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薬物療法、その後の手術

[管理番号:10296]
性別:女性
年齢:61歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2022年5月23日

田澤先生

海外在住で治療中です。
こちらのサイトを拝見し、日本語でこんなに素晴らしいサイトがあったことに感激いたしました。
皆様のご質問、先生のご親切で明解なご回答を読ませていただき、良い勉強をさせていただいております。

4月(中旬)日に左側温存手術を受け、今週から抗がん剤治療を始めるところです。
手術前の検査/生検では、腫瘍の広がりやリンパ節転移は見えず、HER-2も陰性と出ていたの
で、温存手術の後放射線治療、ホルモン療法で完了するはずでしたが、手術後の生検
の意外な結果(下記)から、新たな治療を始めることになりました。
ぜひ先生にご助言いただければと思っております。

4月(中旬)日の手術後の検査の結果

1. 9時 
腫瘍サイズ 10mm (周囲にDCISあり 一箇所マージンが1mm)
ER/PRG 91-100% 陽性
HER-2 陽性 (HER2 signal/nucleus: 6.5 CEN 17
signal/nucleus: 2.5)
Ki67 5%
グレード1

2. 11時
腫瘍サイズ 5mm (周囲にDCISあり 一箇所マージンがpositive)
ER/PRG 91-100% 陽性
HER-2 0 陰性
Ki67 5%
グレード1

センチネルリンパ生検 2個 マクロ転移1個(5mm)

担当医の推薦する治療プラン

A. 今週より抗がん剤 (Docetaxel+Carboplatin) 治療 (3週間に1度 x 6回)

B. 今週より分子標的薬 (Pertuzumab+Herceptin)治療 (3週間に1度 1年間)

C. 抗がん剤治療終了後に手術 (1. 左側温存手術、2. 左側全摘手術、あるいは 3.
両側全摘手術)主治医は3.を勧めていますが、どうするかは私次第とのこと。

D. 放射線治療 術後
1. の場合、左脇と左乳房
2. 3.の場合、左脇のみ

E. ホルモン療法(現在Letrozol 2.5mgを服用中。
抗がん剤治療の開始と共に中止して、分子標的薬治療終了後、再開し10年間服用する)

もとの腫瘍が小さいにもかかわらず、リンパ節にマクロ転移していること、二種類のがんが混在しているらしいこと、私の場合、腫瘍が非常に見つけにくいことなどが理由で、再発リスクを最小限に抑えることを目的としたプランだそうです。
私は毎年マンモグラムを受けていたのですが、「dense tissueで見えにくい」というレポートを毎回もらっていました。
11時の腫瘍は、3Dマンモグラムにもエコーにも映らず、MRIで見つかりました。
リンパ節の転移は手術後の検査までわかりませんでした。

質問文

1。
まさにフルコースで、治療のツールがたくさんあるという意味ではありがたいと思うのですが、抗がん剤と分子標的薬を一度に四種類使うことは、日本でもよくあることなのでしょうか。
以前に日本人の知り合いがアメリカでの治療が強すぎて体を壊しかけたことがあると聞きました。

2。
抗がん剤治療後の手術について、迷っています。
二種類の癌が混在している由。

左胸に「見えていない大人しいガン」がまだあるとすると、分子標的薬や抗がん剤は
効かないと考えられるので、やはり左側を全摘した方が安全と思います。
ただ、片方の乳房に癌のできた人がもう片方も癌になるケースは非常に少ないと聞きました。
両方摘出するメリットはあるのでしょうか。
ちなみにgenetic testでは、私には乳がんの遺伝子はありません。
また、乳房再建する場合は乳首や皮を残すと言われましたが、
それによって再発率が上がりませんか。

よろしくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

あまりにも荒唐無稽なのは、「お国事情」なのかもしれませんね。

シンプルに
1.Macrometastasisがあった場合に、どうする「取り決め」だったのか?
 ①追加郭清 (ただしこの場合には、術中すべきですね)
 ②腋窩にも照射

2.HER2陽性
 抗HER2療法の適応となります。
 リンパ節転移陽性なので(上記1をどちらにするにしても)ECx4⇒pertuzumab+trastuzumab+docetaxelx4⇒radiation⇒pertuzumab+trastuzumabx14

ご参考に。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/5/31
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