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粘液がん HER2タイプの予後・治療法

[管理番号:9513]
性別:女性
年齢:37
病名:浸潤性粘液がん
症状:腫瘍径 22mm 浸潤径 22mm グレード不明 ホルモン受容体 ER 90% PgR 低値
HER2陽性 Ki-67 28%?
投稿日:2021年6月24日

はじめまして。
よろしくお願いいたします。

4月に針生検し、
粘液がん ステージ2a・ルミナールA(Ki-67 5%)
画像上ではリンパ節転移・遠隔転移なしと診断され「比較的予後の良いおとなしい癌です」と言われました。

ですが先日、全摘手術を行い術後の病理結果で、粘液がん・ルミナールHER2(Ki-67 28%)
センチネルに0.4mmの微小転移と診断されました。

「術前と術後でサブタイプが変わる事は滅多にないよ」と言われていただけに、物凄くショックを受けました。

粘液がんでHER2陽性は珍しく、あまり症例がないと言われて不安でいっぱいです。

また粘液がんという事でステージやグレードはない、と言われて、グレードが分からないのがまた不安です。
針生検ではグレード1と言われたんですが。
病院によるのでしょうか。

主治医の提案する治療法は、
FEC療法を4クール→ドセハーパーを4クール→ハーパーとタモ+リュープリンを並行(タモは10年)
との事ですが妥当でしょうか?
主治医に「抗がん剤+抗HER2療法をやらなければ恐らく25%位の確率で再発する。
やる事で再発率は半分位まで減ります」とは言われました。

田澤先生から見た再発率・生存率はどのくらいになりますでしょうか。

 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

針生検と手術標本でHER2結果が異なったわけですが、(それはそれとして)やるべき治療を行うことです。シンプルに考えましょう。

「FEC療法を4クール→ドセハーパーを4クール→ハーパーとタモ+リュープリンを並行(タモは10年)との事ですが妥当でしょうか?」
⇒正しく理解しましょう(以下)

主治医の言う「ドセハーパー」とはdocetaxel(ドセタキセル)+trastuzumab(ハーセプチン)+pertuzumab(パージェタ)の「それぞれの頭文字(ドせ)(ハー)(パー)を繋げたもの」のようです。
所謂 anthracycline(FEC)⇒taxane(この場合はdocetaxel)に2剤の分子標的薬(trastuzumab, pertuzumab)を組み合わせた形であり、「最強の抗HER2療法」となります。

★私であれば、上記「最強レジメン」ではなく、(low riskとして) 
docetaxel+cyclophosphamide+trastuzumab x4 ⇒trastuzumab x14 としますが、(考え方の違いであり)間違いではありません。

「やる事で再発率は半分位まで減ります」
⇒抗HER2療法が「再発率を半分に低減する」ことは事実です。

「田澤先生から見た再発率・生存率はどのくらいになりますでしょうか。」
⇒抗HER2療法をやらなければ再発率は20%程度 抗HER2療法をすることで10%程度だと思います。
ここでいう「再発率」とは「遠隔転移再発率」のことです。(遠隔転移再発率=生存率です)

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

ルミナールHER2タイプの妊活について
性別:女性
年齢:38
病名:粘液癌
症状:腫瘍径 22mm 浸潤径 22mm グレード1 ホルモン受容体 ER 90% PgR 20% HER2陽
性 Ki-67 25%
投稿日:2022年1月13日

前回は質問にお答えいただきありがとうございました。

抗がん剤(FEC4クール→ドセハーパー4クール)を先日終えて、今後はハーパー、ホルモン療法の投与を行なっております。

2人目妊活中に乳がん発覚し、勿論今は妊活はストップしております。

主人や主治医は「もう既に1人いるんだから」と消極的で、私も悩んでおります。

ホルモン療法を中断し妊活再開しているのは、私が知る限りだとHER2陰性のおとなしいタイプの方ばかりに思います。

私のようにHER2陽性で、術後2~3年の再発リスクが高いタイプだと、妊活は危険でしょうか。

センチネルリンパ節にも微小ですが転移があったので「粘液癌だが油断はしない方がいい」と主治医に言われたことがあります。

田澤先生のご意見を伺いたいです。
よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは田澤です。

2人目妊活中に乳がん発覚し、勿論今は妊活はストップしております
⇒残りの分子標的薬(trasutuzmab + pertuzumab)が終了したら、ホルモン療法は休薬して妊活

 私なら上記案内します。
 ご参考に。