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再発乳癌の治療について

[管理番号:2883]
性別:女性
年齢:50歳
経緯 5年前左乳癌温存手術、浸潤性小葉癌、腫瘍8㎜リンパ節転移なし、ステージ1、放射線30回、ノルバディクス服用。
8か月後中止する。
半年後放射線、術後変化で左脇方向に変化あるが経過観察。
術後2年目水疱のようなしこりができるが癌ではないとのことで経過観察。
術後3年目pet検査にて術後変化が癌であり他院にて手術。
petでは左脇側1.2cmのみ
内側、上腹部の皮膚のしこりは映らず手術時に検査にて癌とわかるが広範囲にありとりきれなかったと説明受ける。
腫瘍8cm横紋筋、皮膚に広範囲に浸潤ki67=60%、ホルモン強陽性リュープリン、ノルバディクスにて治療一時皮膚のしこり消滅。
現在しこり増えている状態。
質問:閉経前のホルモン療法は、他には何がありますか?
現在、他に転移はありません。
転移はしますか?抗がん剤は現時点で必要な段階と思われますか?
なるべく先送りしたいと思っています。
長文ですみません。
宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術後局所再発が長期間経過観察され、治療が遅れてしまったということだと思います。
「質問:閉経前のホルモン療法は、他には何がありますか?現在、他に転移はありません。」
⇒他にはありません。
 タモキシフェンとLH-RHagonistしかないのです。
 
「転移はしますか?抗がん剤は現時点で必要な段階と思われますか?」
⇒ホルモン療法で「病変の拡がり」を見てている以上、化学療法で叩いておいた方がいいと思います。
 ○「なるべく先送りしたい」という気持ちは解りますが、「病変をいったんでも(画像上)一掃」⇒「ホルモン療法で維持」という戦略があります(再発治療にスタンダードは存在しませんが)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はお忙しい中答えて下さりありがとうございます。
またご相談させてもらいたい内容がありよろしくお願いします。
前回の解答により、抗がん剤をする気にはなったのですが、副作用が出やすい体質でもあり、点滴の抗がん剤に踏み切れず主治医よりTS1を試してみては?とのことで初めましたが、皮膚転移(胸部から腹部臍近辺まで、先生が今週のコラムに写真をのせてあるような皮膚衛星結節あり)が反対に増えてしまい、生理も再開してしまったこともあり、私の希望でホルモン療法に戻してもらって落ちついていたのですが、最近腹部の辺りが増えてきたので点滴の抗がん剤を使用する気にはなってきたのですが、先生のご経験から、皮膚転移に効果がある抗がん剤は先生の患者さんであれば何を使用されますか?
小葉癌でしこりが小さいのが無数にあるため画像には映りにくいらしく、TS1をする前に正検で再再発とわかり、ホルモン感受性も低下しており、抗がん剤の話があったのですが、TS1で生理が戻ってきて皮膚転移が広がったことで、主治医からは、ホルモンの感受性が高いのと低いのとが混在していると思うので、点滴の抗がん剤の方がよいのではといわれています。
先生が他の方に解答されてる内容に小葉癌は他中心性発癌で、一つ一つが個性を持っていると書かれてあったと思うのですが、小さいしこりが無数にある私のしこりは、ホルモン感受性の高低は一つ一つの個性なのでしょうか?
小さいしこりが大きくなるまではまだ考える時間はありますか?
先生が小葉癌は腹腔内に転移することがあると書かれていましたが、
腹部の皮膚に衛星結節がある場合腹腔内に転移するのは有り得ますか?
主治医からは、抗がん剤に変更したら効果がなくなるまで使用し、効果がなくなれば、違う抗がん剤に変えていく治療になるといわれ、前回先生の解答にあった抗がん剤で消えればホルモン療法で維持したいと話ましたが、あなたを今までみてきてそれは無理でしょうと拒否されたので、点滴の抗がん剤に踏み切れない状態です。
セカンドオピニオンをして先生の方針の治療をして下さる病院を探すのは可能でしょうか?
ただ将来的なことを考えると今の病院は近いので、病院をかえたくない気持ちもあり悩んでおります。
先生のご意見をお聞かせ頂きたくよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
メール内容は了解しました。
再発治療にstandardは存在しません。
必要なのはvisionです。
ダラダラと「行き当たりばったり」ではなく(結果的にそうなってしまう事はあるかもしれませんが)「目標を定めて」そしてもっと重要なのは「モチベーションを高くして」行うことです。
「主治医からは、抗がん剤に変更したら効果がなくなるまで使用し、効果がなくなれば、違う抗がん剤に変えていく治療」
⇒主治医の言う事も解りますが…
 化学療法未治療であれば、かなりの効果が期待できます。
 例えば「bevacizumab + paclitaxel」を3カ月、その後「eribulin」にして3コース(ここまで行えば[かなりの効果が期待」でき、それでいて「副作用は拍子抜けする位」です。)
 病勢がコントロールされたところで「ホルモン療法」でいきましょう。
 「延々と抗ガン剤を効かなくなるまで行う」それはそうかもしれませんが、「期待できる効果」を出して、「それを維持する」というvisionを示す事で、モチベーションが生まれると思います。
「抗がん剤で消えればホルモン療法で維持したいと話ましたが、あなたを今までみてきてそれは無理でしょうと拒否」
⇒「無理でしょうと拒否」とありますが…
 実際に、抗ガン剤の効果がでれば(その頭の硬い主治医も)自分から「ホルモン療法にしてみましょうか?」と提案する筈です。
 
 ○実際にやる前から「無理と決めつける必要」もないし、「それが達成した後の対応」について今から心配する必要はありません。
  まずは「やるべき事を行う」ことです。