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全摘ー深部断端陽性

[管理番号:10514]
性別:女性
年齢:51歳
病名:右Invasive ductal carcinoma, solid type 左Invasive ductal carcinoma, tubule forming type
症状:
投稿日:2022年8月16日

田澤先生、初めまして。
どうぞよろしくお願いいたします。

同時両側乳がんで、7月中旬に右(clinical stage 2A) を全摘、左 (病理結果0.6mm g
Ly0 V0
Grade 1 pT1a pN0 cMX )を温存し、先日、病理の結果が出ました。
右はHer2がIHC/ISHで3+に入ったため、術後治療はAC4回–>ドセタキセル・パージェタ・ハーセプチン4回
(毎回ジーラスタ注射)–>ドセタキセル終了時に両胸放射線・ホルモン治療開始し、パージェタ&ハーセプチン後14回と説明されました。

手術直後に、主治医から右は大胸筋まで達していた事は聞いていましたが、病理結果の詳細を再度自分でじっくり確認してみると、断端陽性と2回記載されており、取りきれなかった癌の残り?で局所再発、腋窩リンパ、胸壁、骨への転移がありえる??と恐怖で固まっています。

主治医にはまだ右胸の放射線治療について詳しくは聞けていませんが、再手術の可否について確認した方がいいのか、主治医の提案どおりに抗Her2治療と全摘後の放射線を受けるのがいいのでしょうか?

下記の病理結果では、再発・転移リスクは高リスクと捉えられるのでしょうか?
どのような再発・転移がありえますでしょうか?
5年10年後の再発・生存確率についてはどうでしょうか?

右胸 Bt?+ SN
1. Invasive ductal carcinoma, solid type 2. Atypical lobular hyperplasia Location CD 浸潤径3.0cm, 浸潤径+乳管内進展巣3.0cm
Local tumor growth: g f p, Ly1 V1(EVG)
Nuclear grade: 3 (nuclear atypia 2, mitotic counts 2) Histological grade: II (tubule formation 3, nuclear atypia 2, mitotic counts 2) Resected margin – Positive (本体の深部margin)
Stage: pT2, pN1mi, cMX (RO)
右乳房全摘検体でCD区域に境界明瞭な充実性結節を認める
標本X-組織学的には充実性構造が大部分で一部に索状構造を認める充実型の浸潤性乳管癌、核異型は中等度。

標本XX 狭い範囲で深部断端陽性 浸潤がんの辺縁部及び周囲の一部にDCISを認める。
この本体には大胸筋浸潤は確認できず。
浸潤がんの大きさ30x23x18mmでDCISを含む癌の広がりも同じ。

上記腫瘍の頭側でやや外寄りに異型小葉過形成がみられる(約4x2mmの範囲)
標本XXX(大胸筋内結節)- 2個の結節はいずれも癌の浸潤による結節。
大きい方の結節には大胸筋と思われる横紋筋組織を少量確認。
横紋筋組織内にも癌の浸潤が見られ、2個の結節共に周囲断端陽性

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

断端について気になるのは以下の2点です。

標本XX 狭い範囲で深部断端陽性 浸潤がんの辺縁部及び周囲の一部にDCISを認める。
この本体には大胸筋浸潤は確認できず。
浸潤がんの大きさ30x23x18mmでDCISを含む癌の広がりも同じ。

⇒ここは大胸筋浸潤が無いのだから、(この部分に関しては)執刀医が「キチンと手術した」という自信があれば気にしなくてもいいでしょう。

標本XXX(大胸筋内結節)- 2個の結節はいずれも癌の浸潤による結節。
大きい方の結節には大胸筋と思われる横紋筋組織を少量確認。
横紋筋組織内にも癌の浸潤が見られ、2個の結節共に周囲断端陽性

⇒問題は「こちら」です。
病理レポートで解釈するかぎり、この2個の結節は(そもそも標本名が)「大胸筋内」とついているので(実際に乳腺ではなく)「大胸筋内に腫瘍が存在」していたと解釈できます。
さらに、その断端陽性なのだから、現在その「大胸筋内結節」を切除した周囲の「大胸筋そのもの」に癌が存在している可能性は大いにあります。

単純に上記レポートを見る限り、(放射線によって死滅してくれるように祈るよりも)私であれば、上記部分の大胸筋はきちんと追加切除したうえで照射を選択します。
ご参考に

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/8/29
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