[管理番号:11554]
性別:女性
年齢:67歳
病名:
症状:
投稿日:2024年01月21日
田澤先生
こんにちは
乳がんプラザのQ&Aを拝読させていただき、田澤先生の患者に寄り添う姿勢に勇気付けられ、
私の妻(現在67才)の件で質問させて頂くことにしました。
最初に、これまでの経緯及び検査(診断)結果を記述します。
①昨年9月に左胸にしこりができ、エコーとマンモの検査の結果、乳がんの疑いでバコラ検査を実施
バコラ検査結果は
・エストロゲン + ・プロゲステロン + ・HER2タンパク 1+ ・小葉がん
・Ki-67 5~10% ・ステージ Ⅰ~Ⅱ? ・2cm位の浸潤がん
②昨年10月のPET-CTでは転移は見つからない。
遺伝子検査(BRCA1, BRCA2)の結果は陰性
術前治療はなし
③昨年12月に左乳房の全摘手術とセンチネルリンパ生検を実施
手術後の病理組織診断の結果は下記のとおりです。
・浸潤性小葉がん pN0(0-5)
・占拠部位 左A 単発
・浸潤径 24×17mm
・組織型 浸潤性小葉がん
・核グレード 分類 NA 2,MC 1, NG 1, TF 3
・波及度 f s(異型を有する腫瘍細胞が索状に浸潤する所見を認めます)
・脈管侵襲 Ly0 ,V0
・切除断端 陰性
・リンパ節 SLN0(-) Level Ⅰ(0-4)
リンパ節転移はない、以上です。
田澤先生に質問です。
(1)放射線治療について
主治医から「波及度は脂肪と皮膚にあるが、ホルモン療法をすれば、放射線治療はしなくても良い
でしょう。」と言われました。
① 皮膚まで浸潤している場合は将来、花咲き乳がんになりやすいのでしょうか?
② 妻の場合、放射線治療した場合と、しない場合におけるリスクの違いはどの程度でしょうか?
(2)核グレードについて
①妻の場合、NG 1 は、核グレード Ⅰ で低いということでしょか?
②TF 3 というのはどう言う意味でしょうか?
(3)ホルモン治療について
妻の病理組織診断結果の場合、ホルモン治療をした場合と、しない場合における転移・再発リスクの違いは
どの程度でしょうか?
(4)がんのステージについて
ステージⅡAと考えてよろしいでしょうか?
(5)予防的対側乳房切除術について
がんのない乳房の切除は
・遺伝子(BRCA1又はBRCA2変異など)を受け継いでいる。
・乳がん又は卵巣がんを患ったことのある近親者が少なくとも2人いる
・胸部に対する放射線療法を30才未満で受けた
・非浸潤性小葉がん(非浸襲型)がある
上記の場合に予防的対側乳房切除術が受けられるとあります。
妻は上記に該当しません。しかし小葉がんは対側の乳房にがんが発生するリスクが高い
と書かれています。
①対側に乳がんができる前に、予防的措置として対側の乳房全摘をすることは、可能でしょうか?
(自費でも構いません)その場合はセンチネルリンパ生検を省略できるのでしょうか?
②先生の病院では妻のようなケースで、予防的措置の手術をされていますか?
(6)その他
①小葉がんは古典型と多形型等の種類があるそうですが、妻は古典型でしょうか?
②E-カドへリンの検査はしていないようです。
これからでもE-カドへリンの検査はした方が良いのでしょうか?
その場合はどんな検査になるのでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
(1)放射線治療について
主治医から「波及度は脂肪と皮膚にあるが、ホルモン療法をすれば、放射線治療はしなくても良い
でしょう。」と言われました。
⇒シンプルに…
全摘の場合には「リンパ節転移が3個以内」では放射線の適応がない=放射線による再発予防効果がない
(2)核グレードについて
①妻の場合、NG 1 は、核グレード Ⅰ で低いということでしょか?
②TF 3 というのはどう言う意味でしょうか?
⇒TF:tubular formation
グレードには組織学的グレードと核グレードがあります。
組織学的グレード(下記①②③の合計点6~7でⅡ)
核グレード(下記①②の合計点4でⅡ)
①NA:nuclear atypia 1~3
②MC:mitotic counts 1~3
③TF:tubular formation 1~3
(3)ホルモン治療について
妻の病理組織診断結果の場合、ホルモン治療をした場合と、しない場合における転移・再発リスクの違いは
どの程度でしょうか?
⇒10%前後だと思います。
(4)がんのステージについて
ステージⅡAと考えてよろしいでしょうか?
⇒その通り
(5)予防的対側乳房切除術について
がんのない乳房の切除は
・遺伝子(BRCA1又はBRCA2変異など)を受け継いでいる。
・乳がん又は卵巣がんを患ったことのある近親者が少なくとも2人いる
・胸部に対する放射線療法を30才未満で受けた
・非浸潤性小葉がん(非浸襲型)がある
上記の場合に予防的対側乳房切除術が受けられるとあります。
妻は上記に該当しません。しかし小葉がんは対側の乳房にがんが発生するリスクが高い
と書かれています。
①対側に乳がんができる前に、予防的措置として対側の乳房全摘をすることは、可能でしょうか?
(自費でも構いません)その場合はセンチネルリンパ生検を省略できるのでしょうか?
⇒自費での手術は施設がかぎられるでしょう。
②先生の病院では妻のようなケースで、予防的措置の手術をされていますか?
⇒していません。
(6)その他
①小葉がんは古典型と多形型等の種類があるそうですが、妻は古典型でしょうか?
⇒病理レポートにその記載は無いようです。
②E-カドへリンの検査はしていないようです。
これからでもE-カドへリンの検査はした方が良いのでしょうか?
その場合はどんな検査になるのでしょうか?
⇒小葉癌なのだからE-cadherinは陰性となります。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/2/7
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