[管理番号:12890]
性別:女性
年齢:43
病名:浸潤性乳がん
症状:
投稿日:2025年07月14日
6月上旬に右胸の部分切除術、センチネルリンパ節生検を受けました。
4月下旬に行った術前の病理検査では核グレード1、ホルモン受容体ER陽性、PgR陽性、HER2陽性(3+)、Ki67 37%、脈管侵襲(-)、非浸潤癌成分(+)、solid
tipe、波及度 f(+) でした。
エコー等での腫瘍の大きさは8.9㎜、初期の乳がんステージ1、腫瘍を取ってみて正確な大きさを測って1㎝を超えていたら抗がん剤治療をするとの説明を受けました。
術後リンパ節転移無しでした。
術後の病理検査結果、核グレード3(核異型2、核分裂像3)、Ly1、V1、f、断端陽性(皮膚側)、浸潤経13×10×10㎜、浸潤経+乳管内進展巣13×10×10㎜、pT1c
癌細胞の静脈侵襲が一部に見られる。リンパ管侵襲が目立つ。切除断端への浸潤癌露出が複数箇所で見られる。断端露出は最大9㎜長の範囲にわたって非連続的に見られる。
とのことで、抗がん剤治療をすることになりました。術前の結果とかなり悪くなってしまいショックです。
AC-DH療法を3週間に1度、4回。その後ドセタキセル、ハーセプチン(トラスツズマブ)を3週間に1度、4回。その後ハーセプチンのみ14回。と説明を受けました。
術後の結果が出る前、自分で色々調べたところ、リンパ転移無しの腫瘍3㎝以下HER2陽性患者には術後にパクリタキセルとハーセプチンを1週間ごとに12週、その後ハーセプチンを1週or3週ごとに40週することで10年後再発なく生存率が高いとの海外の論文があることを知り、この治療をしていただけるのかと思っていました。
治療費のことを考えると主治医に提案していただいた治療がよいのかとも思いますが、、、
田澤先生に質問したいこと
1、私はこの自分で調べた抗がん剤治療法は対象外でしょうか?
2、田澤先生はどちらの治療が再発率がより低いとお考えでしょうか?
3、治療方針を決めるにあたり、リンパ節転移無しのリンパ管侵襲無し、リンパ管侵襲有り、リンパ節転移有りでは方針はかなり変わりますか?
4、右胸の右下に腫瘍があったのですが、断端陽性(皮膚側)は取り切れたと判断すると言われました。これは今後の抗がん剤、放射線、ホルモン療法で消えるとの判断なのでしょうか?残っていると思うと不安です。
まだ小学生の子供もおり、再発したくありません。まだまだ生きたいです。
どうか田澤先生のご意見を参考にさせていただきたいです。
宜しくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。 田澤です。
13mmなのだから、あくまでも早期発見に安心するべきであり『術前の結果とかなり悪くなってしまいショック』というのは、ちょっと心配しすぎですよ。
AC-DH療法を3週間に1度、4回。その後ドセタキセル、ハーセプチン(トラスツズマブ)を3週間に1度、4回。その後ハーセプチンのみ14回。と説明を受けました。
⇒細かくて申し訳ありませんが…
AC-DH自体がACx4⇒docetaxel+trastuzumabx4のことなので、正確に記載すると
AC療法を3週間に1度、4回。その後docetaxel, trastuzumabを3週間に1度、4回、その後trastuzumabのみ14回となります。
♯ただ部分切除なので放射線があるわけですが、それはdocetaxel+trastuzuamb⇒radiation⇒trastuzumab単剤で14回(9か月)となります。
術後の結果が出る前、自分で色々調べたところ、リンパ転移無しの腫瘍3㎝以下HER2陽性患者には術後にパクリタキセルとハーセプチンを1週間ごとに12週、その後ハーセプチンを1週or3週ごとに40週することで10年後再発なく生存率が高いとの海外の論文があることを知り、この治療をしていただけるのかと思っていました。
⇒これは生存率が高いために使うのではなく、(寧ろ)負担を小さくするためのregimenです。
但し、trastuzumabは術後補助療法として用いる場合はweeklyにしろtri-weeklyにしろ「1年間」限定となります。
田澤先生に質問したいこと
1、私はこの自分で調べた抗がん剤治療法は対象外でしょうか?
⇒無論、早期なのでweekly paclitaxel+trastuzumab regimenは十分に対象となります。
2、田澤先生はどちらの治療が再発率がより低いとお考えでしょうか?
⇒これは(直接比較は無いとは言え)主治医の提案するanthracyclineも含むregimenの方が強力です。(寧ろ、質問者のような早期乳癌で「そこまで必要?」とは思います)
3、治療方針を決めるにあたり、リンパ節転移無しのリンパ管侵襲無し、リンパ管侵襲有り、リンパ節転移有りでは方針はかなり変わりますか?
⇒リンパ管侵襲は無意味ですが、リンパ節転移有の場合には分子標的薬として(trastuzumabに加え)pertuzumabも適応となります。(現在は
trastuzumab+pertuzumabの合剤としてphesgo皮下注があります)
そしてリンパ節転移陽性の場合には(主治医のいうような)anthracyclineも行うregimenを検討することとなります。(私ならリンパ節転移4個以上ないとtaxane+trastuzumabだけで、anthracyclineは行いませんが)
4、右胸の右下に腫瘍があったのですが、断端陽性(皮膚側)は取り切れたと判断すると言われました。これは今後の抗がん剤、放射線、ホルモン療法で消えるとの判断なのでしょうか?残っていると思うと不安です。
⇒単純に…
皮膚側というのは「術中に腫瘍を露出しない限り」通常は(病理では断端陽性と見えても)実際は断端陰性だからです。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/7/29
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