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ホルモン治療について

[管理番号:10855]
性別:女性
年齢:50
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2023年1月15日

田澤先生

いつもQ&Aコーナーを有り難く拝読しております。

Q&Aから、類似の質問の方はいらっしゃったようですが、年齢など若干自分の状況とは異なり、病理検査の結果からオピニオンをいただきたく質問いたしました。

11月はじめにに針生検で浸潤性乳管ガン(超音波では、乳首下で6mmx6mmx4mmのしこり)と診断され、12月はじめに全摘手術をしました。

病理検査の結果が下記のように出ました。

ステージ1
浸潤率:5mm (しこり:5mm x 5mm x 5mm)
(乳腺内にとどまっていて脂肪までは到達していない)
リンパ節・脈管転移:なし
ホルモンER/PR:陽性
Her2:陰性
Ki67: 2.9 (針生検の際は2.4)
断端:陰性

わたしとしては、副作用が怖く(太る、髪が抜ける、鬱→薬を止めても数ヶ月続くなど)、ホルモン治療を行いたくないと思っています。

「わたしの病理検査の結果から、ホルモン治療が必須なのか?」と主治医に確認したところ、「やった方はいいと思う。
以前はホルモン治療は2年ぐらいでいいと言われていたが、今は長ければ長い方がいい(10年)と言われている。」との答えで、
「まずはやってみて副作用がつらかったら止めるでもいいのではないか?」との話でした。

やらないよりやった方がいいレベルなのであれば、生活の質を下げてまでやるべきなのか?
副作用の出方は人それぞれで試してすらいないのに、最初から「やりません」とするべきか迷っています。

質問として、
1)別の方の質問回答でステージ1aであれば、ホルモン治療をあえて勧めてはいないという回答は 拝見しました。

年齢(50歳)や月経が有無、しこりの場所(乳首の下)に限らず、
「ステージ1a(浸潤性5mm)」なのでホルモン治療は必須ではないとシンプルに考えていいでしょうか?(患者が希望すれば、やってもいいけど、 そこまでベネフィット>リスクの効果を見込めず、やなくともいい)

2)しこりが小さいものの、リスクを最小限にするため、わたしは全摘手術を選択しました。
そういう場合でも「再発」リスクはあるのでしょうか(全くゼロではないと思いますが)
今後、経過観察はするものの、5mmの浸潤で全摘であれば、(ゼロではないですが)ほぼ根治と考えて
もいいでしょうか?

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

こんにちは田澤です。

浸潤径5mmであれば無治療も選択肢だとは思います。
★専門医としての責任上「ホルモン療法が推奨されます」とお話ししなくてはいけませんが、(患者さん自身が抵抗感がある場合には)無治療でいいと思います。

しこりが小さいものの、リスクを最小限にするため、わたしは全摘手術を選択しました。
そういう場合でも「再発」リスクはあるのでしょうか

⇒何か勘違いがありそうですね。

★まず「再発」と一括りにするのを辞めましょう。
必ず「局所」再発と「全身の遠隔転移」再発に分けましょう。そうしないことが大いなる勘違いの元凶となっているのです。

全摘を選択したことで「局所」再発はなくなりましたが、「遠隔転移」再発のリスクは「部分切除でも全摘でも同じ」なのです。⇐ここが大事

つまり今問題としているのは(局所再発ではなく)全身の遠隔転移再発です。
これのリスクは(上記で述べたように)術式とは無関係なのです。
浸潤径5mmであれば、(私の経験上)遠隔転移再発のリスクは5%以下となります。(無治療でも)

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/1/24
***

質問者様から 【質問2】

ホルモン治療について
性別:女性
年齢:50
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2023年1月25日

田澤先生

お忙しい中、回答下さりありがとうございます。
本当にこのような場を設けていただき、大変感謝しております。

全摘の場合での「局所再発」と「遠隔転移」としての再発の誤解しておりました。

わかりやすい説明ありがとうございます。

そして、追加で質問3件と確認1件があります。

病理検査結果の抜粋:
病理組織学的診断:Invasive Ductal Carcinoma, pT1aN0M0, pStage I:Right Breast
Bt+Ax
「腫瘍」径:5x5x5mm
組織型:Invasive ductal Carcinoma, NST (WHO), Tubule-forming type/sei(規約)
Extensive Intraductal Component (EIC): なし
Nuclear Grade 2: 核異型度2 +分裂頻度1=合計3
Historical grade: 1: 腺管形成度1+核多形成2+分裂頻度1=合計4
波及度:g 脈管侵襲:ly(-), v (-)
pTNM分類:pT1a, pNO,cMO, pStageI

質問:
① 「核グレード」が予想に反して2だったことに自分でも驚いています。

  核異型度+分裂頻度の合計が2~3点はグレード1のはずなのに、なぜ??と思っていました。

  ヒストリカル グレードを加味して核グレード2と判断されたのでしょうか?
  核グレードの他にヒストリカル グレードとは何を判断するためにあるのでしょうか?
  
② 他の質問者へのの回答から「核グレード」が・・・というより、一番大事なのはステージ(=わたしの場合はpT1a)と拝見しました。

  わたしは、5mm浸潤ということで「ホルモン治療を見合わす」という選択をしますが、このような場合でも特に核グレードやヒストリカル
  グレードに振り回される必要性はないでしょうか?

③ ②の質問とかぶるかもしれませんが、田澤先生のご経験上、遠隔転移のリスクは5mm浸潤の場合、
無治療でも5%以下の試算とのことでしたが、
  わたしの場合の核グレードやヒストリカル グレードの場合でも5%以下と捉えてよいでしょうか?
 (核グレードやヒストリカル グレードは遠隔転移リスクとはまた別の話)

確認:
① 病理検査に、「浸潤径」と記載あるのかと思ったら、「腫瘍径」との記載しかありませんでした。
わたしの場合は、EICが「無し」という
  ことで非浸潤ガンが乳管にないので、当然、腫瘍径=浸潤径になり、わざわざ「浸潤」径という記載方法をする必要性もなく、
  「腫瘍」径という記載になっているのでしょうか?
  もし、腫瘍が非浸潤ガン+浸潤ガンからなっている場合だったら、腫瘍径と浸潤径の両方が記載
されるという理解であってるでしょうか?

検査報告書を目を皿のようにしてレポートを見ていたら、これらが気になりました。

お忙しい中、恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

① 「核グレード」が予想に反して2だったことに自分でも驚いています。
  核異型度+分裂頻度の合計が2~3点はグレード1のはずなのに、なぜ??と思っていました。

⇒病理医のミス記載でしょう。

  わたしは、5mm浸潤ということで「ホルモン治療を見合わす」という選択をしますが、このような場合でも特に核グレードやヒストリカル
  グレードに振り回される必要性はないでしょうか?

⇒勿論、必要ありません。

③ ②の質問とかぶるかもしれませんが、田澤先生のご経験上、遠隔転移のリスクは5mm浸潤の場合、
無治療でも5%以下の試算とのことでしたが、
  わたしの場合の核グレードやヒストリカル グレードの場合でも5%以下と捉えてよいでしょうか?
 (核グレードやヒストリカル グレードは遠隔転移リスクとはまた別の話)

⇒勿論、その通り。

確認:
① 病理検査に、「浸潤径」と記載あるのかと思ったら、「腫瘍径」との記載しかあ
りませんでした。

⇒pT1aとの記載があり、他にサイズの記載がないので当然5mmと考えます。

アドバイス
あまりにも些末な内容をこれ以上気にするのは無意味です。
これ以上は追及するのは辞めましょう。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。

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