[管理番号:900]
性別:女性
年齢:58歳
初めて、お便りさせていただきます。
たくさんの方への先生の丁寧なご回答を読ませていただき、文面から先生の真摯であたたかいお人柄を感じました。
私も、この度の検診で大変な局面に立たされることになり、是非先生のご助言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
11年前に子宮体がん 3Aということで、手術後 5回の抗がん剤治療をしました。その後、一度も再発なく過ごしてきました。
ところが、昨年の2月末に、非浸潤乳管癌 2センチ ということで、温存手術をしました。
リンパは触らず、部分切除後 放射線治療_25回しました。ホルモン陽性 断端陰性 年齢 体がんや副作用のリスクを考えてホルモン治療をしませんでした。
そのせいかはわかりませんが、8月の検診で新たな病変が見つかり、MRIをし、結果によって組織診をすることになりました。
主治医の感じから再発、または新たな癌の可能性が高いように感じます。エコーの結果、傷のところに前回より少し盛り上がりが見られ、少し離れたところに1センチくらいのがあるということです。前者は、放射線の影響も考えられる、後者は乳管のふちが少し厚くなっているそうです。
まだ、十分な資料もない状態でのご相談で申し訳ありませんが、命の期限を切られるかもしれない恐怖と、治療選択を間違ったのではないかとの後悔 、これからの治療がどのようなものになるかという不安で辛い日々を送っています。
どうぞ、今の段階での先生のご意見をお聞かせください。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
子宮体癌をのりきり、昨年には「非浸潤性乳管癌」の手術、そして「温存乳房内の新病変?」
お気持ち、お察しします。
回答
「エコーの結果、傷のところに前回より少し盛り上がりが見られ、少し離れたところに1センチくらいのがある」
⇒創部の所見は「術後の瘢痕組織との鑑別が難しい」と思われます。
ただ、「少し離れたところの1センチ」の病変は「新病変」かもしれません。
「命の期限を切られるかもしれない恐怖」
⇒そこまでの心配は無用です。
「温存乳房内再発」にしても「温存乳房内の新病変」だとしても、「小さな病変」なので「命を脅かすようなもの」では決してありません。
その点は安心してもいいです。
♯「温存乳房内再発だとしても、それはあくまでも局所の問題であり、全身への再発とは全く異なります
「治療選択を間違ったのではないかとの後悔」
⇒私はそうは思いません。
私は「非浸潤癌ではホルモン療法は基本的に勧めません」
乳癌学会のガイドラインでも推奨グレードC1です。
♯対側乳癌発生予防効果はありますが、「温存乳房内の浸潤癌発生の軽減効果は証明されていません」
「これからの治療がどのようなものになるかという不安」「今の段階での先生のご意見」
⇒もしも(温存乳房内に)「再発にしろ新規にしろ」癌という診断となったら、今度は(迷わずに)「(残存)乳房切除」を選択すべきです。
再温存は勧められません。
何故なら「今度は照射ができない」のです。
♯癌だとしても「非浸潤癌ならば」手術後の薬物療法は(今度も)不要と思います。
質問者様から 【質問2】
先生のご助言で立ち直りかけたのですが、再び不安を抱き、ご助言をお願いします。
5月は、異常なし、8月中旬エコーで疑いが出て、12日後にMRIで確認後、組織診は更にその6日後、結果は2週間~3、4週間後(9月中旬~下旬)となりました。
その後、手術となりそうですが、前回二ヶ月くらい待ちました。
今回、再発とすれば、癌種の悪性化、浸潤癌となることを考えられると、待ってよいものか、否か、また現状の間まで待つことが可能な期間について教えてください。
現在、甘いものを控えているせいか、3㎏体重が減り、やや疲れやすくなりました。体温、血圧、脈拍ともに上昇気味で時折動悸がします。入眠剤を服用しています。現在の状態で、二ヶ月の待ち時間は、やはり苦しく、体力の低下が心配です。
今考えられると、6、7月頃より肩こり、肩甲骨の周囲のこり、傷近くの違和感、いたみ、ミキサーのたるさを少し感じていましたが、手術のせいと思い、気にしないようにしていました。
最後に、今後必要になる検査、必要な期間、手術までの最短手順を教えてください。また、手術後の治療を含めて、担当医に確認しておいた方がよいことを教えてください。
私は、全摘し、その後治療もしっかり行い、できれば、完治、寛解を
目指したいと考えています。
どうぞ よろしお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「8月中旬エコーで疑いが出て、12日後にMRIで確認後、組織診は更にその6日後、結果は2週間~3、4週間後(9月中旬~下旬)となりました」
⇒随分遅いですね。
常識的には「エコーで疑いが出た時点」で(MRIなど診断に無駄な検査を待たずに)組織診をすべきです。
診断に1カ月以上かかるとは「通常の病院ではない」ですね。
どこかの大病院なのでしょう。
回答
「現状の間まで待つことが可能な期間について教えてください」
⇒回答困難です。
「非浸潤癌か浸潤癌か」も不明です。
ただ大きくはないようなので、「早めに治療してしまう方がいい」としか言えません。
○温存術後の「乳房内再発?」を疑うのであれば、通常は「初診の患者さん以上に」急いで「診断、治療を進めるべき」です。
それは、「病状が進行し易い」とか、そういう意味では無く「自分の術後の患者さんに、起きては困る事態が起きた」という担当医の意識が働く筈だからです。
その点でいうと(厳しい様ですが)担当医はまるで「人ごとのように」ちまちまと検査を進めているようにしか(私には)思えません。
言い過ぎであれば、すみません。敢えて厳しくコメントしたのは「質問者が焦燥感にかられている」のが痛いほどわかるからです。
「今後必要になる検査、必要な期間、手術までの最短手順」
⇒「全身検索のCTやPETなどは、どうでもいい」から「なるべく早く」手術予定を決めるべきです。
そんな検査は「手術までの待ち時間」にいくらでもできます。(何なら、術後でもいいのです)
「検査をするたび」に「どんどん遅くなる」ようなことは決してさせないように「質問者から働きかける」必要があります。
「手術後の治療を含めて、担当医に確認しておいた方がよいことを教えてください」
⇒特別なことはありません。
組織診で「サブタイプ」がわかれば、おのずと「術後治療方針」はきまるでしょう。
「乳房内再発(確定していませんが…)」は、「初発の癌」と何ら区別する必要はないのです。
質問者様から 【質問3】
再発疑いの際には、親身なご助言ありがとうございました。
検査結果は、放射線瘢痕、良性のう胞ということで今まで同様の経過観察となりました。
辛い状況時の先生のお言葉で本当に救われました。
勝手ながら先生は、患者のサイドランナーという感じがしてとても心強く、身近に
感じさせていただいています。
今回の相談は、再発疑いの際に生じたことです。
再発疑いの際、心労から著しい体重減少が不安で、たくさん食べるようにしてしまい、逆流性食道炎(以前から衝動裂こう)の症状がいられるようになりました。
胃カメラ、エコーの結果、胃の入り口に軽度の炎症がみられるということで、ねきしうむ10ミリが処方されました。
現在、7じょう服用(初発4じょう軽快、1か月後再発3じょう軽快)
し、日常生活に気を付けることで症状はほとんど消失しています。
お尋ねしたいことは、制酸剤の副作用として、女性様乳房、月経異常等
の記載があります。
私の場合、0期ということで温存術後、放射線治療
のみでホルモン剤を服用していません。
内科の医師は、食道の症状消失
は薬の残存効力で食道裂こうがあるので、薬は長期で服用したほうがよ
いといわれましたが、乳がんに対する副作用の影響が心配で、今はむこ
すた100ミリと反夏厚ぼく湯2.5のみ服用しています。
医師の指示通り、服用したほうがいいのか、まよっています。
(上記の副作用についてはご存じではないようでした。)
次々にあらわれる症状に滅入ってしまうときもありますが、できるだけ
前向きに生きていこうと考えています。
ご助言お願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
非浸潤癌で「乳房内再発」を疑われ、結局「異常無」ですね。
大変良かったです。
現状からして、神経質になる必要は全くありません。
「お尋ねしたいことは、制酸剤の副作用として、女性様乳房、月経異常等の記載があります。
私の場合、0期ということで温存術後、放射線治療のみでホルモン剤を服用していません。
内科の医師は、食道の症状消失は薬の残存効力で食道裂こうがあるので、薬は長期で服用したほうがよいといわれましたが、乳がんに対する副作用の影響が心配で、
今はむこすた100ミリと反夏厚ぼく湯2.5のみ服用しています。医師の指示通り、服用したほうがいいのか、まよっています。」
⇒大丈夫です。
「女性化乳房」や「月経異常」などの副作用は「全く気にする必要」ありません。
質問者は「女性」であるし、「閉経されている」ことと思います。
乳癌に対する影響は全くありません。
○乳癌のことは忘れて、「必要な治療」は受けるようにすべきです。