[管理番号:11864]
性別:女性
年齢:45歳
病名:乳がん(トリプルポジティブ)
症状:6月に入り、右胸のしこりと脇の下のしこりが痛みだしました。その他、咳も出ております。
投稿日:2024年06月14日
田澤先生、初めまして。東北からお世話になります。
今回、乳がんの術前抗がん剤について、先生からのご意見をいただきたく投稿させていただきました。
よろしくお願いいたします。
昨年12月、かかりつけの乳腺クリニックにて、エコー、マンモ、触診の定期健診にて問題なしでした。
今年の5月末、寝大仏のように横になった時に、右の脇の下にしこりを発見しました。翌日、かかりつけの乳腺専門クリニックを受診し、検査マンモとエコーに検査を実施。マンモに病変は映っていなかったのですが、エコーで見た結果、右胸に1.1cmのしこりが見つかりました。
12月の検診では何もなかったことから、医師から「がんだった場合は進行が速いものが考えられる」と伝えられ、その日のうちに右胸の病理検査と脇の下の細胞診を行いました。
◇右胸病理
【病理組織検診断】
breast, CNB: malignant, invasive ductal carcinoma
HER2-DISH positive
【組織所見】間質に高度のリンパ球浸潤を伴い、異型細胞が大小の胞巣を形成し浸潤しています。
・ER:PS(5)+IS(3)=TS(8)陽性細胞100%
・PR:PS(5)+IS(3)=TS(8)陽性細胞100%
・HER2/neu score:2+
・MIB-1 LI:31%
・HER2/CEP17比=2.6
・HER2遺伝子コピー数(平均4.7)
◇右脇細胞診
【判定】腋窩リンパ節:悪性
【細胞診断】Metastatic carcinoma
【細胞所見】血性背景に、NC比増大、クロマチン増量、核の大小不同、核小体肥大を示す乳管上皮細胞を集塊~孤存性に多数認めます。乳癌の転移が考えられます。
上記にてトリプルポジティブと診断されました。
告知の時にクリニックの医師からは、フェスゴ+ドセタキセルの治療から始まると思うが、1日でも早く投与を開始したほうがよい…と言われ、田澤先生の母校でもある大学病院を紹介いただきました。
まだMRIやPETCTの検査は終わっていない状況なのですが、6/(中旬)の検査でマンモ、エコー、x線写真、血液検査後に、医師からはステージ2aと診断され、これからの治療方針を説明されました。
ですが、どうしても術前の抗がん剤治療の使う順番に納得ができず、田澤先生のご意見を伺いたく投稿させていただいた次第です。
大学病院からの治療方針は以下の通りです。
まずはAC療法を4クール行い、そのあとにフェスゴ+ドセタキセルを4クール。それから手術との説明でした。
ここで私は抗がん剤の薬の順番に疑問を感じ、以下のように質問してみました。
「なぜHER2とわかっている私のがん治療に対し、初めにAC療法を行うのですか?進行の速い私のがんに対しては、初めに直接HER2に効くフェスゴ+ドセタキセルを使う方がよいと思うのですが、なぜAC療法からなのですか?」と…。
すると医師からは、「正直、どちらから始めても問題ないのですが、うちの病院はAC療法からが基本です。西の病院はフェスゴ+ドセタキセルから始め、そのあとにAC療法を行う病院も多いです。日本全体でみるとどちらから始めるのも半々くらいの割合です。どうしてもフェスゴ+ドセタキセルからがよいならそれでも良いですよ」とのこと。
私は、私の病状の進み具合を基本としての治療方針の説明ではなく、病院の治療方針の説明であったことから、ますます不安になりました。
私自身に、今の私にAC療法を行う必要性を見いだせないことは私の知識不足もあるとは思います。
その他、私には非アルコール性肝炎(ステージ2)の持病があり、抗がん剤治療にて悪化した場合、抗がん剤のお休みも検討されることを伝えられました。それにより抗がん剤の中断も視野に入れて考えたときに、本当にAC療法からでよいのか…と悩んでおります。
このような状況で不安しかなく、是非田澤先生からのご意見をいただきたく存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
AC療法を4クール行い、そのあとにフェスゴ+ドセタキセルを4クール
⇒anthracyclineがHER2陽性乳癌に対して(他のsubtypeよりも)より効果があることはエビデンスがあります。
なので(早期乳癌として術後補助療法として行う場合には省略できても)術前抗がん剤として用いる場合には「anthracyclineは省略できない」という原則があります。
順番は「どちらでもいい」が正解ですが、(私の経験上)anthracyclineの方が安心感があります。
★ただ抗癌剤が100%効くわけではないので、常に(効かなければ)手術不能となる前に手術へ切り替えるという意識は忘れないようにしましょう。(そもそも「術前抗がん剤1択」がいいとは思いませんが)
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/6/24
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質問者様から 【質問2】
乳がんの進行の速さと治療について
性別:女性
年齢:45
病名:乳がん
症状:トリプルポジティブ
投稿日:2024年07月09日
お世話になっております。
先日質問させていただき、アドバイスをいただきました。
そこで先生に再度ご意見をいただきたく投稿させていただきました。
先日、私の乳癌の検査結果を記載しましたが、私の癌はどれくらい進行の早い癌なのでしょうか?
抗がん剤治療治療が効かずに転移してしまうのが怖くて仕方ありません。
今ならステージ2Aということもあり、手術が確実に可能であるにも関わらず、術前にAC療法を4クール、フェスゴを4クールの抗がん剤治療となっており、全8クールの抗がん剤治療終わってからの手術と言われております。
その間に遠隔転移をしてしまい、手術が出来なくなるのも生存率が一気に下がることも怖くて仕方ありません。
担当医師の治療方針に不安しかないのですが、私のトリプルポジティブの乳がん治療はこれが普通なのでしょうか?
抗がん剤だけの選択肢しが与えられていないこと含め、それ以外の可能性なども含めた話を一切されていないため、色々な可能性や、抗がん剤治から手術へ切り替えるタイミングの見極めなどを教えて頂きたく存じます。
そのほか、術前の抗がん剤治療にて白血球や赤血球が下がってしまい、手術が出来なくなることも怖いです。
抗がん剤治療によって手術が出来なくなることはあるのでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
先日、私の乳癌の検査結果を記載しましたが、私の癌はどれくらい進行の早い癌なのでしょうか?
⇒全く考えすぎ!
普通です。
ただ、質問者が不安になる気持ちも解ります。
「術前に行っても、術後に行っても」予後は変わらない抗癌剤(この場合は「抗HER2療法」)を「術前一択」とすることには、(私は)非常に抵抗があります。
効かなかった場合(確率的には、効く確率の方が無論高いことは事実ですが)に手術不能となるリスクや(抗癌剤中に)遠隔転移を起こして(それにより)結局手術不能となるケースがゼロではない事実に目をつむる必要はありません。
質問者への回答ですが、以下の2択でしょう。
1.術前抗がん剤をするのであれば、「必ず」3週間に1回(の抗癌剤投与の日に)エコーで効果判定をすること
2.そもそも術前抗がん剤をゴリ押しするような病院から転院する
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/7/25
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