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乳房全摘エキスパンダー挿入後、センチネルリンパ節転移が判明

[管理番号:12813]
性別:女性
年齢:54歳
病名:小葉癌
症状:なし
投稿日:2025年06月14日

田澤先生の的確な診断とわかりやすい治療方針を見て学ばせていただいています。術後にセンチネルリンパ節転移と小葉癌であることがわかり治療方針について悩んでいます。田澤先生のご見解をお聞かせください。

 2024年12月(中旬)日健康診断の乳腺エコーで、左乳房に4×6mmの腫瘍を指摘され、1月(中旬)日の乳腺穿刺で乳がんと診断されました。その後のCT・MRI検査でリンパ節や他臓器に転移の所見はありませんでしたが、病変が乳頭直下に位置していたことから乳房全摘することになりました。手術は4月になるが、おとなしそうなので心配ないとのことでした。早期発見と言われていたので待つことにしました。
【乳腺穿刺病理組織診断】
[検体]
 左乳房E領域の6㎜大の腫瘤に対するCNB検体2本
[組織学的初見]
該当箇所が少ないが、線維性間質内に、一列~索状、個細胞性に上皮様細胞に疎かに浸潤。免疫染色でも、AE1/3(+)、p63(-)であり浸潤癌。Eーカドへリンは消失からわずかに陽性で、小葉癌が鑑別となるが、HEでは包巣や小腺管形成がわずかに混在し、硬性型の浸潤性乳管癌を第1に考える。レセプター検索や術後検体とも合わせて評価してください。
核グレードは核異型:1点+核分裂像:1点=2点、
組織学的グレードは腺管形成:3点+核異型:1点+核分裂像:1点=3点相当。
ER:(+)P?R:(-)HER2(IHC):(1+)Kⅰ64:2.9%

 2025年4月(下旬)日 左乳房切除術、乳房再建術(エキスパンダー挿入)を行いました。センチネルリンパ節に転移なく予定通り終了しました。4月(下旬)日に創部壊死していることがわかり、現在もネグミンシュガーによる処置を継続しています。そのため、生理食塩水の注入は始まっていない状況です。
 
 5月(中旬)日退院後の外来受診で、小葉癌であったこととセンチネルリンパ節に転移があったことを告げられました。
【乳房全切除術・センチネルリンパ節郭清病理組織診断】
[主病変]
術式:左乳房全切除術
局在部位:E 浸潤径:7×5㎜ 組織型:浸潤性小葉癌(100%)(#10、#12)
T因子:pT1b 癌波及度:f リンパ管侵襲:Ly0 静脈侵襲:V0
断端:close(#10)断端の評価:浸潤癌、皮膚側断端、距離4㎜(#10)
リンパ節転移:pN1?(最大径3.5㎜)(AE1/AE3の免疫染色を加えて評価)
センチネルリンパ節(#1)[1/1]
ER:95% P?R:70% HER2 score:0 Kⅰ64 index:平均5%、hot spot10%
TIL:<5%
[副病変]
別部位(主病変から35㎜ほど頭側)に径4㎜の浸潤性小葉癌(娘結節相当)(#8)
別部位(主病変から35㎜ほど頭側)lobular carcinoma in situ(#9)
[コメント]
癌細胞が小索状、弧在性に増殖。腺管形成などは不明瞭。Eーcadherinの免疫染色は陰性。これら所見から小葉癌と判断。
術中迅速診断:永久標本のセンチネルリンパ節(#1)ではAE1/AE3陽性の癌細胞を認める。迅速標本は(T2502434)(F#1)の切片上、同様の癌細胞の同定は困難。

 主治医からは、エキスパンダーが入っているので感染リスクが高くでリンパ節郭清の追加手術はできない、放射線治療・MRIはできない、しっかり検査をしながらリンパに変化があったときには、再建のタイミングでリンパ節郭清してはどうかと提案がありました。ホルモン療法を開始して、定期検査を丁寧に行っていくこと、再建前にCTで評価すること、抗癌剤とPETは効果がないと説明があり、セカンドオピニオンを勧められました。
 再建のタイミングまで待つことに不安を感じ、エキスパンダーが入っていなかったらやっていた治療をエキスパンダー抜去してもかまわないのでやりたいと伝えました。主治医は検査でリンパに変化がない限りホルモン治療以外の治療はやらない方針のようで、エキスパンダーの抜去とその後の放射線治療は患者がやりたいと言うならやりますので考えてきてくださいと言われました。

【質問1】 病態評価をお願いします。
① 断端評価:皮膚側断端、距離4㎜、  ? リンパ節転移:pN1?(最大径3.5㎜)センチネルリンパ節(#1)[1/1]、
③ 副病変が2個
特に心配になったのは上記です。
【質問2】 今後の方針についてご意見をお願いします。
① 定期検査を行いリンパ節に異常所見がなければ補助療法はホルモン療法(タモキシフェン)のみでよいのでしょうか。センチネルリンパ節への転移は術前検査ではわかりませんでした。そのことからセンチネルリンパ節をひとつしか採取しませんでした。
② 異常所見が認められた場合、治療は再建のタイミング(半年以上先)まで延ばしてもよいのでしょうか。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

シンプルに…

「主治医からは、エキスパンダーが入っているので感染リスクが高くでリンパ節郭清の追加手術はできない」
⇒これが「誤り」です。

インプラント挿入部と「腋窩」は全く別部位なので、腋窩郭清はインプラント入ったままでも何ら支障はありません。
ご参考に。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/7/1
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