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温存手術→全摘手術

[管理番号:2199]
性別:女性
年齢:49歳
このサイトで勉強させてもらっています。
よろしくお願いいたします。
12月22日に右側温存手術を受けました。
摘出されたのは右側乳首より内側 7×5センチ摘出したと言われました。
乳首に近く病理診断の結果
取り残しがあるかも(現在病理再確認中)との説明を受けました。
今後の治療方針として放射線治療(残存乳腺照射)+ブースト照射+リンパ節(陽性の為3ミリ)これだけの放射線治療がいります。
抗がん剤(半年)+ホルモン治療をするとの説明を受けました。
手術前の説明では、まだ初期なので温存手術で大丈夫だし、リンパに転移は見られない(CT)と聞き安心して手術を受けました。
術後の経過も良くホルモン治療が良く聞くタイプだから安心してと言われていました。
当初放射線治療+ホルモン治療のみの予定でしたが、病理の結果が悪く、リンパに転移(3ミリ)見られ、
①全摘し、抗がん剤、
②温存の まま放射線+抗がん剤+ホルモンするかと言われました。
再発を恐れているなら全摘した方がいいか、温存のまま放射線治療+抗がん剤+ホルモン治療するか迷っています。
生存率は①も②も同じでしょうか?
温存手術→全摘出術後の方は術後の経過はいかがですか?
いろいろ考えて恐くなっています。
アドレスお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「ホルモン治療が良く聞くタイプだ」「当初放射線治療+ホルモン治療のみの予定」「病理の結果が悪く、リンパに転移(3ミリ)見られ、①全摘し、抗がん剤、②温存のまま放射線+抗がん剤+ホルモンするかと言われました。」
⇒本当に「抗がん剤が必要かどうか?」です。
 「リンパ節転移(3mm)」が「抗がん剤の適応」とは私は考えません。
 「ルミナールAタイプ」であれば化学療法を追加する条件としては「リンパ節転移4個以上」と考えるからです。(St.Gallen 2015 votingより)
 
「再発を恐れているなら全摘した方がいいか、温存のまま放射線治療+抗がん剤+ホルモン治療するか迷っています。生存率は①も②も同じでしょうか?」
⇒同じです。
 差はありません。
 「温存のまま照射」で(万が一)「乳房内再発」しても(其のあとで)「残存乳腺を切除」すれば「生存率は変わらない」からです。
 
「温存手術→全摘出術後の方は術後の経過はいかがですか?」
⇒(腋窩の手術も終わっている」し、「乳腺を摘出するだけ」なので全く楽です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
お忙しい中回答をいただきありがとうございました。
大変嬉しく感謝申し上げます。
術前検査では
ホルモンレセプター 陽性
(eg pgr陽性)
her2蛋白 陰性
との事でした。
右側温存手術(内上側)を受けました。
腫瘍の大きさは1.5センチと術前に聞きました。
乳頭に近く、断片陽性があるかも。
(かなり乳腺を切除したとの話でした。現在、病理再確認中)
また、リンパ節生検 +サンプリング郭清で4つのうち1つだけから(3ミリ転移)
主治医からの説明では断片陽性で手術しても取りきれていることが多く、しかし、数%の方には残っているかもしれない。
もしかしたらあなたが数%かもしれないし違うかもしれない。
ごま塩のように胸の中に点在しているかも。
(なので放射線治療+抗がん剤(副作用強め)が必要)
また、リンパ節についても一つ(3ミリあり)一つしか取ってないので、もしかしたら他のリンパから転移しているかもしれないし、大丈夫かもしれない。
ま、大丈夫な事が多いけど絶対ではない。
と言われました。
こちらの病院では一つでもリンパ節転移があると抗がん剤のような話でした。
リンパ節転移とはどんな状態になっているのかと悩んでしまいました。
①もう一度手術して全摘出を選び+抗がん剤(副作用軽め)か
②温存のまま放射線治療+抗がん剤(副作用強め)するかとの話でした。
とりあえずホルモン治療はしていこうとのことで、タモキシフェン20ミリ飲み始めました。
田澤先生に質問させてもらいました時、抗がん剤の適応とは考えません。
との回答をいただき安心いたしました。
温存のまま放射線治療+抗がん剤とするなら、もう一度手術をしてもらおうかと思っています。
ただ、自分はルミナールAなのかBなのか詳しく聞いてないのですが、主治医に聞いた方がいいでしょうか?
主治医より、抗がん剤(副作用強め)、(副作用軽め)との話がありましたが、全摘の時、軽めと(副作用)の場合経口ということでしょうか?
やはり体に負担はありますか?
期間はどれくらいですか?半年~一年との話ですがそんなに長期間になりますか?
抗がん剤(軽め)をしたときと、しない場合ではどれくらい差があると思われますでしょうか?再発率、生存率ともに。
もし再手術なら、乳首は残せますがどうしますか?
と主治医からいわれたのですが全摘出の時と乳首を残した時とどれくらい差があると思われますでしょうか?再発率、生存率。
乳首がなくなるのは悲しいけど安全には変えられないと答えましたが…。
選択がたくさんあると迷い一番よい方法が何なのかわからずにいます。
一番安全に過ごせる方法がこれでよいのかと考えてしまいます。
(まだまだ元気にいたいです)
お忙しい中申し訳ありませんがまたアドバイスいただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「リンパ節についても一つ(3ミリあり)一つしか取ってないので、もしかしたら他のリンパから転移しているかもしれないし、大丈夫かもしれない。ま、大丈夫な事が多いけど絶対ではない。と言われました。」
⇒厳しいようですが…
 私には「担当医の説明に説得力が無い」様に思えます。
 「このような考え方がある」ので「この病院では、こうしています」のような(確固たる)「説明」ではなく、「あーかもしれない。こーかもしれない。解らないけどね」みたいな言い方は(私には)「責任を放棄した」コメントに感じます。
 ○つまり今回の「リンパ節の件」では
 『(海外のデータを参考にして)我々の施設ではセンチネルリンパ節の術中迅速診断で、たとえ肉眼的転移(2mm以上)があっても2個以内ならば追加郭清せず、腋窩部も照射野に加えることで対応しています。それでも予後には全く影響はないのです』のように、言えばいいところを、「変に言い訳めいた説明」をするので「奇異に感じる」のです。
 
「こちらの病院では一つでもリンパ節転移があると抗がん剤のような話でした。」
⇒未だに「このような基準」としている施設はありますね。
 
「リンパ節転移とはどんな状態になっているのかと悩んでしまいました。」
⇒これは本来、「執刀医自身」が事前に
 「当施設ではセンチネルリンパ節生検の取り扱については、このようにしている。
それで全く問題無い」という「取りきめが為されているべき」です。
 そして、(実際のセンチネルリンパ節生検の迅速診断に応じて)事前の同意内容に沿って行われていれば「全く問題無い」わけです。
 ○それとも「センチネルリンパ節生検の術中迅速診断をしていない」のでしょうか?
 もしかして、それで(術後に判明したために)曖昧な説明をしているのかもしれませんね。
 
「温存のまま放射線治療+抗がん剤とするなら、もう一度手術をしてもらおうかと思っています。」
⇒それでいいと思います。
 
「ただ、自分はルミナールAなのかBなのか詳しく聞いてないのですが、主治医に聞いた方がいいでしょうか?」
⇒勿論聞いておくべきです。
 ただし、「リンパ節転移が判明するまで」は「抗がん剤の適応ではない」と言っていることからは「ルミナールAの可能性が高そう」に思います。
 
「全摘の時、軽めと(副作用)の場合経口ということでしょうか?」
⇒「経口」抗がん剤は「標準療法」ではありません。
 私が推測するに 副作用弱め(TC) 強め(EC+DTX)なのだと思います。
 
「やはり体に負担はありますか?」
⇒(一次的ですが)あります。
 
「期間はどれくらいですか?」
⇒TCは3カ月、「EC+DTX」は半年です。
 
「半年~一年との話ですがそんなに長期間になりますか?」
⇒術後補助療法としての抗がん剤に「1年なんて長期間のものは存在しません(標準治療では)」
 
「抗がん剤(軽め)をしたときと、しない場合ではどれくらい差があると思われますでしょうか?再発率、生存率ともに。」
⇒再発率は8%、生存率は3%程度です。
 
「全摘出の時と乳首を残した時とどれくらい差があると思われますでしょうか?再発率、生存率。」
⇒(遠隔転移)「再発率」や「生存率」には差はありません。
 局所再発には差はでるかもしれませんが、「数字は不明」です。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生
先日はお忙しい中回答はありがとうございました。
1/○○日に無事に右側全摘手術を終えました。
傷の痛みもなく元気にしております。
安心して手術ができたのも田澤先生に悩みを聞いていただいたお陰と感謝しております。
ありがとうございました。
今回また質問させてください。
全摘術前の説明でルミナールAタイプと主治医から説明がありました。
(ki67 8.7%)
ただ、病理検査で詳しく調べてもらったところ乳頭線管癌(浸潤癌)特殊型1%微小乳頭癌だったと言われました。
リンパ節転移しやすく、拡がりやすいと説明を受け、かなり拡がっているのではないかと動揺いたしました。
今回の手術の後の病理検査で今後の治療方針が決まります。
田澤先生なら今後の治療はどうされますか?
現在ホルモン療法のみ受けています。
抗がん剤となりますか?
微小乳頭癌を検索すると悪性度が高く予後が悪いとしか書いてなく怖くなりました。
リンパ節に3ミリ転移があったので(郭清した)、脇に放射線治療との話がありました。
特殊型とはどう考えたらよいのでしょうか?
核グレードと同じですか?違いますか?
今のところ体調も悪くなく元気なので出来れば抗がん剤は避けたいところです。
お忙しい中申し訳ありませんがよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「全摘術前の説明でルミナールAタイプと主治医から説明がありました。(ki678.7%)」
⇒この内容からすると、ますます「リンパ節転移1個で抗がん剤を勧めるのはいかがなものか?」
 
「病理検査で詳しく調べてもらったところ乳頭線管癌(浸潤癌)特殊型1%微小乳頭癌だったと言われました。」「リンパ節転移しやすく、拡がりやすいと説明」
⇒ばかばかしい。
 何のために、そんな(いい加減で、無意味な)「情報」を(まことしやかに)しているのでしょうか?
 馬鹿馬鹿しくて、それ以上コメントは差し控えさせてもらいます。
 
「田澤先生なら今後の治療はどうされますか?現在ホルモン療法のみ受けています。」
⇒「ルミナールAでリンパ節転移1個」であれば当然「ホルモン療法単剤」です。 抗がん剤はしません。
 
「抗がん剤となりますか?」
⇒なりません。
 「ホルモン療法単剤」です。
 
「微小乳頭癌を検索すると悪性度が高く予後が悪いとしか書いてなく怖くなりました。」
⇒くだらない情報をネットで見るのは辞めましょう。
 「特殊型の予後など、少数例でまことしやかに」話しているだけであり、きちんと「ステージを揃えて、大規模臨床試験がされている」わけではありません。
 担当医のコメントなど「今すぐ」忘れましょう。
 
「リンパ節に3ミリ転移があったので(郭清した)、脇に放射線治療との話がありました。」
⇒この医師は「きちんと基準」をもっていますか?
 「リンパ節転移が1個でもあれば」術後放射線照射なのですか?
 通常は4個以上で放射線照射を推奨します。
 
「特殊型とはどう考えたらよいのでしょうか?核グレードと同じですか?違いますか?」
⇒「特殊型」とは文字通り「数が少ない」ため、「その意味を大規模臨床試験で確認できない」のです。
 少数例で検討して「○○○、故に△は予後不良だと思われる」みたいな論文を読んでも仕方がありません。