[管理番号:10887]
性別:女性
年齢:50歳
病名:左乳癌
症状:
投稿日:2023年1月27日
昨年10月に左乳癌にて乳房部分切除術(腋窩部隔清を伴わないもの)
術後の病理検査の結果は、浸潤性乳がん 腺管形成型 0.8ミリ 組織学的悪性度(核異型度)1 切除断端- 脈管侵襲 血管- リンパ管-術後、一ヶ月後より放射線治療寡分割照射16回、11月末よりホルモン療法としてリュープリン注射を開始しました。
乳癌がわかる前は、子宮内膜症(子宮筋腫もあり)の治療として、ジエノゲストを服用。
癌がわかり中止となりました。
患者のための乳がん診療のガイドラインでは閉経前では抗エストロゲン薬を主とし、更にLH―RHアゴニスト剤を併用することで更に再発を減らす効果があるとの記載がありLH―RHアゴニスト製剤は、あくまでも補助的といった記載があります。
こちらのご説明でも、現在は単独で使用されることはほぼ無いが、以前は(tamoxifen無で)単独使用されることもあったとの記載を読みました。
タモキシフェンに子宮内膜症の増悪の副作用の記載があり、そのため、リュープリン注射での治療と理解していますが、単体での治療に不安もあります。
タモキシフェン以外の抗エストロゲン薬を検討しなくて大丈夫でしょうか。
またリュープリン注射をしてから、手のこわばり、腰痛、寝汗が酷いです。
こちらは副作用と認識しています。
他に白血球が減少し細菌感染をしています。
リュープリンと白血球減少の因果関係はありますでしょうか。
ご教示いただきますようお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
タモキシフェン以外の抗エストロゲン薬を検討しなくて大丈夫でしょうか。
⇒閉経前のホルモン療法の適応は、そもそも「tamoxifen only」です。
他の薬剤は全て適応外です。
子宮内膜症の(tamoxifenを用いることでの)悪化と再発リスクを天秤にかけての「tamoxifen無」は極めて妥当だと思います。
またリュープリン注射をしてから、手のこわばり、腰痛、寝汗が酷いです。
こちらは副作用と認識しています。
⇒100%その通りです。
他に白血球が減少し細菌感染をしています。
リュープリンと白血球減少の因果関係はありますでしょうか。
⇒ありません。
★白血球低下は放射線照射の影響ですが、(その程度では)細菌感染のリスクには到底なりません。
気にしないようにしましょう。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/2/7
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質問者様から 【質問2】
術後のリュープリン注射の単体治療について
性別:女性
年齢:50
病名:左胸乳癌
症状:
投稿日:2023年2月7日
田澤先生
お忙しいところ、ご回答いただきましてありがとうございました。
前回の投稿に不足がありましたので再掲させていただき、また再度ご質問させてください。
長文になり、申し訳ありません。
再掲(不足情報)
昨年、左乳房上外側部乳癌にて、
左乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)
主治医より渡された病理結果(前回一部データに抜けがありました。)
浸潤性乳管癌 腺管形成型 しこりの大きさ0.8cm リンパ節転移0/1
ER90% PgR70%
Ki67 10% ルミナルA
ステージ1 HER2 1 陰性
組織学的悪性度(核異型度)1 切除断端- 脈管侵襲 血管- リンパ管-
術後、放射線治療終了。
・子宮内膜症の治療及び子宮筋腫の経過を診ていただいている婦人科医より、ホルモン治療が始まると子宮が厚くなるため、半年毎に経過を診ていくと言われていた。
卵巣チョコレート?胞の指摘なし。
(この内容は、主治医には伝わっていません。
私の伝達不足です。)
①田澤先生より、現在のリュープリン単体の治療は、極めて妥当とのご助言をいただきました。
安心した反面、
「現在は、LH-RHa単独の治療は行わない」とのガイドライン等の記述に、どうしても不安になります。
原則リュープリンは、抗エストロゲン薬の補助という説明を読み、単体の治療を現在はしない理由は、なぜでしょうか?効果が低いということでしょうか?
②婦人科医からは、乳癌の治療を優先との見解があり、私としても リュープリンだけでなく、タモキシフェンの服用も希望したいのですが、いかがでしょうか?
婦人科医より、タモキシフェンは子宮内膜を増殖させ子宮体ガンのリスクがあるが、リュープリンに子宮内膜を菲薄化させ子宮体ガンのリスクを下げるため、併用により子宮へのリスクが軽減すると聞いています。
私の場合、乳癌の治療を優先しつつ、子宮の悪化も予防する方法として、タモキシフェンとリュープリンの併用という選択肢はあるのでしょうか。
逆に何か併用によるリスクが生じるため、選択肢にはないのでしょうか?
③もし、タモキシフェンの服用も有効で可能であれば、服用を希望したいのですが、術後約半年経過後からの服用でも手遅れにはならないでしょうか?
④主治医より、リュープリン注射は、2年間と言われています。
こちらの質問コーナーに年齢、病理診断に関係なく5年が一般的と記載がありましたが、2年の方針については、いかがでしょうか?50歳ですが、子宮筋腫があるため、閉経は遅いと言われています。
以上、稚拙な質問かもしれませんが、田澤先生のご意見をいただけましたら、幸いです。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
稚拙な質問かもしれませんが、田澤先生のご意見をいただけましたら
⇒前回の回答から変更ありません。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/2/17
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質問者様から 【質問3】
術後のリュープリン注射の単体治療について(前回のタイトル)
性別:女性
年齢:50
病名:左胸乳がん
症状:
投稿日:2023年2月20日
田澤先生
先日は、ご回答いただきまして
ありがとうございました。
また、ご質問させてください。
よろしくお願いいたします。
①主治医から、今後はリュープリンを2年やり、その後に閉経後の薬を3年位飲むとの話が出たり、無治療でもいいかもとの話しも出ました。
明確な今後の方針の説明がほとんどなく、私の状態の最善標準治療は、結局何だろうかと不安になります。
田澤先生のご見解は、いかがでしょうか?
②2週間位前から、手術をした左胸側の脇や背中に痛みがあります。
そちら向きでは寝れず、捻っても痛いです。
腫れたりせず、見た目からはわかりません。
整形的に問題ないとのことです。
これもリュープリンの副作用でしょうか?骨転移ではないと思っています。
主治医に伝えた方がよいでしょうか?
③治療や薬にはメリットデメリットがあり、そのバランスをみるのかなと思いますが、今の私の寝汗、日中のホットフラッシュや手のこわばり、腰痛等が強い場合は、無治療の選択になるのでしょうか。
抗エストロゲン薬は子宮の問題で使えないとなると、他に治療法はあるのでしょうか。
①と重なりますが、質問させていただきました。
無治療が怖いという思いが強いです。
④現在、地域のクリニックから他市の総合病院に通っています。
主治医から今後の検査は、1年に一回マンモと言われています。
不均一高濃度乳房から、乳がんになるまでは、毎年地域の病院で、マンモと3Dエコー(エイバス)での検査、医師のエコーと触診でした。
今回総合病院の主治医からマンモではほとんど見えない。
よくみつけてもらえたとの話がありました。
総合病院では、エコーは技師さん、主治医によるエコーや触診はないです。
総合病院でホルモン療法と年一回のマンモならば、地域のがんをみつけてくれたクリニックに戻りたいです。
クリニックでは、規模が小さいため、MRIやCTはなく、骨密度検査はMD法のみです。
今後の検査内容や地域での治療、地域に移る場合の時期について、田澤先生のご見解をお伺いしたいです。
専門医(総合病院)と認定医(地域のクリニック)の違いはあるものでしょうか。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
同じ質問に対する回答は今回で(本当に)最後にします。
要点は…
術後補助療法はあくまでも「再発予防」なので(実際に再発した場合の)「再発治療」とは全く考え方が異なります。
子宮に対する刺激作用を避けるために(あくまでも再発予防なのです)tamoxifenを避けるのは当然であり、その意味でLH-RHagonist単剤となるのは寧ろ当然
その上で自然閉経した場合には(閉経後のホルモン療法である)aromatase
inhibitorが(やがて)候補に挙がるかもしれません。
★いずれ、それは相当先の話なので、今からそれを悩むのは全くナンセンス!
とにかく今やれる治療であるLH-RHagonistを行いましょう。
これ以上の回答は一切しません。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/3/1
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