[管理番号:4619]
性別:女性
年齢:43歳
(質問者は本人ではなく配偶者です。
本人には余計な情報を入れたくないためネットでの検索はしないようにお願いしています)
いつも参考にさせて頂いております。
4年目の検診で
(領域を以下として
BA
CD)
C領域に5mm程度の異常が認められ、針生検の結果待ちです。
(マンモと造影CTの所見からエコー→バネ式針生検の流れです)
初発乳房温存手術時の結果は
ER、PgR共に強陽性
浸潤径:3.8cm(主にB領域)
断片:陰性
タイプ:硬ガン
Her2:陰性
リンパ節転移:なし
Grade:3
Ki67:29%
Ki値が30未満のため、(また本人が化学療法を望んでいなかったのでOncotypeせずに)ホルモン療法(タモ10年+リュープリン3年)にしました。
恐らく、乳房内再発として全摘になると考えています。
質問したいのは、今回の治療では
①術前の骨シンチは不要でしょうか?(術前検査はMRIのみ?初発時は両方やったので)
②腋窩リンパ節の所見がなければセンチネルリンパ節生検は不要でしょうか?
③サブタイプが異なっていた場合、化学療法の判断は初発と同様(<5mmなら不要、<10mmなら一考)となりますでしょうか?
④リュープリン終了から1年たちましたが、あと2年程度リュープリンお願いしたほうがよいでしょうか?(担当医も3年で終えた時に迷っていたので)
後、もう一つ、局所再発に関してはそんなに気に病む必要はないのですよね・・・。
過去ログはたくさん読んでいますが、いざとなるとやはり不安になってしまいます。
以上、お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
メール読みました。
B領域の初発後、4年でBA領域に5mmの所見ですね。
確かに部位的には(同一乳房内新規ではなく)「温存乳房内再発」を疑うことにはなります。
「質問したいのは、今回の治療では①術前の骨シンチは不要でしょうか?」
⇒あくまでも局所再発なので不要です。
「②腋窩リンパ節の所見がなければセンチネルリンパ節生検は不要でしょうか?」
⇒不要です。(初回手術時にセンチネルリンパ節生検を施行しているので、そもそも「センチネルリンパ節生検の対象外」となります)
「③サブタイプが異なっていた場合、化学療法の判断は初発と同様(<5mmなら不要、<10mmなら一考)となりますでしょうか?」
⇒そもそも純粋な「乳房内再発」と認識すれば全身療法自体不要とはなります。
ただし、乳房内「新規」癌だと考えれば、(おっしゃる通り)サブタイプに応じた適応となります。
「④リュープリン終了から1年たちましたが、あと2年程度リュープリンお願いしたほうがよいでしょうか?(担当医も3年で終えた時に迷っていたので)」
⇒今回の腫瘍のサブタイプによります。
1.ホルモン感受性陽性ならば LH-RHagonistをこの機会に復活させてトータル5年とする
2.ホルモン感受性陰性ならば 敢えてLH-RHagonistを再開する理由がなくなります。
「局所再発に関してはそんなに気に病む必要はないのですよね・・・。」
⇒その通りです。
○そもそも「温存手術の大原則」
(もしも乳房内再発しても)「その際に全摘すれば、最初から全摘を選択していた場合と予後は同じ」なのです。
質問者様から 【質問2】
前回はご回答ありがとうございました。
担当医師との限られた診察時間で整然と話すことができました。
全摘手術が終了しました。
サイズ:9mm
ER:陽性
PgR:陽性
Ki:67
腫瘍の位置的には初発と少し離れた場所にあり、つながりも見えなかったので新規の可能性が高いとのお話でした。
タモでの治療中に出てきた腫瘍なので、タモが効いていないのではないかと、病理が出る前はUFTを提案されていました。
ですが、病理の結果、kiが67ということで点滴の抗がん剤を提案されました。
どうせなら一番強いやつ(FECx6)にして化学療法閉経までもっていきたいと言われたようです。
(血中エストロゲン値が高めとのことで)
(ちなみにKiは針生検の時は20くらいでした。
前回も針生検の時は10
(病理で29)だったのですが、病理の方を参考にするでいいのですよね?)
乳房内再発(初発?)で9mmでもKiが高いので抗がん剤をやるべきなのでしょうか?(本人も自分もあまりやりたくありません)
UFTはCMFと同等というデータもありますが治療として弱いのでしょうか?一番気になるのは脱毛なので。
また、先生ならどんな治療にしますでしょうか?
以上、よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「つながりも見えなかったので新規の可能性が高い」という担当医の言う事も解りますが…
実際には「B領域の初発後、4年でBA領域」であれば説得力に乏しく普通に「乳房内再発だから、(今度は)全摘した」
それで済む話です。
そもそも「局所再発は、あくまでも局所療法が主役(というか、全て)」なので、初発時の(全身)補助療法の適応基準を「其のままあてはめる」ことに無理があります。
今回のケースでは「Ki67が高値=ルミナールBだから抗癌剤」という考え方なのでしょうが、(それは初発での考え方であり)局所再発で当て嵌めることではありません。
「乳房内再発(初発?)で9mmでもKiが高いので抗がん剤をやるべきなのでしょうか?(本人も自分もあまりやりたくありません)」
⇒上記コメント通りです。
あくまでも局所再発(しかも温存乳房内再発は胸壁再発や腋窩リンパ節再発よりも、より一層「手術による根治性が高い(というか、それが初回手術として温存術を選択してもよい大前提)」)なのです。
患者さん側で「(抗癌剤を)積極的に希望する」なら別ですが、そうでなければ(ホルモン感受性が高いのだから)ホルモン療法でいいでしょう。
「UFTはCMFと同等というデータもありますが治療として弱いのでしょうか?一番気になるのは脱毛なので。」
⇒「同等」とありますが、あくまでもUFTは「(当時の標準療法だった)CMFに対して、非劣勢を証明できなかった」というのが(臨床試験としては)事実です。
「また、先生ならどんな治療にしますでしょうか?」
⇒私であれば抗癌剤の提案は決してしません。
「手術だけで」特別な治療は追加する必要はありませんが、「4年前の時点で30代だった」ことからも「初発治療のやり直し」という意味(LH-RHagonistは5年投与がいいと思います)で「タモキシフェンの継続」と「LH-RHagonist」の併用とします。
♯TAMは(初発時~)トータルで10年、LH-RHagonistは(初発時~)トータルで5年それでいいと思います。
「気持ち的」に局所再発といえども心配というならば、LH-RHagonistを(初発からのトータルではなく)「今後5年」とすれば盤石と言えます。