[管理番号:9660]
性別:女性
年齢:40
病名:乳がん
症状:胸のしこり
投稿日:2021年8月24日
田澤先生 はじめまして。
よろしくお願いいたします。
先日、左胸上部に、1.9cmくらいのしこりがあり、乳がんと診断されました。
病理診断は、
*エストロゲンレセプター 陽性
*プロゲステロンレセプター 陽性
*HER2レセプター 陰性
*グレード 1
*K i67 10%
タイプ ルミナールA
と診断されました。
治療方針としては、術前治療なしで、局所治療手術で、ホルモン治療を行っていくようです。
もう一つ小さなしこりの生検結果が今週に出るのですが、それ次第で、放射線、抗がん剤もやるか決まるという感じです。
ご相談したいのは、
①局所手術より、全摘した方が、再発率が下がるのでしょうか。
また、そのときに、乳房の同時再建も希望しようと思いますが、
体の負担や再発に関してのデメリットはありますでしょうか。
また、近くに県立がんセンター(○○県)がありまして、重粒子線による乳がん治療の臨床試験も行っているようです。
(臨床試験段階なので、費用は病院もちで、千葉まで治療にいかなくてはならない)
手術もやはり、体には負担がかかるため(コロナもあるので)、治療条件に該当するならば、積極的に受けた方がよいのでしょうか。
②治療とはズレますが、食生活についてです。
牛乳と乳がんの関係があまり好ましくないという意見がありますが、田澤先生はどのようなお考えをおもちですか?
(当方、小学校教員なもので、給食に毎日牛乳が出ます。
豆乳に変えた方がリスクは減らせるでしょうか。)
また、制ガン作用として、「はなびらたけ」がよい、という話も聞きました。
しかし、はなびらたけには、サイレントエストロゲンというものが含まれるらしく、果たして、わたしの乳がんのタイプで接種して良いものか、疑問です。
仮に医学的ににエビデンスがなくとも、摂取しても構わないものなのでしょうか。
以上、悩みどころです。
お時間のございますとき、ご回答いただけるとありがたいです。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
「①局所手術より、全摘した方が、再発率が下がるのでしょうか。」
⇒以下
再発は「局所再発(この場合は乳房内再発)」と「遠隔転移再発」に明確に分けましょう。
1.乳房内再発
温存手術+放射線 10年で3%
全摘 0%
2.遠隔転移再発
温存手術も全摘も差は無
★ ここに差がないから「温存手術が許容されてきた」歴史があります。
「また、そのときに、乳房の同時再建も希望しようと思いますが、体の負担や再発に関してのデメリットはありますでしょうか。」
⇒ありません。
「 また、近くに県立がんセンター(神奈川)がありまして、重粒子線による乳がん治療の臨床試験も行っているようです。
(臨床試験段階なので、費用は病院もちで、千葉まで治療にいかなくてはならない)、治療条件に該当するならば、積極的に受けた方がよいのでしょうか。」
⇒1%も勧めません。
手術もやはり、体には負担がかかる
⇒手術が「最も負担が少ない」かつ「確実な」治療法です。
どうか、「道から外れない」ことを願います。
「牛乳と乳がんの関係があまり好ましくないという意見」
⇒誤り。
全く無関係
質問者様から 【質問2 】
ルミナールAの再発率と転移率
性別:女性
年齢:40
病名:
症状:
投稿日:2021年9月3日
お世話になります。
迅速で、的確なご回答ありがとうございます。
不幸中の幸いで、もう一つの小さいしこりは良性でした。
そこで、大きいしこりの方を手術することになりましたが、まだ、胸が残せるなら、と、局部手術と放射線治療、ホルモン剤治療で進めていきたいと考えています。
今回、ルミナールAタイプの診断ということですが、再発率や転移率はどのくらいなのでしょうか。
再発率は、以前、お伺いした、温存+放射線で3%、全摘で0%は、ルミナールAタイプにおける確率なのでしょうか。
それとも、いろんなタイプのものを総括してのものなのでしょうか。
また、毎年検査を受けて、何年後かに再発、新たながんが見つかったとしても、いきなり、転移していた、、という結果は考えにくいのでしょうか。
毎年行っていれば、また、早期発見、早期治療で、根治可能の可能性が高いのでしょうか。
いろいろわからないことばかりで申し訳ありません。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは田澤です。
再発率は「局所再発率(この場合には乳房内再発)」と「全身遠隔転移再発率(肝臓とか肺とか骨など)」に明確に分けましょう。
温存手術であれば、局所再発率(温存乳房内再発)は(放射線をかければ)3%程度となります。
遠隔転移再発率は術後の病理が出ない今の時点では検討しようがありません。