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タモキシフェンにより子宮筋腫が大きくなった。GnRha薬を使うべきか。

[管理番号:12094]
性別:女性
年齢:51歳
病名:乳がん ステージ1
症状:タモキシフェンにより子宮筋腫が大きくなる
投稿日:2024年09月29日

田澤先生、初めて質問させて頂きます。
2024年1月に右乳房全摘出手術を受けました。病理検査の結果は浸潤性乳管癌の乳頭腺管癌でした。
・切除断端の状態 陰性(癌はとり切れている)、脈管侵襲 リンパ管侵襲 無、静脈侵襲 無、波及度 乳腺
・癌の大きさ 浸潤癌の部分 0.7㎝×0.7㎝、非浸潤部 1.4㎝×1.3㎝×3.4㎝
・リンパ管転移の状況 リンパ節転移なし(1個切除、うち転移は1個もなし)
・免疫染色の結果 ホルモン感受性 有 ER90% PgR95% HER2蛋白の発現 2+FISH陰性 Ki‐67 1‐9%
・病期 ステージ1A

2024年3月よりタモキシフェンを服用するホルモン療法をしています。タモキシフェンの副作用はあまり感じていなかったのですが8月頃から気分の落ち込みがひどくなりました。9月20日に婦人科の検診に行きました。子宮筋腫があり3年前からミレーナを入れています。生理は来なくなりました。昨年10月は血液検査の結果ホルモン値は下がってきていて閉経に向かっており子宮筋腫の大きさもあまり変わっていませんでした。

しかし今回は子宮筋腫が大きくなり1番大きいものは8㎝あるそうです。タモキシフェンで女性ホルモンを抑えているはずなのに子宮筋腫が大きくなっているのでGnRha薬を使用して女性ホルモンを抑えたほうが良いのではと言われ血液検査をしました。結果を見て決めるそうです。

9月(下旬)日に乳がんの主治医の定期診察があり婦人科の医師の話をしました。すると「タモキシフェンで子宮筋腫が大きくなることはあります。女性ホルモンのようなものですから。子宮筋腫を切除した人もいます。GnRha薬を使ってもいいですが更年期症状は強く出ます。どちらかを選ぶのは本人です。ミレーナは黄体ホルモンを出すので抜いたほうがいいと思います。乳がんの治療を最優先させてください。ステージ1でも再発はあります。浸潤癌なので血管に入っていますから。再発したら命は助けられません。」と言われショックを受けています。

私は1年前の骨密度検査で85%ぐらいと少し低めです。それに悪いことが重なり5月に自転車で転倒し右膝のお皿の骨を骨折し手術しています。金具が入っているのでMRIの検査が受けられません。抜釘は来年の5月頃です。GnRha薬で関節のこわばりや骨密度の低下、気分の落ち込みがひどくなると思うと不安です。

質問をまとめました。
①「浸潤癌なので血管に入っている。」という主治医の言葉がショックなのですが私の場合再発率はどのぐらいでしょうか。

②ミレーナは抜いたほうがいいでしょうか。

③血液検査で女性ホルモン値が上がっていたらGnRha薬を使用したほうがいいでしょうか。骨密度が下がると骨転移しやすくなることはありますか。

宜しくお願い致します。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

Tamoxifenは子宮刺激作用があるので「卵巣腫大」や「子宮筋腫増大」(子宮内膜症がもともとある場合には)「内膜症の増悪」を引き起こすことは「周知の事実」です。

「タモキシフェンで子宮筋腫が大きくなることはあります
⇒まさに「その通り!」

GnRha薬を使ってもいいですが更年期症状は強く出ます
⇒これも正しい。

ミレーナは黄体ホルモンを出すので抜いたほうがいいと思います。乳がんの治療を最優先させてください。ステージ1でも再発はあります。浸潤癌なので血管に入っていますから。再発したら命は助けられません
⇒これは「正しくない」というか、(こんな発言自体)賛成できません。

①「浸潤癌なので血管に入っている。」
⇒これは事実ではありません。

正しくは「浸潤癌の場合には血管に入っている可能性があります」となります。
浸潤癌の場合以下の3通りと理解しましょう。
1.そもそも血管に入り込んでいない=(術後補助療法をしなくても)再発しない。
2-1.血管に入り込んでいるが術後補助療法により死滅していまう=(術後補助療法をすることで)再発しない。
2-2.血管に入り込んでおり、術後補助療法をしても死滅しない=(術後補助療法としても)再発する。

1期ということは上記1が殆ど、5-10%が2-1であり2-2は5%以下でしょう。

私の場合再発率はどのぐらいでしょうか。
⇒それを正確に数値で知りたい場合にはOncotypeDXすべきです。
ただし、(私が予測するに)術後補助療法をしなくても(浸潤径7mmだから)5%以下でしょう。

②ミレーナは抜いたほうがいいでしょうか。
⇒必要ありません。

③血液検査で女性ホルモン値が上がっていたらGnRha薬を使用したほうがいいでしょうか。
⇒単純に…
子宮筋腫に対処するために行っては如何でしょうか?

骨密度が下がると骨転移しやすくなることはありますか。
⇒「全く」無関係

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/10/8
***

  

質問者様から 【質問2】

タモキシフェンで子宮筋腫が大きくなった。GnRha薬を使うか子宮筋腫切除か休薬か
迷っています。
性別:女性
年齢:51歳
病名:
症状:
投稿日:2024年10月15日

田澤先生 前回は丁寧な回答を頂きありがとうございました。
婦人科で血液検査の結果が出ました。FSHー血清8.4mIU/ml、エストラジオールー血清346.9pg/mlでした。一年前はFSHー血清41.7mIU/ml、エストラジオールー血清10.0
以下pg/mlで閉経に向かっていると言われていました。明らかに数値が上下しています。
婦人科の医師からは乳がん再発予防のためにも女性ホルモンを抑えて子宮筋腫を小さくするようにGnRha薬の注射を勧められています。
私は骨密度が低めで先日整形外科で検査をしたところ若年成人平均骨密度と比較した数値が腰椎77%(T:-1.9 SD)、大腿骨75%(T:-2.1SD)でした。腰椎は1年前より3%も減少していてショックを受けています。整形外科からは骨粗鬆症の治療薬としてエルデカルシトールカプセル0.75?が処方され飲み始めました。食事、生活習慣などに気を付けていきますがGnRha薬の注射をしたら骨密度がさらに下がるのではないかと思うとGnRha薬の使用に踏み切れません。

子宮筋腫は8㎝が1つと他にいくつかあります。ミレーナを3年前に挿入し生理はありません。子宮筋腫がこれ以上大きくなると子宮鏡でもミレーナが抜けなくなるのではないかと不安です。乳がんの主治医にはミレーナの抜去を勧められていると婦人科の医師に伝えたら子宮鏡のある病院に紹介状を書くので抜いてもらいましょうと言われました。でもそうするとまた過多月経が始まり貧血になると思います。それも怖くて踏み切れません。

質問
①私の骨密度ではGnRha薬は使用しないほうが良いですか。

②GnRha薬を使用しない場合は子宮筋腫の切除、子宮全摘出を考えた方が良いですか。

③エストラジオール値の上昇、子宮筋腫が大きくなったのはタモキシフェンの影響かと思いますが婦人科の医師は考えられないと言います。乳がんの主治医はそういうこともあると話していました。タモキシフェンの副作用は気分の落ち込み以外あまり出ていません。乳がん再発予防のためにタモキシフェンは続けた方が良いでしょうか。

④タモキシフェンを休薬したらエストラジオール値が下がり、子宮筋腫もこれ以上大きくならないのではないか、閉経は自然に任せることもできる、その間に骨密度を高めることもできると思うと再発率の低いステージ1の乳がん治療としてどの治療方法を選べば良いのかわからなくなってしまいます。田澤先生はどのようにお考えになりますか。

宜しくお願い致します。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

①私の骨密度ではGnRha薬は使用しないほうが良いですか。
⇒全くそんなことはありません。
YAM77%は骨粗鬆症ではありません。

②GnRha薬を使用しない場合は子宮筋腫の切除、子宮全摘出を考えた方が良いですか。
⇒それは婦人科医との相談であり乳腺外科医と相談することでは無いですよ。(乳腺外科医としてLH-RHagonistを勧めない理由はありませんが)

③エストラジオール値の上昇、子宮筋腫が大きくなったのはタモキシフェンの影響かと思いますが婦人科の医師は考えられないと言います。乳がんの主治医はそういうこともあると話していました。タモキシフェンの副作用は気分の落ち込み以外あまり出ていません。乳がん再発予防のためにタモキシフェンは続けた方が良いでしょうか。
⇒シンプルに考えましょう。

エストラジオール値は単に「質問者の卵巣が不安定である更年期に入っているので、
当然不安定」となります。なので(高かったり低かったりは)「むしろ」当たり前です。(全く不自然には思いません)
それとタモキシフェン服用は無関係です。

「タモキシフェンの副作用は気分の落ち込み」
⇒これが気にならなければtamoxifenを辞める理由がありません。

④タモキシフェンを休薬したらエストラジオール値が下がり、子宮筋腫もこれ以上大きくならないのではないか、閉経は自然に任せることもできる、その間に骨密度を高めることもできると思うと再発率の低いステージ1の乳がん治療としてどの治療方法を選べば良いのかわからなくなってしまいます。田澤先生はどのようにお考えになりますか。
⇒(申し訳ありませんが)婦人科医や乳腺外科医双方から「いろいろ」言われてしまったので「あきらかに思考が迷走」しているようです。

整理しましょう。
1.骨密度は気にする範囲ではない(治療とは切り離す)
2.Tamoxifenの服用では(質問者にとって)止めたくなるほどの「副作用がない」のであれば、休薬する理由がない
3.子宮筋腫を小さくするためにLH-RHagonistを使用することは「乳癌の再発予防」にマイナスとなることはないので推奨される
     ↑
 上記1~3でいいのでは?(これ以上、同じ質問には回答しないので、それは了承ください)

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/11/2
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