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ルミナールB HER2陽性の治療方針について

[管理番号:11416]
性別:女性
年齢:45歳
病名:右乳房がん
症状:
投稿日:2023年11月11日

 初めてご質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 10月中旬に右乳房がんの告知をされました。
 右乳房に1.3cmの乳がん(ホルモン陽性 HER2陽性)と0.8cmの腫瘤(先日の術前検査のMRIで見つかったため、現在、針生検の結果待ちです。)があります。PET検査の結果、その他への転移はなく、術前ステージはステージⅠです。
 
 これからの治療方針について、主治医からは、HER2陽性乳がんなので、術前抗がん剤→手術を提案されています。
術前をすすめられる理由としては、以下3点です。
①しこりを小さくすることで切除部分を小さくすることができる。
②抗がん剤の効き目をしっかり見ることができる。
③術後の病理検査の結果によっては、追加治療としてカドサイラを使用することができる。

 この中で、田澤先生にお聞きしたいのは、③についてです。主治医から、カドサイラで治療した場合、近年(ここ1~2年くらい)の検証結果で、カドサイラを使用する場合、使用しない場合と比較して10%弱くらい再発防止率が上がると説明をされました。
私は、手術先行で術後抗がん剤の順での治療を希望していたのですが、カドサイラの話を聞いて、迷いが生じています。
HER2陽性の場合、術後にカドサイラが使える術前化学療法のほうが予後が良いのでしょうか?
私は、術前術後で予後に差がないのであれば術後化学療法を選択したいのですが、近年は術前化学療法がベストな選択として提案されるのでしょうか?
家庭の事情もありスケジュール的に手術先行希望なのですが、術前化学療法を選択するべきでしょうか?
ホルモン陽性HER2陽性のサブタイプにおける、術前化学療法のメリットデメリットと併せて教えていただけるとありがたいです。

また、手術先行の場合、今の病院での最短手術日は現時点で1月下旬くらいになるようなのですが、私の現在の病状で手術日まで待つことができる状態でしょうか?

お忙しい中恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

HER2陽性の場合、術後にカドサイラが使える術前化学療法のほうが予後が良いのでしょうか?
⇒これは、術前抗がん剤をしてpCRでなかった場合にtrastuzumab vs T-DM1の結果でT-DM1が勝っていたというだけの話です。

つまり下記の解釈となります。
1.そもそも(術前抗がん剤をして)pCRだった場合にはT-DM1の適応はない
2.(術前抗がん剤をして)pCRでなかった場合
2-1.リンパ節転移陰性の場合 術後に行った場合にはtrastuzumabとなるので、
(術前使用の場合)T-DM1 vs trasutuzumab(術後仕様の場合)となるので、再発率低下のbenefitがある。
2-1.リンパ節転移陽性の場合 術後にとこなった場合にはtrastuzumab単独ではなく、trastuzumab+pertuzumabを使うこととなるので、(術前使用の場合)T-DM1 vs
trasutuzumab+pertuzumab(術後仕様の場合)となるのでbenefitは不明
 ★上記臨床試験ではT-DM1 vs trastuzumabであり、T-DM1 vs
trasutuzumab+pertuzumabではないため。

質問者の場合には1もしくは2-1となります。(やってみないと無論不明)
2-1となった場合にはbenefitはありますが、果たして早期なのに(有害事象に伴う)risk/benefitが許容できるのか? そこを自分自身考えてみましょう。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/11/21
***

質問者様から 【質問2】

術前化学療法・治療方針について
性別:女性
年齢:45歳
病名:右乳房がん
症状:
投稿日:2023年11月21日

田澤先生、先日は早急にお返事をいただきまして、ありがとうございました。

検査結果待ちから告知以降もつらさと不安の中、田澤先生のQ&Aやコラムを拝読して励まされ、少しずつ前向きに、悲観的にならず過ごせるようになってきました。ありがとうございます。
遠方でなければ、すぐにでも田澤先生に治療をお願いしたい気持ちです。

田澤先生からご回答をいただき、これからの治療方針について考えがまとまってきました。
再度教えていただきたいので、よろしくお願いいたします。

先日の先生のご回答から
術前化学療法をして、リンパ節転移なしでpCRできなかった場合、
カドサイラ > ハーセプチン となるが、

「果たして早期なのに(有害事象に伴う)risk/benefitが許容できるのか? そこを自分自身考えてみましょう。」

というご回答をいただきました。
お聞きしたいこと
①この有害事象というのは、カドサイラの副作用や術前化学療法のデメリットのことでしょうか?
②田澤先生が私の症例の治療方針を立ててくださるとしたら、どのようにされますでしょうか?
③手術先行の場合、12月希望ですが空きがない場合、来年1月なっても病状は大丈夫でしょうか?(治療が早ければ早いほど良いのは承知しております。)
④先に手術をすることで、予後が大きく不利になることはありますでしょうか?

 現在の主治医からは、術前化学療法をすすめられ、11月半ばから術前抗がん剤を開始する予定で考えられていました。
 私が迷っている旨をお伝えしたところ、しっかり考えるのは良いが、ベストな治療法をすすめている。病状は短期間で急変する  状況ではないが、絶対ではないし早いほど良い、すぐに抗がん剤治療するつもりでいたのに という内容のことを言われました。

その後、田澤先生から教えていただいたこともふまえ、私としては、やはり、以前と変わらず、先に手術をしたいです。

お忙しいところ、たくさんの質問をして申し訳ございません。
結論を出す前に、田澤先生のお考えをお聞きしたいです。
何卒よろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

①この有害事象というのは、カドサイラの副作用や術前化学療法のデメリットのことでしょうか?
⇒有害事象は純粋に「T-DM1により引き起こされる副作用」です。

②田澤先生が私の症例の治療方針を立ててくださるとしたら、どのようにされますでしょうか?
⇒普通に手術して、術後に普通に抗HER2療法を行います。

③手術先行の場合、12月希望ですが空きがない場合、来年1月なっても病状は大丈夫でしょうか?(治療が早ければ早いほど良いのは承知しております。)
⇒早期だから問題ないでしょう。

④先に手術をすることで、予後が大きく不利になることはありますでしょうか?
⇒ありません。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/11/29
***