[管理番号:12050]
性別:女性
年齢:57
病名:乳がん
症状:
投稿日:2024年09月10日
田澤先生、初めまして。
いつもこちらで勉強させていただいています。
8月に右乳房全摘、腋窩リンパ節郭清(センチネル生検2個陽性)しました。
先日出ました術後病理の結果は以下の通りです。
浸潤径: 8cm 多数浸潤あり
リンパ節転移: 2個/21個中
腫瘍の悪性度: 2
脈管侵襲; 陽性
女性ホルモン受容体: 陽性 (ER陽性、PgR陽性)
HER2:陰性
Ki67:12%
Stage:ⅢA
主治医より提示された治療スケジュールは以下の通りです。
ddEC療法(アンスラ系)2週毎x4回の後wPTX療法(タキサン系)毎週x12回
抗がん剤終了後、ホルモン療法(10年)開始
現在エキスパンダー挿入中で再建後放射線治療 (1か月)
放射線治療終了後CDK4/6阻害剤(ベージニオ)開始 (2年)
以下質問です。
私のサブタイプはルミナルAなので、主治医にこのタイプでは抗がん剤の効き目は対してないのではないか、と聞いたところ、浸潤径が思いのほか大きく、脈管浸潤も多いのでお勧めします、とのことでした。効果のエビデンスを次回見せてくれるそうです。
術前はステージⅡAで術後ⅢAに変わったのですが、提示されたフルコースメニューにショックを感じています。
術後、体力も衰え、更年期障害の症状(顔のほてり、疲れやすさ)があり、抗がん剤に耐えうるのかどうかも心配ですが、体中に散って増殖しようとしている癌細胞を抑えるためには受けた方が良いのでしょうか。田澤先生はこの治療計画をどう思われますか。抗がん剤は必要でしょうか。
リンパ節レベル1と2には転移はありませんでしたが、他のリンパ節に転移するということはあるのでしょうか。
思い悩む性格のせいか、食欲もなくあまり食べられません。時々気持ち悪さ(強い吐き気ではありませんが)もあります。7月初旬の造影CTでは遠隔転移なし、でしたが、短期間に胃に転移することはあるのでしょうか。
ベージニオは副作用として間質性肺炎を発症することがある、と大きく書かれてありました。そのリスクを冒してまで服用する必要があるのでしょうか。義母を間質性肺炎で亡くしており、その怖さをよく理解しています。
お忙しいところ大変恐縮ですが、以上お答えいただければ幸いです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
皆さん、OncotypeDXの存在を疎かにしていませんか?(それは医師側にも問題があるようです。「ケモさえ勧めれば大事に至らない」みたいな曖昧な診療は厳に慎みましょう。適応があるのだから当然勧めるべきなのです。)
私のサブタイプはルミナルAなので、主治医にこのタイプでは抗がん剤の効き目は対してないのではないか、と聞いたところ、浸潤径が思いのほか大きく、脈管浸潤も多いのでお勧めします、とのことでした。効果のエビデンスを次回見せてくれるそうです。
術前はステージⅡAで術後ⅢAに変わったのですが、提示されたフルコースメニューにショックを感じています。
術後、体力も衰え、更年期障害の症状(顔のほてり、疲れやすさ)があり、抗がん剤に耐えうるのかどうかも心配ですが、体中に散って増殖しようとしている癌細胞を抑えるためには受けた方が良いのでしょうか。田澤先生はこの治療計画をどう思われますか。抗がん剤は必要でしょうか。
⇒冒頭に記載したように…
そのためにこそ、OncotyepDXがあるのです。
是非、受けてください。
リンパ節レベル1と2には転移はありませんでしたが、他のリンパ節に転移するということはあるのでしょうか。
⇒これは執刀医がどこまでキッチリ郭清したのか?執刀医に確認すべきでしょう。
ただし、術前画像診断で転移無の所見(だからセンチネルリンパ節生検の適応となっているわけです)で、かつ21個リンパ節郭清していることからは「郭清は十分行われた」ように思います。
思い悩む性格のせいか、食欲もなくあまり食べられません。時々気持ち悪さ(強い吐き気ではありませんが)もあります。7月初旬の造影CTでは遠隔転移なし、でしたが、
短期間に胃に転移することはあるのでしょうか。
⇒胃には乳癌は100000%転移しません。
何でもかんでも「転移を疑う」のは辞めましょう。(それこそ「胃に」悪いですよ)
ベージニオは副作用として間質性肺炎を発症することがある、と大きく書かれてありました。そのリスクを冒してまで服用する必要があるのでしょうか。
⇒OncotyepDXをして「抗癌剤が必要であれ、不必要で有れ」(浸潤径+pN1より)abemaciclibの適応があります。
間質性肺炎は「極めて」低頻度なので、まず心配する必要はありません。(無論、余程の肺炎高リスク因子が無い限り)
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/10/3
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