[管理番号:9623]
性別:女性
年齢:51
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2021年8月8日
田澤先生こんにちは。
昨年夏に乳がんが発覚してから、乳がんプラザの先生のコラムやQAを参考にさせていただいてます。
有難うございます。
全摘後11ヶ月で局所再発しました。
術後療法で質問です。
かかっているのは某大学病院、ベテランの主治医です。
状況は以下の通りです。
2020年8月 全摘手術
T1b N0 M0
浸潤型8ミリ×4ミリ
広がり3センチ
エストロゲンレセプター陽性
プロゲステロンレセプター陰性
リンパ節転移無し
核異型度2
断端陰性
HER2陽性
ki67 70~80%
主治医からの提案はホルモン療法必須、抗HER2療法(ドセタキセル?ハーセプチン)は悩みどころだが、1センチ以下では強く推奨はしない。
術後無治療だと再発率は約15%、ホルモン療法で約半分の8%、化学療法の上乗せ効果は明確なエビデンスに乏しい。
副作用のリスクと得られる効果を天秤にかけた時に、ホルモン療法だけにしても良いのではないか。
ということで、悩んだ末に化学療法はせずに2020年9月よりタモキシフェンの服用開始。
生理を止める注射は必要無しと言われました。
以後、半年ごとに技師によるエコー検査。
エコー検査では術側はリンパ周辺のみで切除した患部は調べられませんでした。
ちょうど術後2回めのエコー検査にあたる2021年6月ガンがあった辺りに豆粒大のしこりを見つけ、技師に見てもらうようにお願いし、主治医も触診の上で細胞診。
結果、クラス5。
主治医の説明では、前のガンの生き残りで、皮膚と筋肉の間に隠れていた非浸潤のものが顔を出して来たと思われる。
タモキシフェンを服用中なので効果があったとは言えず、手術後病理結果を見て治療方針を仕切り直しとのこと。
タモキシフェンは一旦中止となりました。
CTの結果、遠隔転移およびリンパ転移も認められず、7月中旬に手術。
かなり広範囲のマージンを持って胸壁切除しました。
術後病理結果が出るのが来週になる見込みで、主治医からは、今後の治療として考えられるのは
①放射線治療はした方が良い
②ホルモン療法に効果ありと出れば、タモキシフェン再開?生理
を止める注射を検討
③化学療法(抗HER2療法)の追加を検討
と言われました。
タモキシフェン服用だけでは抑え切れなかったということなの
で、全身治療は見直しが必要とのことでした。
乳がんプラザを読んでいると、純粋な局所再発に必ずしも化学療法の追加は必要とは言えないとの田澤先生の記載があり、私としてはドセタキセルによる脱毛は致し方ないとしても、手足の痺れが最大の不安で、できれば化学療法は避けたいです。
趣味がジョギング、仕事はPCによるデスクワーク。
どちらも私が大切にしているもので、手足の痺れによる影響を懸念しています。
本当に必要な治療なら仕方ないのですが、きちんと納得をしたくて質問させていただきました。
主治医のことは信頼していて、引き続きこの先生の元で治療したいと思うものの、毎日たくさんの外来に手術をこなし、多忙と言えどエコーは技師によるものであったことや局所再発した現実があり、他の専門医の見解も今回はいただきたいと思いました。
セカンドオピニオンも検討していますが、まずはこちらでお尋ねして見ようと思いました。
私の場合、タモキシフェンでは抑え切れなかったと言えるのでしょうか。
田澤先生はこの場合、化学療法は必要と思われますか?
どうか、ご助言をよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
「タモキシフェン服用だけでは抑え切れなかったということなので、全身治療は見直しが必要」
⇒タモキシフェンの役割は「残存していた癌細胞による局所再発の抑制」ではなく、全身の遠隔転移再発の防止です。
その意味で「遠隔転移再発していない=タモキシフェンは十分に役割を果たしている」と考えます。
「乳がんプラザを読んでいると、純粋な局所再発に必ずしも化学療法の追加は必要とは言えないとの田澤先生の記載」
⇒その通りです。
質問者様から 【質問2】
全摘後局所再発の術後ホルモン療法について
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2022年6月15日
田澤先生、いつもありがとうございます。
2020年8月全摘後、術後ホルモン療法中の2021年7月に胸壁再発が見つかり、このコーナーで質問させていただいたものです。
その後、再手術→化学療法(FEC療法、ドセタキセル、ハーセプチン?パージェタ
※分子標的薬は継続中)→放射線治療を行いました。
再手術の病理は以下の通りでした。
浸潤径 15ミリ
Ly0 V0
ER: PS4?IS2=TS6
PgR: PS0?IS=TS0
HER2陽性(score3)
組織学的波及度:s
核グレード:Grade 3
組織学的グレード:GradeⅡ
ki67 30%
前回の病変があった場所にできたこと、初発と組織構築が類似していることから再発病変であるとのことでした。
現在、放射線治療を終えてこれからホルモン療法を開始するにあたり、主治医から以下の提案をされています。
最終月経が2021年10月で化学閉経した状態です。
年齢的にも閉経期にあるので、見極めが難しいとのことでした。
①タモキシフェン単独
初発でタモキシフェン単独で再発しているのでこれだけでは押さえ切れないと思われる
②タモキシフェン?リュープリン
閉経状態がわからなくなるので、2年続けてから閉経後の薬に変える
③閉経後の薬を使う
閉経前の人が使うとガンを増殖させる逆効果がある
私としては、こちらのQAでもお勉強させていただき、前回の田澤先生の回答にもいただいたように、
タモキシフェンの効果がなかったわけではないと理解しております。
初発で行わなかった化学療法も行いましたし、ホルモン療法を変更する必要があるのか疑問ですが、「タモキシフェンだけでは押さえ切れない」と主治医に言われてしまうと不安になります。
どのようなホルモン療法を行うのが最善でしょうか?
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは田澤です。
どのようなホルモン療法を行うのが最善でしょうか?
⇒化学療法閉経は本物の閉経ではありません。
Tamoxifenとし、(化学療法閉経から回復したら)そこにLH-RHagonistを併用します。
★最初から化学療法閉経からの回復を見越してtamoxifen + LH-RHagonist併用としてもOK
***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/6/23
***
質問者様から 【質問3】
全摘後局所再発の術後ホルモン療法について
性別:女性
年齢:52
病名:乳がん(胸壁再発)
症状:
投稿日:2022年6月29日
田澤先生、いつも的確なご回答をありがとうございます。
おかげさまで、治療方法の迷いが吹っ切れます。
度々恐縮ですが、追加で質問させてください。
Tamoxifenとし、(化学療法閉経から回復したら)そこにLH-RHagonistを併用します。
★最初から化学療法閉経からの回復を見越してtamoxifen + LH-RHagonist併用としてもOK
→Tamoxifenの服用を開始し、月経が回復したらLH-RHagonistを併用。
月経が回復しない場合は、最終月経(化学閉経)から1年後に一旦、ホルモン値を検査してみることとしました。
私の場合はTamoxifen(月経状況により+ LH-RHagonist)5年(もしくは10年)で良いのでしょうか?
仮に最終月経(化学閉経)から1年後の検査で閉経状態だった場合は、Tamoxifenから閉経後の治療に変更したほうが良いのでしょうか?
何卒よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは田澤です。
私の場合はTamoxifen(月経状況により+ LH-RHagonist)5年(もしくは10年)で良いのでしょうか?
⇒それでOK 10年続けるか?は5年後に考えましょう。
仮に最終月経(化学閉経)から1年後の検査で閉経状態だった場合は、Tamoxifenから閉経後の治療に変更したほうが良いのでしょうか?
⇒その通りです。
***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/7/7
***