[管理番号:9995]
性別:女性
年齢:50
病名:乳がん
症状:特に症状なし
投稿日:2022年1月11日
田澤先生
こんにちは。
早速ですが質問させて頂きます。
2019年12月 左乳房温存手術
2020年4月~ 放射線治療
タモキシンフェン服用中
pT 1.1cm n 0/1
ER90% PgR 90% HER2 0
ly ++ NG 1
断端 陰性 Ki67 20-30%
オンコタイプdx RS9
2021年12月 術後2年目の検診で対側(右)に乳がんが見つかる
2021年1月
組織診(マンモトーム)
ER(+)PgR(-) HER2 score 2 Ki67 30-40%
Nuclear Grade 3
遺伝子検査 陰性
対側の乳がんが見つかった際もこちらのサイトでいろいろと検索させて頂きました。
3月に手術(温存手術)を行います。
病理検査結果に基づき治療法を決めましょう、という事になっています。
①手術まで2ヶ月ありますが、増殖度が早いタイプの乳がんで2ヶ月放置は大丈夫なのでしょうか。
②術後の全身治療は田澤先生でしたらどのような方法を提示されますでしょうか。
今回は抗がん剤はやむを得ないかな、、、と腹を括っております。
抗がん剤についてはまだまだ知らない事が多くこれから調べたいと思っています。
③HER2 score 2だとFish検査を追加した方がより明確に術後の治療法を選択できるのでしょうか。
お忙しいところ申し訳ございませんがよろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
「①手術まで2ヶ月ありますが、増殖度が早いタイプの乳がんで2ヶ月放置は大丈夫なのでしょうか。
⇒全く問題ありません。(その程度は「長い」に入りませんよ)
ご安心を。
②術後の全身治療は田澤先生でしたらどのような方法を提示されますでしょうか。
⇒手術標本のKi67を確認してからの判断となります。
③HER2 score 2だとFish検査を追加した方がより明確に術後の治療法を選択できるのでしょうか。
⇒勘違い!
「より明確に」ではなく、「必ず」FISHをしなくてはいけません。(HER2
2+の75%はFISH陰性=HER2陰性となります)
質問者様から 【質問2 】
管理番号 9995 ルミナールB(異時性両側乳がん)術後の治療法
性別:女性
年齢:50歳
病名:乳がん(異時性両側乳がん)
症状:現在特にありません。
投稿日:2022年1月18日
田澤先生
こんにちは。
先週は迅速に回答頂きありがとうございます。
手術まではなるべく穏やかに過ごそうと思うのですが、どうしても気になる、調べたくなる気持ちが沸々と湧いてしまいます。
いくつか疑問点があるためご教示願います。
先ずは現在の腫瘍の大きさを記載わすれておりました。
9㎜です。
①タモキシンフェン服用中の対側乳がんのためホルモン療法に耐性のある癌なのでしょうか。
ホルモン療法を始めたのが2020年5月、提携クリニックで線維腺腫疑いとして腫瘍を確認されたのが2020年9月(6㎜)経過観察後2021年6月同じく膿疱疑い(6㎜)。
2021年細胞診9㎜ 現在に至る、
②サブタイプは現時点でルミナールBだと言われておりますが、オンコタイプdxをお願いする事は無駄な事なのでしょうか。
(Fish陰性の場合)。
そもそも現在ホルモン療法中での対側乳がんという事でオンコタイプdx検査の対象にならないのでしょうか。
③先生はしばしグレードは気になさらず…と仰っていますが、やはりグレード3、Ki67 30-40%が気になります。
増殖スピードが速いという事はやはり予後が悪いのでは、、、と思うのですが。
④術後の病理検査結果(Ki67値)に基づき全身治療法を決める事は理解いたしましたが、仕事をしているため現段階での抗がん剤治療の可能性、抗がん剤治療になるとどれぐらいの期間になるのかが分かるととても助かります。
仕事をしている為、大まかな治療期間を上司に相談する事もできますので。
以上質問文長くなりましたが何卒宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは田澤です。
たぶんに考えすぎのようです。
術後の治療は「手術病理の結果が出てから」考えるようにしましょう。
質問者様から 【質問3 】
ルミナールB オンコタイプdx
性別:女性
年齢:51歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2022年4月23日
田澤先生
こんにちは。
今年の1月に上記タイトルで質問させていただきました。
2021年12月 術後2年目の検診で対側(右)に乳がんが見つかる
2021年1月
組織診(マンモトーム)
ER(+)PgR(-) HER2 score 2 Ki67 30-40%
Nuclear Grade 3
遺伝子検査 陰性
先生より「術後の病理結果が出てから治療法は考えましょう。」とアドバイスいただき、
来週やっと病理の結果が出る次第です。
ひとつだけ確認したい事があります。
現在最初の乳がんの内分泌療法中(タモキシンフェン服用)です。
このような場合はオンコタイプdxを受けられる対象ではないのでしょうか。
正確な数値が出ないと何かで読んだ事がございます。
抗がん剤を受けるか否かのグレーゾーンであれば、オンコタイプdxを受けたいと思っております。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは田澤です。
現在最初の乳がんの内分泌療法中(タモキシンフェン服用)です。
このような場合はオンコタイプdxを受けられる対象ではないのでしょうか。
⇒現在『OncotypeDX無償提供プログラム期間』です。
その適応条件に「薬物療法が未治療の方」とあります。
主治医の解釈次第でしょう。
あくまでも今回の件(右に対して)は未治療と解釈すれば適応がありますし、(左のためとはいえ)薬物療法が未治療では無いと解釈すれば適応外となります。
主治医と相談しましょう。
***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/5/2
***
質問者様から 【質問4】
ルミナールB(異時性両側乳がん)術後の治療法
性別:女性
年齢:50歳
病名:乳がん
症状:特になし
投稿日:2022年5月14日
田澤先生
【管理No.9995】で質問させて頂きました。
早速ですが、病理結果が出揃いました。
ER(+)90% PGR(-)<1%
HER2 score2 追加検査FISH 陽性
Ki67 30-40%
pNO(i -)(0/1)
ミギ Bp +SNB
組織型 Invasive ductal carcinoma ,scirrhous type
浸潤経 10mm
浸潤経+乳管内進展経 10mm
波及度 f
脈管侵襲 なし
切除断端 露出なし 距離約2mm
in situ(+)solid ,comedo
Nuclear atypia 3 Mitotic counts3 Tubule formation 3 Nuclear grade 3
Historical grade Ⅲ
リンパ節 HE +CKAE 1/3 SLN(i -)(0/1)
FISH陽性でしたので、今後の治療はウィークリーパクリタキセル12回、ハーセプチン1年、放射線(乳房温存手術の為)、ホルモン治療と言われております。
抗がん剤のTCとウィークリーパクリタキセルとの違いは何なのでしょうか。
こちらQ&Aを見ていて抗がん剤治療となった場合はTCかな?
と思っていたのですが。
通院頻度の違いの他に何か特別な差はありますでしょうか。
また、抗HER2療法のお陰でHER2陽性の予後が良くなった、という事ですが、それはルミナールHER2タイプでもHER2タイプ(ルミナール陰性)でも変わりないという事でしょうか。
最後に、初めの乳がんはルミナールB、オンコタイプdx低リスクだった為、術後補助療法はホルモン治療でした。
しばらくお薬をやめる事になりますが大丈夫なのでしょうか。
お忙しい中恐縮ですがどうぞ宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは田澤です。
抗がん剤のTCとウィークリーパクリタキセルとの違いは何なのでしょうか。
こちらQ&Aを見ていて抗がん剤治療となった場合はTCかな?
と思っていたのですが。
通院頻度の違いの他に何か特別な差はありますでしょうか。
⇒直接比較はありません。
どちらのレジメンも基本的にlow riskを対象としていますが、効果には其れほどの違いは無いと推測されます。
薬剤の違いとしては、おっしゃるように「通院頻度」と「副作用」となります。
やはりweekly paclitaxelの方が楽ですよ。
また、抗HER2療法のお陰でHER2陽性の予後が良くなった、という事ですが、それはルミナールHER2タイプでもHER2タイプ(ルミナール陰性)でも変わりないという事でしょうか。
⇒その通り。
最後に、初めの乳がんはルミナールB、オンコタイプdx低リスクだった為、術後補助療法はホルモン治療でした。
しばらくお薬をやめる事になりますが大丈夫なのでしょうか。
⇒勿論です。
ご安心を。
***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/5/25
***
質問者様から 【質問5】
ルミナルHER2術後の治療(異時性両側乳がん)
性別:女性
年齢:50歳
病名:異時性両側乳がん
症状:
投稿日:2022年5月27日
【病理結果】
ER(+)90% PGR(-)<1%
HER2 score2 追加検査FISH陽性
Ki67 30-40%
pNO(i-)(0/1)
ミギ Bp+SNB
組織型 Invasive ductal carcinoma,scirrhous type
浸潤経 10mm
浸潤経+乳管内進展経 10mm
波及度 f 脈管侵襲 なし
切除断端 露出なし 距離約2mm in situ(+)solid ,comedo
Nuclear atypia 3 Mitotic counts3 Tubule formation 3 Nuclear grade 3
Historical grade Ⅲ
リンパ節 HE +CKAE 1/3 SLN(i -)(0/1)
田澤先生から術後の治療について疑問に思っていることに答えて頂き、先日からウィークリーパクリタキセル、ハーセプチン投与が始まりました。
治療が始まり、ふと疑問に思うことがありましたので質問させていただきます。
ホルモン陽性(ルミナルA)は術後のホルモン治療が5-10年と長く、それにより再発のリスクを減らしていますが、
HER2陽性(ルミナルHER2、HER2)の抗HER2 療法はたった一年の治療でガン細胞が死滅するのでしょうか?私の場合は乳房温存、ルミナルHER2なので、その後も放射線、ホルモン療法と治療が続くのですが、
増殖が早い、予後が悪いと言われていたHER2乳がんが抗HER2療法の出現でルミナルAと変わらないほど予後が良くなる仕組みが良く理解できません。
また「再発する」という事は、最初の治療薬、ハーセプチンに対して耐性がある細胞が生き残り増殖する、という理解で合っておりますでしょうか。
こちらのQ &Aを読み、HER2乳がんでも希望が持てると信じておりますが、不安な気持ちがふとよぎります。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは田澤です。
余計なことを考えすぎているようです。
再発率の低下は「理屈付け」よりも、臨床試験での「有意差の結果」と理解しましょう。
また「再発する」という事は、最初の治療薬、ハーセプチンに対して耐性がある細胞が生き残り増殖する、という理解で合っておりますでしょうか。
⇒考えすぎ
Trastuzumab,paclitaxel, tamoxifen これら全てを行うわけですから、trastuzumabだけの効果で全てを考える意味がありません。
そもそも最初から手術した時点で薬物療法無でも、(結局)再発しないこともあれば(無治療でも100%再発するとは理解していませんよね?)、これら3剤全てを使っても再発することもあるわけです。
後者の場合には、この「3剤全ての責任(どれか一つのせいにはできない)」となるわけです。
***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/6/6
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