[管理番号:2120]
性別:女性
年齢:34歳
健康診断で(エコー、触診のみ)右乳房腫瘤有りと診断され、大学病院にて再エコーしました。
自分で触診をしていた時にはしこりに触れておらず、検診結果がきて、よくよく探したところ今回エコーで発見されたところに微かにしこりを感じました。
それから乳房の左右大きさの違い、時にはちくっとする痛みがありました。
大学病院での触診でもしこりに触れなかったようです。
しかしエコーで乳首の下のあたりに腫瘤径15×6×11㎜(NT18㎜)のものが発見されました。
不整形の低エコー腫瘤(+)腫瘤近傍に嚢胞性腫瘤も隣接しています。
非浸潤性などが疑われます。
上記より範囲は広いようです。
とエコー検査の報告書には記載されています。
エコー検査では、脇のリンパ節に腫脹はありませんでした。
診察で悪性のものとして考えておいてください。
全摘になります。
と聞きました。
その日に細胞診をして、結果が3週間後となりました。
年末年始を挟むこと、主治医の先生の担当曜日により、3週間も待つことになりました。
結果を聞くまで気持ちの起伏が激しく、毎日精神的に辛いものがあります。
実は乳がんと言われる3ヶ月前からは痰や咳があったり、1ヶ月前には、肺炎のような症状から始まり、その後、痰や血痰や微熱、頸部リンパ節腫れがありました。
ようやく体調不良から解放されたと思ったところ乳がんが発覚しました。
肺炎の時には他の病院にかかっており、胸部CT、頸部エコーの検査をしていました。
胸に影があったので心配でしたが、肺炎症状一月後にCTを撮り確認したところ影は消えていました。
しかし痰と血痰が時々続くこと、耳鼻科で診てもらったところ上咽頭炎かなと言われましたが、続くことに不安にかられます。
頸にも5、6個の嚢胞というのか腫れがあると言われています。
肺炎時にかかっていた病院に行った時に(初回エコーしてから18日後)もう一度頸部エコーしてもらいましたが、大きさが変わらずそのままあ
りました。
また鎖骨上の血管がすごく硬い気がします。
説明が長くなってしまいましたが、先生にお聞きしたいことは、
・しこりが触れなかったのは奥深くにあって気付かなかったということでしょうか。
胸が小さいので胸筋にも浸透している可能性もありますでしょうか。
・頸の腫れは転移の可能性が高いでしょうか。
脇の腫れがなく、頸の腫れとは、遠隔転移となるのでしょうか。
それとも脇の腫れがエコーで確認出来なかっただけで、脇も腫れているということでしょうか。
抗生物質をのんでも治らず3週間もあります。
鎖骨上の血管が触れるのは血行による転移の症状でしょうか。
肩こりもあるので、今まさにリンパ節転移してるのではと不安です。
・上咽頭炎あたりで炎症があるのですが、それも上咽頭炎のガンで遠隔転移してる可能性はありますか。
上記のような症状により、非浸潤性の疑いとは思えず不安の毎日を過ごしています。
次に病院に結果を聞きに行くのはあと2週間です。
頸部リンパ節の腫れがあるのにこのまま待機していていいのかどうかわかりません。
結果を聞いてから、検査を始め、手術はいったいいつになるんだろうと途方にくれます。
とにかく細胞診の結果が出なければ何も出来ないのかもしれませんが、他の方も不安になられてるように、私もその間にどんどん症状が進んでしまうのではと頭から離れません。
勉強不足のまま、お忙しい先生に質問をしてしまい、申し訳ありませんが、ご回答よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「しこりが触れなかったのは奥深くにあって気付かなかったということでしょうか。」
⇒「非浸潤癌が予想される」ことから「腫瘍自体が硬く無い」ことも原因としてありそうです。
「胸が小さいので胸筋にも浸透している可能性もありますでしょうか。」
⇒非浸潤癌で「胸筋浸潤」などありません。
「頸の腫れは転移の可能性が高いでしょうか。脇の腫れがなく、頸の腫れとは、遠隔転移となるのでしょうか。それとも脇の腫れがエコーで確認出来なかっただけで、脇も腫れているということでしょうか。」
⇒遠隔転移もリンパ節転移もないので安心してください。
「鎖骨上の血管が触れるのは血行による転移の症状でしょうか。」
⇒全く違います。
「肩こりもあるので、今まさにリンパ節転移してるのではと不安です。
・上咽頭炎あたりで炎症があるのですが、それも上咽頭炎のガンで遠隔転移してる可能性はありますか。」
⇒ありえません。
○不安な気持ちは解りますが、「余計な心配」です。
いろいろな症状が「転移では?」と怖くなる気持ちは解りますが「乳癌患者さんを多数診てきている」私にとって、(実際に診療していなくても)心配無い事くらい断言できます。
ご安心を。
質問者様から 【質問2】
田澤先生
お忙しい中、丁寧なお返事をありがとうございました。
前回細胞診の結果まで不安ということで質問されていただいたものです。
不安が不安を呼び、なんでも悪い方向に考えていたところ、沢山の患者さんを診てこられた先生の回答は、とても安心することができました。
感謝致します。
実は、現在検査中なのは細胞診(勉強不足により勘違いしていました)ではなく、エコー下によるバネ式の組織診であるということがわかりました。
エコーの所見から担当医にほぼ悪性のものとして考えておいてくださいと言われておりました。
先日、担当医師から電話がきて、検査の結果が出て、3本検査に出したところ3本とも良性だったと知らされました。
その時はほっとしたのですが、エコーで医師がほぼ悪性だろうとしたものだったのが、気にかかります。
しこりは触れにくかったものの自己症状で胸の左右差もありました。
詳しい検査結果は来週に聞きに行き、今後を話すということで主治医とは話が終わっております。
担当医師と相談する前に田澤先生のご意見をお聞きしたいのですが、
・医師がエコーの所見でほぼ悪性だろうと判断しても組織診で結果が違うことはよくあることなんでしょうか。
・組織がきちんととれてなかった可能性も考えた方がいいのでしょうか。
きちんと採れていても、良性のものと悪性のものがくっついている場合など。
検査中エコーを見ながら4本採取して、その都度採れた。
採れなかった。
などと看護師さんと話していたのを聞いております。
私は採れたと言った3本を検査に出したのだと想像していましたが、検査時に採れた採れなかったというのは医師からしたら、すぐに見た目でわかるのでしょうか。
・今後、数ヶ月おきに今の病院で様子を見るべきなのか、今からでも細胞診をしてクラスを出す方がいいのか、しこりのみ摘出した方がいいのか、どうしたらいいのかわかりません。
既に2センチあるので、様子を見ていて、ある時に手遅れというのは避けたいのです。
・腫瘍を摘出してしまってから悪性のものが見つかると、手術の時にセンチネルリンパ節生検ができなくなってしまうとどこかで見たのですが本当ですか。
・雪だるま状の形の腫瘍なのですが、良性というのは珍しいのでしょうか。
・組織診の後、10日経っていますが、未だに血腫のようなもの、それとは別に腫瘍のしこりが触れやすくなっています。
血腫は10日経ってもまだ続いていても大丈夫でしょうか。
・両側肩こり、肩甲骨の間の背中あたりが痛むのですが、組織診をしたからでしょうか。
最近毎日、ずっとではありませんが続いています。
・よくみると両胸に赤いポツポツがあります。
良性の腫瘍でもそのような症状は出たりするのでしょうか。
・この状況下で、田澤先生に新たに検査をお願いする場合、何の検査をされますか。
ここまでエコー検査と組織診のみ行ってます。
MRIは必要ですか。
年齢からかマンモも一度もしておりません。
組織診(10日経過)後、血腫がある場合、すぐには組織診は出来ないものですか。
必要性がある場合、田澤先生に診察をお願いできますでしょうか。
結果を詳しく聞いていない段階、似た質問があり重複してしまう内容もあり、大変申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「エコーの所見から担当医にほぼ悪性のものとして考えておいてください」
「先日、担当医師から電話がきて、検査の結果が出て、3本検査に出したところ3本とも良性だった」
⇒問題は以下のどちらかだということです。
①エコー所見の判断に誤りがあった
大学病院だと、「自分自身でエコーしていない」可能性も高そうですね。
もし、そうだとすれば「エコー所見を過剰診断する」可能性もあります。
②針生検のサンプリングエラー
これは通常はあってはならない事です。
ただ、「検査精度」にかんしては私が「他の医師の評価」をすることは不可能です。
○他院の針生検で「良性」と言われ、私が再検して「癌」というケースも少なくはないので、コメントしずらいところです。
「医師がエコーの所見でほぼ悪性だろうと判断しても組織診で結果が違うことはよくあることなんでしょうか。」
⇒殆どありません。
「頻繁に」あってはならない事です。
「組織がきちんととれてなかった可能性も考えた方がいいのでしょうか。」
⇒上記コメントの通りです。
私が、その医師の「針生検の精度」を評価することは不可能です。
「検査中エコーを見ながら4本採取して、その都度採れた。採れなかった。などと看護師さんと話していたのを聞いております。」
⇒私の印象では…
プロとしてどうかとは思います。
「私は採れたと言った3本を検査に出したのだと想像していましたが、検査時に採れた採れなかったというのは医師からしたら、すぐに見た目でわかるのでしょうか。」
⇒「腫瘍から正確に採れた」のかどうかは解りません。
ただ、採れたのが「脂肪なのか、(腫瘍の部分かどうかはともなく)乳腺組織なのか」は解ります。
「今後、数ヶ月おきに今の病院で様子を見るべきなのか、今からでも細胞診をしてクラスを出す方がいいのか、しこりのみ摘出した方がいいのか、どうしたらいいのかわかりません。既に2センチあるので、様子を見ていて、ある時に手遅れというのは避けたいのです」
⇒当然、「確定診断すべき」です。
「腫瘍を摘出してしまってから悪性のものが見つかると、手術の時にセンチネルリンパ節生検ができなくなってしまうとどこかで見たのですが本当ですか。」
⇒「腫瘍の部位」にもよるし、「(その術者の)センチネルリンパ節生検の精度」にもよるので一概には言えませんが…
正直なところ、私なら全く心配しません。
「雪だるま状の形の腫瘍なのですが、良性というのは珍しいのでしょうか。」
⇒形状だけでは不明です。
形状よりも「辺縁」が重要です。
「組織診の後、10日経っていますが、未だに血腫のようなもの、それとは別に腫瘍のしこりが触れやすくなっています。血腫は10日経ってもまだ続いていても大丈夫でしょうか。」
⇒10日目では、そんなものです。
1カ月位すると随分気になら無くなります。
「両側肩こり、肩甲骨の間の背中あたりが痛むのですが、組織診をしたからでしょうか。」
⇒影響はあるかもしれませんが…
全てが「そのせい」ではないでしょう。
「よくみると両胸に赤いポツポツがあります。良性の腫瘍でもそのような症状は出たりするのでしょうか。」
⇒これは「腫瘍とは無関係」です。
「この状況下で、田澤先生に新たに検査をお願いする場合、何の検査をされますか。」
⇒私であれば「マンモトーム生検」します。
実は、同様なケースで「かなりの数のマンモトーム生検」しています。
その経験からすると、大半は「結局良性」となりますが、ある一定の割合で「癌と診断」されます。
♯結局「良性と診断」されるケースでも「間違いない確定診断として安心していただける」という意味では十分意味があると思っています。
「MRIは必要ですか。」
⇒不要です。
診断にMRIは不要となります。
「組織診(10日経過)後、血腫がある場合、すぐには組織診は出来ないものですか。」
⇒血腫は(余程大きなもので無い限り)関係ありません。
「必要性がある場合、田澤先生に診察をお願いできますでしょうか。」
⇒可能です。
結局「良性と診断されたものが本当に良性なのか」は「その医師が本当に信頼できるのか」に帰結するのです。