[管理番号:9584]
性別:女性
年齢:35
病名:乳がん
症状:
投稿日:2021年7月19日
こんにちは。
いつもコラムを読み、勉強させていただいています。
妊娠29週4日で乳がんに罹患していることが分かりました。
ER30%, PgR70%, HER2陽性, しこりの大きさ2cm, stage2A Ki67→30%, 核グレード3
CTの所見ではリンパ節、他臓器への移転はなしと言われました。
術前化学療法を提案され、先日AC1クール目を行いました。
出産前に2クール目まで終える予定で、その後は、
出産後にAC残り2クール
↓
ハーセプチン、パージェタ、ドセタキル×4クール
↓
手術
↓
ハーセプチン、パージェタ9か月(場合によってはカドサイラ)
ホルモン療法(部分切除の場合は+放射線治療)
という計画になっています。
治療を始める前に田澤先生のコラム(術前化学療法が適応となる条件やリスクについて)を読み、担当医には術前化学療法が適用となる理由を質問しましたが、回答は次のような感じでした(田澤先生がいつもご批判されているような内容かと思います)
– 微小転移にも働きかける意味でも、どうせ抗がん剤をやるなら出来るだけ早めの方が良い。
– ある程度待っても危険性の低い癌なら手術を先に行う方法もあるが、HER2陽性の場合は、万が一の可能性を考えて中途半端な治療はしたくないので、少しやりすぎかと感じるくらい万全な策を取りたい、それが術前ケモである。
– 先に手術をしてしまうと、薬の効果が分からなくなり、病理診断の後の薬の決め方が難しくなる。
– 完全奏功した場合、再発率が低くなる。
– グレード3だからこそ、術前ケモを行う。
術後ケモが適用になるなら、術前に行っても変わらない(治療成績は変わらない、術後にやっていいものは術前にやってもいい)
田澤先生の手術先行のお考えをもとに考えると、担当医の話はすっきりしない部分はありましたが、現在妊娠後期で手術をすぐに行えない状態であり、また大学病院のため、手術は順番待ちで時間がかかるという懸念があったので、今、いちばん早く開始できる治療が術前化学療法と考え、治療開始の決心をしました。
1クールごとにエコーで腫瘍の大きさの経過観察をしてほしいという希望は伝え、そのように対応してもらう予定です。
質問は下記です。
1)出産後は、AC残り2クール→ハーセプチン、パージェタ、ドセタキル×4回→手術という治療計画ですが、少しでも手術の時期を早めることができるのであれば、術前化学療法の全工程完了を待たずして、手術を前倒しで行う方が良いのでしょうか。
もしくは、エコーで1クールごとに経過観察し、腫瘍が大きくなっていない(薬が効いていない様子がない)ようであれば、計画通り、術前化学療法を全て行ってからの手術でも問題ない(=手術を早めても早めなくても予後や転移率に変わりはない)と考えて良いのでしょうか。
2)もし手術を前倒しで行う場合、何回か化学療法を行った上で手術することになるので、化学療法を開始する前と比べて、ステージやサブタイプが変わる可能性があるかと思いますが、その場合も、術後の化学療法は、化学療法前のステージとサブタイプを基に行った方が良いのでしょうか。
つまり、当初の術前化学療法のメニューを変えずに、術後も続けていくということで良いのでしょうか。
私の取り越し苦労かもしれませんが、術前化学療法の途中で手術を前倒しで行いたいと担当医に申し出た場合、化学療法の成果が中途半端にしか分からず、術後の治療方針の決め方(特にカドサイラを使うかどうか)に影響が出るなどと言われるのではないかと憂慮しています。
3)妊娠中のため行えない検査(MRIや造影CTなど)もあり、化学療法開始前に行った検査は針生検、普通のCT、血液検査のみでした。
CT画像上はリンパへの転移は見られないと言われたものの、あくまで画像上の所見なので、本当に転移がないと言い切れることなのかどうか心配です。
また、実はリンパに転移していたものが化学療法で消えてしまい、手術の際に転移がなかったものと思われて、中途半端な手術をされて後に再発や転移の可能性が出ることも心配です。
手術は今のところ、全摘を考えていますが、リンパに関してはどのような検査、手術を行うのが望ましいのでしょうか。
お忙しいところを恐れ入りますが、ご回答をよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
妊娠中の場合、出産まで抗がん剤を行うというやり方は(担当医の「術前抗がん剤を行う理由」には全く同意しませんが)妥当だと思います。
「術後の化学療法は、化学療法前のステージとサブタイプを基に行った方が良いのでしょうか。」
⇒その通り。(ガイドラインに明記されています)