくなってしまったのか、それとも最初から2.2cmだったが検査では1.5cmにしか見えなかったのか…
1つの乳房に異なるタイプの癌が2つあると、そのぶん転移再発の確率が上がってしまうのではないか…
今後はトリプルネガティブのものに対して半年間の抗がん剤治療(薬の名前はまだ聞いてません)を
した後、ルミナールタイプのものに対してホルモン療法をするという計画です。
長くなってしまいましたが、ズバリ質問は「母の再発率はどれくらいですか?」です。
担当の先生からそういった数字のお話は一切なく、かといって母がショックを受けるといけないのでその場では聞けず、でも覚悟が必要ならば早めに知っておきたいので思いきって田澤先生に質問させていただきました。
こちらの過去のQandAを拝見し、同じくトリプルネガティブのステージ2aの方で、再発率が3分の1くらいはあったので、母の場合はルミナールタイプの癌もいるのでさらに高いのではないかと心配です。
トリプルネガティブは再発したら終わりなんですか?
なにを見ても予後不良としか書かれてなく
て、仮に再発してしまった場合の治療法はないということですか?
逆にルミナールタイプのものが遠隔転移した場合には治療法はあるということですか?
現在父も癌の闘病中、両親を同時に失ってしまうのではないかと本当に毎日が不安で不安でたまりません。
ご多忙とは思いますが、どうか、どうかご回答をよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
重要な点は3点
1.予後はステージで考える あくまでも早期乳癌です。
2.複数の病変があっても足し算せずに最大病変が最大浸潤径である。 つまり小さい癌は無視して結構
3.トリプルネガティブを悪者扱いしないこと。
トリプルネガティブは単に(現時点で)「ER, PgR, HER2が陰性」というだけの共通点で一括りにしただけの(実際は)雑多な性格の集団」であり、「トリプルネガティブは○○の性格」という表現自体ナンセンスです。
「1.5cmだったものが手術までの1ヶ月弱で2.2cmまで大きくなってしまったのか、それとも最初から2.2cmだったが検査では1.5cmにしか見えなかったのか…」
⇒これは、「後者」です。
画像診断での測定(結局は肉眼レベル)と病理診断の測定(顕微鏡レベル)に差が
出る方が「寧ろ自然」です。 ♯まさか、「顕微鏡レベルの視力を持つ医師」を期待しているわけではないでしょう??
(逆にいうと)それ(画像と病理での乖離)を想定して、(部分切除の場合には)最初からマージン(2cm以上)を取って手術をするのです。
「1つの乳房に異なるタイプの癌が2つあると、そのぶん転移再発の確率が上がってしまうのではないか…」
⇒全く無関係です。
「今後はトリプルネガティブのものに対して半年間の抗がん剤治療(薬の名前はまだ聞いてません)をした後、ルミナールタイプのものに対してホルモン療法をするという計画」
⇒(私なら6mmの乳癌に対してホルモン療法はしないと思いますが…)
(トリプルネガティブなのだから)半年間の抗癌剤(アンスラサイクリン3カ月+タキサン3カ月)をすることには賛成です。
「母の再発率はどれくらいですか?」
⇒(抗癌剤をすることで)15%となります。
「トリプルネガティブは再発したら終わりなんですか?」「仮に再発してしまった場合の治療法はないということですか?」
⇒誤りです。
(術後補助療法で使用していない)抗癌剤を使用します。
「なにを見ても予後不良としか書かれてなく」
⇒誤りです。
「なにを見ても」と書かれていますが、この乳がんプラザには「そう書いてはいません」
「逆にルミナールタイプのものが遠隔転移した場合には治療法はあるということですか?」
⇒ホルモン療法を変更したり、抗癌剤を使用します。
「毎日が不安で不安でたまりません。」
⇒私から見れば…
「早期乳癌で良かったですね。(術後療法としては抗癌剤を使うのは仕方がありませんが…)」となります。
質問者様から 【質問2 静脈侵襲について】
性別:女性
年齢:56歳
田澤先生こんにちは。
前回は私と母の疑問に丁寧に答えてくださり、ありがとうございました。
腫瘍が複数あっても足し算しないとわかり家族皆ほっとしました。
1月(下旬)日から抗がん剤を受け始め、今ちょうど4回のアンスラサイクリンが終わり、次回から毎週のパクリタキセルに入ります。
気になることがあるので、教えていただけたら幸いです。
母の病理結果はリンパ管侵襲は無かったのですが、静脈侵襲はv3となっていました。
こちらの他の質問者様の病理結果もたくさん拝見しましたが、リンパ管侵襲はあっても静脈侵襲はない方が多いようで、母のようにリンパにいってなくても血行にはいってしまってるというのが大変心配です。
偶然たどり着いた他の乳腺科の病院のホームページには、静脈侵襲があるということは全身に転移している可能性が高いと考えられています。
と書かれていて、抗がん剤が効かなかったらどうしようと急に不安になりました。
田澤先生は予後と直接関係があるかはっきりしてないから気にしない方が良いような旨の説明をしておられましたが、母の場合ki-67も90%越えの活発な癌なので、もう全身に回ってしまっているのではないか、抗がん剤は再発率を30%から15%にする、つまり半分は効かないということですよね?
静脈侵襲がv3でも再発しない可能性はありますでしょうか?
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「静脈侵襲がv3でも再発しない可能性はありますでしょうか?」
⇒当たり前。(議論の余地なし)
「予後と直接関係があるかはっきりしてないから気にしない方が良いような旨の説明」の通りです。