[管理番号:9992]
性別:女性
年齢:48
病名:葉状腫瘍
症状:
投稿日:2022年1月11日
某大学病院にて5年前右乳房の腫瘍の針生検を実施し陰性。
反対の左乳房には3センチの腫瘍がありエコーをし良性だろうと経過観測でしたが4、5センチになり昨年2月に針生検をし陰性。
経過観測で良いとの事でしたが半年弱で5センチ強まで増大。
大きくなり過ぎると手術が出来なくなると言われたので腫瘍の切除をし昨年12月(上旬)日にし病理検査の結果今年1月(上旬)日に医師から「葉状腫瘍 境界であった」と報告を受けショックで今までのように医師を信頼し続けて良いのかもう分かりません。
未だ、1cm以上の腫瘍が右に1か所左に2か所あります。
医師からは「もう胸は手術で閉じてしまったし後は厳重フォローで来月エコーをしよう」との事でした。
殆ど説明がないので医師にお願いをし下記記載の病理組織診断報告書を頂きました。
再手術なくエコーで良いのか…この状態で田澤先生に再手術もしくはフォローをして頂く事は可能でしょうか。
以下の質問についてのご回答と今後どのようにすべきか段階的な処置プログラムをご教授よろしくお願いします。
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1, 下記記載の病理組織診断報告書 surgical margin :
possibly negative ?と記載されていますが surgical margin ?の意味を教えて下さい。
2, 所見欄で
核分裂像が7/10HPFsみられる部位もあります。
と有りますがこの数値の意味はどういっあものでしょうか。
2 境界悪性成分と考えます。
と有ります。
境界悪性とはなんでしょうか。
3 断端露出は明らかでなくおそらく断端陰性ですが
とあります。
断端露出の意味とこの内容が分かりません。
4 断端と腫瘍の距離が非常に近いため、慎重なフォローアップをとあります。
マージンがあまり無いという意味でしょうか。
5下記生検検査結果で再発した場合悪性になる可能性についてどうでしょうか。
6マージンを取っていませんが再手術しなくて良いと思われますでしょうか。
主治医は来月にエコーをすると言っています。
7再手術しない場合の再発の可能性は高くなりますでしょうか。
再手術の場合いつまでにすればよいのか、マージンどれぐらいとればいいのでしょうか。
9胸以外の転移を調べたいのですが境界悪性は遠隔転移の可能性は低いのでしょうか。
以下が病理検査結果です。
■臨床診断
左乳腺腫瘤
■臨床所見
#左乳房腫瘤手術:2021年12月7日
術式:左乳房腫瘤摘出術
CNB:2021年12月13日
所見:Fibroepithelial lesion; Fibroadenoma
術前療法:なし
局在:左11時方向、DNT 3.5cm、径 54*41*22mm大
増大傾向にあります。
腋窩リンパ節-乳房腫瘤摘出検体提出いたします。
悪性所見の有無につき評価お願いいたします。
悪性の場合には、浸潤の有無、NG、ER,PgR,HER2,Ki67についてもご評価お願い致します。
■提出臓器
左乳腺
■病理診断
Breast, left, partial excision
— Phyllodes tumor, borderline
ly(-), v(-)
surgical margin: possibly negative
■所見
乳腺の部分切除検体が提出されています。
肉眼的には、境界明瞭な黄色~灰白色調の腫瘍(52x42x22mm)を認めます。
ほぼ核出様の検体です。
組織学的には、2相性の保持された乳管上皮周辺に繊維性の間質、一部粘液質な間質の増生が見られます。
線維腺腫の管内型や管周囲型の様な形態もみられるものの、葉状の構造を取る部位もあります。
間質の細胞密度が低く異型が低い部位が主ですが、領域性に間質の細胞密度が高く、異型も見られ、核分裂像が7/10HPFsみられる部位もあります。
全体として葉状腫瘍と考え、間質の細胞密度が高い部位を特に境界悪性成分と考えます。
脈菅侵襲はありません。
標本上断端露出は明らかでなくおそらく断端陰性ですが、断端と腫瘍の距離が非常に近いため、慎重なフォローアップが望まれます。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
1, 下記記載の病理組織診断報告書 surgical margin :
possibly negative ?と記載されていますが surgical margin ?の意味を教えて下さい。
⇒「おそらく陰性」という評価なので「surgical margin negative」と(確信をもてないため)「surgical margin ?(陰性とは断定できない)」という記載となっているようです。
2, 所見欄で
核分裂像が7/10HPFsみられる部位もあります。
と有りますがこの数値の意味はどういっあものでしょうか。
⇒HPFとはhigh power fieldの略で(顕微鏡での)「高倍率視野」のことです。
つまり「高倍率の10視野で(腫瘍細胞の)細胞分裂を7個認めた」という意味です。
2 境界悪性成分と考えます。
と有ります。
境界悪性とはなんでしょうか。
⇒良性の範疇は超えているが、悪性の範疇では無いということです。
3 断端露出は明らかでなくおそらく断端陰性ですがとあります。
断端露出の意味とこの内容が分かりません。
⇒断端(切除した端に)腫瘍細胞がむき出しになっていることを「断端露出」といいます。
明らかな上記所見は認めないので、(質問1と重なりますが)「断定まではできないが、(おそらく)断端陰性だろう」という意味です。
4 断端と腫瘍の距離が非常に近いため、慎重なフォローアップを
とあります。
マージンがあまり無いという意味でしょうか。
⇒これは「文字通り」その通りです。
5下記生検検査結果で再発した場合悪性になる可能性についてどうでしょうか。
⇒その可能性はあります。
6マージンを取っていませんが再手術しなくて良いと思われますでしょうか。
⇒再手術によってマージンを十分に取ることが「より安全」であるとは思います。
「7再手術しない場合の再発の可能性は高くなりますでしょうか。
⇒再手術するよりも「再発の可能性は高くなる」と思います。
再手術の場合いつまでにすればよいのか、マージンどれぐらいとればいいのでしょうか。
⇒再手術するなら(遅くとも)半年以内 マージンは(再手術するなら)3cm程度
9胸以外の転移を調べたいのですが境界悪性は遠隔転移の可能性は低いのでしょうか。
⇒殆どゼロだと思います。(当院では、患者さんの希望が無い限り行ってはいません)