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病理の結果と今後の治療方針について

[管理番号:12700]
性別:女性
年齢:44
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2025年05月07日

はじめまして。
4月(中旬)日に両側同時乳がんで両胸全摘の手術を終えました。
リンパ節への転移はありませんでした。
術前の針生検では、女性ホルモン陽性、HER2陰性、Ki67 10%、と比較的おとなしめの乳がんだといわれていたのですが、術後の検査結果が下記のとおり出ております。
(コメントについてはこの度質問させて頂きたいLesion①のみ記載しております。)

【Right breast, mastectomy,】

(Lesion①) Invasive breast carcinoma with osteoclast-like stromal giant cells
pT1c(浸潤径:14x12mm,浸潤径+乳管内進展巣:14x12mm)
g(+), f(+), s(-), Ly0, V0, EIC(-), NG3, HG II

(Lesion②) Ductal carcinoma in situ with osteoclast-like stromal giant cells
pTis(DCIS),病変径:35x30mm

Right axillary lymph node (sentinel), biopsy, No metastasis of carcinoma (0/2)
pNO(sn)

【Left breast, mastectomy,】
Invasive beast carcinoma with osteoclast-like stromal giant cells
pTic(浸潤径:15x12mm,浸潤径+乳管内進展巣:15x12mm)
g(+), f(+), s(-), Ly0, V0, EIC(-), NG1, HG I

Left axillary lymph node (sentinel), biopsy, No metastasis of carcinoma (0/1)
pNO(sn)

《コメント》
(Lesion①)
肉眼的には割面最大径約13x10mm 大、出血を伴う淡褐色~淡茶褐色調の不整腫瘤として認識できます。組織学的にはクロマチンが増量し腫大した楕円形~類円形の異型核、明瞭な核小体を持ち、弱好酸性の胞体を有する腫瘍細胞が不整管状構造、癒合腺管形成、小型~中型の胞巣状、細索状~中索状を呈して浸潤性に増殖しています。腫瘍細胞周囲に破骨細胞型の多核巨細胞が認められ、背景に出血、血管増生、リンパ球?形質細胞主体の炎症細胞浸潤が目立ちます。浸潤性乳癌であり、破骨細胞型多核巨細胞を伴う浸潤性乳癌(WHO分類第5版ではinvasive breast carcinoma of no special type,carcinoma with osteoclast-like stromal cells)と判断します。
Nuclear grade は 3 (score5=2+3)、組織学的異型度は II(score7=5+2)です。非浸潤成分(乳管内成分)が確認できます。腫瘍細胞は周囲脂肪織内に浸潤しています。
作製標本上における浸潤成分の最大径は約14x12mm 大です。D2-40、CD34の免疫染色も行い検索しましたが、作製標本内には脈管侵襲像は認められません。腫瘍細胞は免疫染色にて ・u桷タEURテ勗・更ォ、PgR(+:99%)、AgR(+:99%)、FOXAl(+:99%)、
GATA-3(+:99%)、HER2(2+)を示し、Ki-67 labeling index は約30%です。

上記の結果を受け、現在追加でFISH検査の結果待ちです。
今後の治療方針としては、FISHの結果が陰性であれば、ホルモン療法+TS-1、陽性であればホルモン療法+抗がん剤(ハーセプチン?)と言われております。

田澤先生にお聞きしたい点は、

★破骨細胞型多核巨細胞を伴う浸潤性乳癌はとても珍しいとの説明を受けたのですが、これは治療方法や予後に何か影響のあるものでしょうか。再発率や転移などへの影響を心配しております。

★今後の治療方針として、田澤先生はTS-1を使用しないことは承知しております。田澤先生でしたらこういったケースの場合どういった治療をされますか。

★Ki-67 30%と高いところが気になっております。主治医にOncotype DXは現時点では必要ないと言われておりますが、検査依頼したほうがよいでしょうか。

★ステージ1との診断でした。サブタイプは治療法の為にあるものとの理解です。
色々と混乱しておりますが、通常のステージ1の予後を想定してよろしいでしょうか。

以上です。
よろしくお願い致します。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

私が決してTS-1を術後補助療法で使わないことは大前提として

今後の治療方針としては、FISHの結果が陰性であれば、ホルモン療法+TS-1
⇒普通にOncotypeDXしましょう。◎

陽性であればホルモン療法+抗がん剤(ハーセプチン?)と言われております。
⇒無論HER2陽性であればanti HER2 therapy(trastuzumab+chemotherapy)となります。◎◎

田澤先生にお聞きしたい点は、

★破骨細胞型多核巨細胞を伴う浸潤性乳癌はとても珍しいとの説明を受けたのですが、これは治療方法や予後に何か影響のあるものでしょうか。
⇒ありません。
 コメント内にあるように、あくまでも「 no special type(特殊型ではなく、通常のタイプ)」にすぎません。

★今後の治療方針として、田澤先生はTS-1を使用しないことは承知しております。田澤先生でしたらこういったケースの場合どういった治療をされますか。
⇒上記◎及び◎◎をご参照のこと

★Ki-67 30%と高いところが気になっております。主治医にOncotype DXは現時点では必要ないと言われておりますが、検査依頼したほうがよいでしょうか。
⇒30は「全く」高くないですよ!!!
 当然OncotypeDXしましょう。

★ステージ1との診断でした。サブタイプは治療法の為にあるものとの理解です。
色々と混乱しておりますが、通常のステージ1の予後を想定してよろしいでしょうか。

⇒10000%その通りです。
無駄な心配をすることは「杞憂(天が落ちてくるのでは?と無駄に心配するの意)」というものです。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/6/3
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