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腋窩リンパ節再発

[管理番号:8827]
性別:女性
年齢:44歳
病名:
症状:
投稿日:2020年8月19日

2018年2月にステージ1の左乳がん(リンパ節転移なし)と診断されました。

その後、同年3月に温存手術をし、術中センチネルリンパ節に転移があったため、同時に腋窩リンパ節郭清を行いました。
その後の病理検査の結果、広がりがみられたため同年4月に全摘手術を再度行いました。

その後は、放射線治療はせず、タモキシフェン服用とリュープリン注射を続けてまいりました。
2020年8月の定期検診でエコーをした際、腋窩リンパ節に6ミリのしこりが見つかりました。
細胞診の結果,癌ということで再発転移の告知を受けました。

現在、胸壁や遠隔転移の有無を調べるためにPET-CTの結果待ちです。

告知を受けた際、主治医に腋窩リンパ節郭清が不十分だった可能性があるのではと問うと、しっかり取ったはずだがリンパは身体中に張り巡らされており目に見えない癌が可視化したとのことでした。
併せて3ヶ月前のエコー検査では異常なしだったのに、この数ヶ月で6ミリも大きくなったのかと問うと、そのとおりだとのことでした。

因みに、同日に右マンモグラフィ検査、血液検査も実施いたしましたが全て異常なしとのことでした。

これはやはり取り残しによるものなのでしょうか。

まだ治療方針が決定したわけではないですが、どのような選択肢があるのか把握しておきたいのです。

現在、主治医に確認できた以下内容です。

①腋窩の転移のみ→手術で取り除き放射線治療
②鎖骨・胸壁転移→手術はせず、放射線治療と性質にもよるがホルモン薬の変更または抗癌剤も選択肢の一つ

まだ手術ができる状態なのかもはっきりせず不安しかありません。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

「まだ治療方針が決定したわけではないですが、どのような選択肢があるのか把握しておきたいのです。」
⇒まず、遠隔転移などはなく、腋窩のみとなる可能性が大きい(90%以上)と思います。

 迷うことなく郭清すべきです。

ただ腋窩郭清後なので、癒着など(通常よりは)手術の難易度が高くなっているので、(主治医に)自信を持ってできるのか?確認はしたほうがいいでしょう。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

腋窩リンパ節再発
性別:女性
年齢:44歳
病名:左乳癌術後左腋窩リンパ節再発
症状:特段症状なし
投稿日:2020年8月26日

先日は早急にご回答頂きありがとうございました。

お陰さまでPET-CT検査結果が出るまでの不安な日々を冷静に過ごすことができました。

以下検査+診断結果です。

①脳~太もも上まで⇒遠隔転移なし
『左乳癌術後明らかな局所再発を認めません。
既知の再発病変をみているのかもしれません。
左腋窩尾側に小結節2つを認めます。
集積は共に(SUVmax1.1)で目立ちません。
右腋窩や傍胸骨、鎖骨上窩にリンパ節転移を疑う所見は認めません。』
②鎖骨下リンパ節⇒PET-CT・エコーとも
に腫れは認められないため手術において2つのしこりを取り除くのみ。
レベルⅢに関しては静脈があるので手術で取るのではなく放射線で対応する。
(明らかなゴロゴロとしたしこりが鎖骨下にあれば手術で取り除くが今回は適用なし)
③初回の腋窩リンパ節郭清はレベルⅠ、プラスアルファーでⅡの間くらい。
(郭清後の腋窩リンパ節転移が4個以内であったため放射線治療から除外)
④取り残しによる再発の場合はもう少し下のほうにしこりができるはずなのだが、何故に可視化したのかは理解に苦しむ
⑤手術に伴う入院期間はPCR検査を実施する関係で5日程度⑥ホルモン療法が効かなくなり今回の癌が可視化したのであれば、抗癌剤治療も選択肢の一つ(初回と性質が違う場合も考えられる)

以下質問です。

①田澤先生の推奨する腋窩鎖骨下郭清とは、腋窩リンパ節レベルで表すとレベルⅢまでになりますか?
郭清範囲が広がることでリンパ浮腫になる確率がかなり上がってしまうのではと、とても心配しています。

現病院ではしこりのみの除去とのことですが、田澤先生は予防的観点からレベルⅢまで取るお考えでしょうか?

②郭清範囲が広がることで陥没したように感じるなど視覚的な影響は生じますか?

③手術+放射線になりますか?

④実は、しこりは2ヶ所あり(脇のしこりよりやや下)一方は良性でした。
一緒に取り除いたほうがよいですか?

⑤個人差、状況にもよるでしょうが田澤先生に手術をお願いする場合、入院期間はおおよそ、どのくらいになりますか?

⑥現病院での再郭清は不安が残るため田澤先生にお願いしたい気持ちが強いです。
紹介状+今までの検査結果については本日作成して頂き手元にございます。
田澤先生に診察して頂くことは可能でしょうか?確定診断メールからお願いすればよいのでしょうか?

⑦当初画像で確認されずとも手術後病理検査結果で郭清部分(レベルⅢまで)が全て陽性の場合、治療方法は上記①から大きく変わりますか?

⑧乳がん放射線治療において、トモセラピーとリニアックはどちらが適していると思われますか?
副作用として皮膚炎症が表れた場合、炎症範囲に違いはありますか?

一般的に難しい手術のようですし、経験豊富で技術の高い田澤先生にお願いしたい気持ちが強くなりました。
安心、納得して手術に臨みたいと存じます。

よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは田澤です。

「レベルⅢに関しては静脈があるので手術で取るのではなく放射線で対応」
⇒大変失礼ですが…

 「静脈があるので」というコメントに「腰が引けている」様子が垣間見えます。

★個人的見解からすると…
 初発の手術なら「それでいい」とは思います。
 しかし、再発手術の場合には「術後の癒着の問題」があるので(もしもレベルⅢに再発しても)「次の手術ができない」のです。
 つまり、チャンスは2度はないという観点から「鎖骨下(レベルⅢ)までの予防切除」を推奨しているのです。

「①田澤先生の推奨する腋窩鎖骨下郭清とは、腋窩リンパ節レベルで表すとレベルⅢまでになりますか?」
⇒その通り。
 腋窩リンパ節とはレベルⅠ及びレベルⅡであり、鎖骨下リンパ節とはレベルⅢの事なのです。
   ↓
 だから、 「腋窩郭清」とは(本来)レベルⅡまで郭清する手技のことだし、「腋窩鎖骨下郭清」とはレベルⅢまで郭清をいうのです。

「郭清範囲が広がることでリンパ浮腫になる確率がかなり上がってしまうのではと、とても心配」
⇒全くの誤解 レベルⅢ自体は「腕のリンパ流とは無関係」

 浮腫の原因はレベル1と2の境あたりの「腕のリンパ流が入り込む領域」の深さに関係しています。
 ★★通常の深さであれば、浮腫は起こりませんが、深い部位まで転移がある場合そこを損傷せざるを得ないので(その部分を郭清すれば)浮腫のリスクは高まります。

 『今週のコラム 173回目 レベルⅢ郭清はレベルⅡまで郭清するのに加え(慣れている私でさえ)「+15分」を要しますが、(この操作が大変なのは)術者だけであり、患者さんの負担(痛みや可動域、浮腫のriskなど)とは全く無関係なのです。
が、まさに「そのことを記載」していますよ。

「現病院ではしこりのみの除去とのことですが、田澤先生は予防的観点からレベルⅢまで取るお考えでしょうか?」
⇒上記★の通り。

「②郭清範囲が広がることで陥没したように
感じるなど視覚的な影響は生じますか?」

⇒全くありません。

「③手術+放射線になりますか? 」
⇒病理結果によります。

 節外浸潤が無く、4個以内(画像上の2個だけの転移)ならば省略でもいいでしょう。

「④実は、しこりは2ヶ所あり(脇のしこりよりやや下)一方は良性でした。
一緒に取り除いたほうがよいですか?」

⇒当然です。(その医師の細胞診?の技術を鵜呑みにすることは私にはできません)

「⑤個人差、状況にもよるでしょうが田澤先生に手術をお願いする場合、入院期間はおおよそ、どのくらいになりますか?」
⇒個人差とか状況差などありません。

 2泊3日です。(前日入院、翌日退院) 例外は「かつても」無かったし、今後もありません。

「田澤先生に診察して頂くことは可能でしょうか?確定診断メールからお願いすればよいのでしょうか?」
⇒勿論大丈夫です。
 手術希望メールでしょう。

「⑦当初画像で確認されずとも手術後病理検査結果で郭清部分(レベルⅢまで)が全て陽性の場合、治療方法は上記①から大きく変わりますか?」
⇒それは、病理が出てから考えるべき問題です。(画像上、それを前提として治療法を想定する理由がありません)

「⑧乳がん放射線治療において、トモセラピーとリニアックはどちらが適していると思われますか?」
⇒トモセラピーに越したことはありません。
 ただし「純粋な予防照射」であれば、それほどの差は無いです。(晩期障害以外は)

「副作用として皮膚炎症が表れた場合、炎症範囲に違いはありますか?」
⇒そう思います。(有害事象を抑えるための治療法なのです)

「一般的に難しい手術のようですし、経験豊富で技術の高い田澤先生にお願いしたい気持ちが強くなりました。
安心、納得して手術に臨みたいと存じます。」

⇒私が手術する限り…
 不安に思う必要はありません。

何を自信過剰な!と非難されるかもしれませんが(?)
この乳がんプラザのおかげで、通常の乳癌の手術は(執刀数の多い乳腺外科医の)3倍程度だといても、腋窩再発の手術は10倍以上だと思います。★★★

★★★ 実際に私がもと在籍していた東〇公〇病院は東北で圧倒的な件数を誇る病院でしたが、(そこでさえ)腋窩再発の手術は(私自身、記憶では)経験が無かった。
    QAなどで全国から集まるからこその(腋窩再発の)件数なのです。

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