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rotterリンパ節再発 今後の治療について

[管理番号:8310]
性別:女性
年齢:40歳
病名:
症状:
投稿日:2020年2月17日

田澤先生

手術でお世話になりました
ID番号 〇〇の〇〇 と申します

12/〇初診
12/〇~12/〇(2泊3日) 入院手術
1/〇 診察,病理結果
2/〇 BRCA,PD-L1検査結果

この度は迅速にご対応頂き、安心して手術できた事を心より感謝しております。

今後(北陸)の病院で治療をする予定ですが、2/12の診察の際には自分の考えがまとまっておらず質問できなかった事がありましたのでこちらで質問させてください。

以下が簡単な病歴です。

2013,11 左乳がん ステージ1 TN (FEC4回)
2015,8 卵巣がん ステージ1
2018,1 右乳がん ステージ1 her2 (ハーセプチン17回)
2019,12 右rotterリンパ節再発2個 TN 節外浸潤あり

rotterリンパ節再発の際に田澤先生に手術していただき、BRACAとPD-L1の検査をしたところどちらも陽性でした。

今後の治療方法は3パターンかと思っています
1,放射線→リムパーザ

2,テセントリク+アブラキサン→放射線→リムパーザ

3,タキサン系→放射線→リムパーザ

質問です
◯BRCA,PD-L1ともに陽性の場合はリムパーザを先行して使うことが多い(学会などでもそう説明されることが多い)と田澤先生は仰っていたと思いますがそれは遠隔再発している場合に副作用の少ないものから順に使用して、効かなくなったら化学療法という場合でしょうか。

◯局所再発で根治を目指す場合、化学療法+放射線+リムパーザをすべて使用し治療することは無駄ではないですか?もしくは放射線+リムパーザで充分ですか?
(右側の時に抗her2ではなくハーセプチン単剤にしてしまっているのも気になっています。
rotterの再発がトリプルネガティヴなので
今からでも抗がん剤もするべきか、今更なのか、、、)

◯"今週のコラム139回目 202x年には、術前診断時のサブタイプの検査が「ER, PgR, HER2, BRCA」となるのです!!(おそらく)"を読んで、リムパーザはハーセプチンほどの期待があると印象を受けました。

もしも私の治療を化学療法+放射線+リムパーザにした場合、順番は化学療法→放射線→リムパーザ?と思いますが、化学療法と放射線を完了させるまでの約5ヶ月はもったいないですか。
それよりも早くリムパーザを使い始めるために放射線→リムパーザのみの治療にした方がよいですか。

◯今後リムパーザが術後補助療法として承認された場合、単独になると思いますか それとも化学療法→リムパーザになると思いますか
(未来のことなので先生のお考えがございましたら教えてください)

◯リムパーザを補助療法として使用したデータはありますか?
また補助療法として承認されていないリムパーザと承認されている化学療法(TC等)はどちらが効き目があると思いますか

◯放射線治療とリムパーザ服用は同時にはできませんか(化学療法とリムパーザは併用できませんでしたよね?)

◯化学療法+放射線+リムパーザで治療をする場合、化学療法は何を選択すべきですか
①PD-L1陽性のため、テセントリク+アブラキサン
(補助療法としての効果は不明?)
②現在の補助療法の標準治療であるTC等
(アンスラサイクリンは6年前に使用している為タキサン系のみ)
③その他

治療方法がいくつかあるのでありがたい事だと思っています。
リムパーザを優先させると化学療法ができない(リムパーザを出来るだけ長く服用したいため)、化学療法をやろうと思うとリムパーザが後回しになる、、どちらもメリットデメリットがあり、考えるほど何を優先させるべきがわからなくなってしまいました。

今のところあまり例がない治療だと思うので自分で決めるしかないですが、是非先生のお考えを参考にしたく質問させていただきました。

診察の時と重複もあるかと思いますがご意見をお聞かせください。

また、定期的に診察へ伺った際はよろしくおねがい致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「◯BRCA,PD-L1ともに陽性の場合はリムパーザを先行して使うことが多い(学会などでもそう説明されることが多い)と田澤先生は仰っていたと思いますがそれは遠隔再発している場合に副作用の少ないものから順に使用して、効かなくなったら化学療法という場合でしょうか」
→そうではありません。

治療には(期待される)「効果」と(予想される)「副作用」のバランスがあります。
〇効果
対象者(コントロール群)が異なるので正確に「atezolizumab + nab-paclitaxel」と「olaparib」の効果を比較できないことを承知で敢えてprogression flee survival(PFS)で比較すると
Atezolizuma + nab-paclitaxelの(nab-paclitaxel単独投与群に対する)PD-L1陽性集団でのHRは0.62 (IMpassion130試験)
Olaparib群の(化学療法選択群に対する)HRは0.58(OlympiAD試験)

HRとは対照群のイベント発生を1とした時に発生するイベントの割合なので次のような意味となります。
Atezolizumabを加えることでnab-paclitaxel単独に対して38%増悪を低減させる。
Olaparibは他の抗がん剤選択群に対して42%増悪を低減させる。

副作用
Atezolizumab + nab-paclitaxel
・(一般的な)抗がん剤であるnab-paclitaxelによる副作用(痺れ、倦怠感など)に加えて(免疫チェックポイント阻害剤である)atezolizumabによる副作用(immune-related adverse events: irAE)がある。

Olaparib 上記副作用が比較的軽度

これら効果と副作用のバランスから(BRCA陽性なら)Olaparibを優先という使い方が一般的だと思います。(ただし学会推奨などではありません)

「◯局所再発で根治を目指す場合、化学療法+放射線+リムパーザをすべて使用し治療することは無駄ではないですか?もしくは放射線+リムパーザで充分ですか?」
→(全て行うことが)無駄だとは思いません。

 ご本人が(なるべく頑張りたいという意思であれば)全て行うべきでしょう。

「もしも私の治療を化学療法+放射線+リムパーザにした場合、順番は化学療法→放射線→リムパーザ?と思いますが」
→この順番に関しては、

 質問者が「taxane未治療」という特殊事情があります。(FECとtrastuzumabしか術後補助療法として行っていない)
 ☆ olaparibの適応に「anthracycline 及びtaxane既治療」とあります

 必然的に (taxaneであるnab-paclitaxelを先に使用するために)
 Atezolizumab + nab-paclitaxel→orapalibとなります。
 放射線の順番は「どこでも」いいとは思います。

「◯今後リムパーザが術後補助療法として承認された場合、単独になると思いますか
それとも化学療法→リムパーザになると思いますか
(未来のことなので先生のお考えがございましたら教えてください)」

→これに関しては(術後補助療法としての)治験OlympiAを参考にするしかありませんが、

 この臨床試験の適格基準として「- アントラサイクリン系、タキサン系あるいは両剤の併用による少なくとも6サイクルの術前補助化学療法又は術後補助化学療法を終了済みの患者。」とあります。
 これから推測すると「アンスラサイクリンまたはタキサン既治療」に限定されそうです。

「◯リムパーザを補助療法として使用したデータはありますか?」
→これが(上記)OlympiAであり、現在進行中です。(結果は未)

「また補助療法として承認されていないリムパーザと承認されている
化学療法(TC等)はどちらが効き目があると思いますか」

→現時点の解釈では(あくまでも)anthracycline及びtaxaneよりは「下位」それ以外の(eribulin/capecitabine/vinorelbineなど)よりは「上位」という位置づけです。

「◯放射線治療とリムパーザ服用は同時にはできませんか(化学療法とリムパーザは併用できませんでしたよね?)」
→olaparibも(経口)抗がん剤なので、放射線と併用は行いません。

「◯化学療法+放射線+リムパーザで治療をする場合、化学療法は何を選択すべきですか
①PD-L1陽性のため、テセントリク+アブラキサン
(補助療法としての効果は不明?)
②現在の補助療法の標準治療であるTC等
(アンスラサイクリンは6年前に使用している為タキサン系のみ)③その他」

→これは(迷うことなく)①でしょう。

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