[管理番号:12747]
性別:女性
年齢:51歳
病名:乳がん
症状:左Aしこり+娘結節あり、リンパ節転移あり。リンパ浮腫発症中
投稿日:2025年05月23日
田澤先生
初めまして。ガイドライン読了後、こちらで勉強させていただいております。
乳がんルミナルA/病期ⅢAと診断後、部分切除+腋窩廓清手術を受け、現在放射線治療9回/16回終了。
10年の予定でノルバテックスを服用中です。
当初ベージニオも併用する予定でしたが、
放射線治療科から主治医へ、間質性肺炎のリスクを減らすために延期を要請があり、
ベージニオは放射線治療完了後から2年服用することとなリました。
担当医の判断で再発リスクが高いこと、私の都合による化学療法の未選択により、
ベージニオ終了後にTSー1服用の推奨されています。
(TSー1は私は選択しない旨将来的に担当医には伝えます。)
担当医が若く、カンファレンスが定期的になされているとも思えず、
さらに閉経前(血液検査値と最終生理6ヶ月前による判断)にも関わらず、
フェマーラを一回処方され、こちらからの疑義申出でノルバテックスに処方変更されたこともあって
治療内容を信じ切ることができずにいます。(担当医より年齢だけで判断して処方したと笑って謝罪あり)
そこで、先生のご経験から、現在の治療及び再発検査についての評価と、
オンコタイプdxが適用外の場合の高リスクの評価をどのように考えるかをご教授くださいませ。
術前検査結果
組織型1:invasive carcinoma of no special type (scirrhous type)
グレード:NA3,MI1 = NG2
浸潤癌巣:なし 脂肪織浸潤:あり TIL:mild
ER:95% PgR:80% HER2:2+ Ki-67 LI:10-20%
→部分切除の上 ホルモン療法を先に開始し、リンパ漏落ち着き次第放射線治療予定
→術後説明では、予定外の腋窩郭清を行ったため化学療法を検討する
術後病理検査診断
invasive carcinoma of no special type (scirrhous type)
左A領域乳房部分切除検体 95X65X15cm
浸潤径および浸潤径+乳管内進展巣 15X9X15㎜
Ly0 V0 NA2,MI1=NG1 乳管形成3点 TIL Mild
水平、体表側、胸壁側断端 全て (-)
センチネルリンパ節5/7 (うちmicro1)
リンパ節転移 レベルI 3 /4 レベルII 1/4
ER100%PgR100% HER2 2+(FISH陰性) Ki-67 LI:20%
→*病期とサブタイプを敢えて質問したところ、ⅢA で Luminal A でしょうとのこと
(病期は重要視していないが、そこまで知りたいならと教えて頂きました)
*リンパ節転移数9、年齢、子育て中であることから、
①ddAC→ ddPTX →放射線→TAM+ベージニオを実施をカンファで決定した(化学療法につき私に選択肢がないので変更不可)
*オンコタイプdx以外の抗がん剤上乗せの評価方法がない以上、高リスク患者には抗がん剤は必須との説明
実際の治療
①の計画について、化学療法についてはアルコール耐性がなく重度アレルギー体質である、
緊急時に病院側では処方できない他科の薬を飲んでおり心臓に負担がかかる薬である、
手の痺れが仕事に影響する為、治療に問題がないか再検討をお願いしたところ、下記②にて遂行中。(冒頭部分をまとめます)
②放射線治療→ノルバテックス10年+遅れてベージニオ2年→TS-1(実際使うとなったら断ります)
(注)ベージニオ開始前に肺レントゲン検査等は実施しない
今後の検診
年1でマンモ(エコーなし)
ルミナルAで抗がん剤治療を上乗せすることを年齢とリンパ転移数で判断されていること、
高リスクの治療のわりに、検診が年1でエコーである理由が年1が一般的と判断されていることにつき、
腹落ちしておりません。前向きに治療をするため、最適解が知りたいです。
お忙しいところ大変恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
当初ベージニオも併用する予定
⇒そもそも、CDK4/6阻害剤は放射線と併用すべきではありません。
フェマーラを一回処方され、こちらからの疑義申出でノルバテックスに処方変更されたこともあって
治療内容を信じ切ることができずにいます。(担当医より年齢だけで判断して処方したと笑って謝罪あり)
⇒そもそも、乳腺外科医として経験を積めば51歳=閉経とは思いません。
少なくともこの10年で閉経年齢は55歳以上が一般的となっています。
センチネルリンパ節5/7 (うちmicro1)
リンパ節転移 レベルI 3 /4 レベルII 1/4
⇒レベル2に転移があったのに鎖骨下郭清していないことに危惧を感じます。★
*リンパ節転移数9、年齢、子育て中であることから、
①ddAC→ ddPTX →放射線→TAM+ベージニオを実施をカンファで決定した(化学療法につき私に選択肢がないので変更不可)
*オンコタイプdx以外の抗がん剤上乗せの評価方法がない以上、高リスク患者には抗がん剤は必須との説明
⇒pN2(つまりリンパ節転移4個以上)では、「抗がん剤を省略してもよい」というエビデンスがないからです。(同様にOncotypeDXの適応もない)
②放射線治療→ノルバテックス10年+遅れてベージニオ2年→TS-1(実際使うとなったら断ります)
(注)ベージニオ開始前に肺レントゲン検査等は実施しない
今後の検診
年1でマンモ(エコーなし)
ルミナルAで抗がん剤治療を上乗せすることを年齢とリンパ転移数で判断されていること、
高リスクの治療のわりに、検診が年1でエコーである理由が年1が一般的と判断されていることにつき、
腹落ちしておりません。前向きに治療をするため、最適解が知りたいです。
⇒上記★のリスクを考えれば、当然担当医が責任をもって(ホルモン療法で3か月に1回通院するわけだから…)毎回エコーすべきですね。
それと私なら毎回腫瘍マーカーの採血をします。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/6/11
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