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温存手術後の病理検査の結果について

[管理番号:538]
性別:女性
年齢:46歳
はじめまして。
3週間前に左乳房温存術を受けた者です。
先日、病理検査の結果を聞きに外来をうけたのですが、断端部に微妙なところがあり、再手術も可能性に含まれるかもしれない、とのことで不安にかんじております。
2週間後に結果が出るのでそれまで待てば良いのですが田澤先生の感想もお聞きしたく、質問させていただきました。
今年始めに定期検診を受け、マンモグラフィーにて石灰化がみつかり、要精密検査となり、マンモトーム生検をうけ、初期の乳癌が見つかりました。
術前のマンモトーム生検の結果は、
ER(+)、PgR(+)
ki67 10%
HER2(2+)
でした。
前日の外来で結果が出ている部分だけ教えていただいたのですが、術後の病理検査の結果は
切除術 Bp 8.0×8.0×2.0cm
乳癌病巣 1病巣
現在の判断
腫瘍径0.20×0.20cm in situ ca含む:0.10×0.10cm,1.0×0.30cm
核異形スコア:1, 核分裂スコア1(0/10HPF), 核グレード1
波及度:g-in situ, リンパ管侵襲:ly0, 静脈侵侵:v0
断端:側方のみ? 皮膚側、深部側、乳頭側-
リンパ節転移:合計(0/1)
となっております。
頂いた報告書の病理医のコメントが、
組織学的に、ブロック#12,31(腋窩側)にそれぞれ1×1mm,10×3mmの腫瘍性異形を示す病変を認めます。異形上皮の悪性度についてさらに検討が必要です。特に#31は腋窩側断片であり、癌の有無についてさらに検討を重ねています。他の断端は陰性です。
とあります。
主治医の感覚ではたぶん、放射線で対応できる感じになるとはおもうが、結果を待ちましょうとのことです。
再手術の可能性が高いものなのか、もし放射線で対応可能と言われた場合には、本当に切らなくても大丈夫なのか、不安がつのります。
やっと温存手術を終えて気持ちが前向きになっていたところでしたので、落ち込みます。
切除と判断された場合には、次回も部分で対応できるといわれたのですが、切ってしまえば心配のない種類の癌なのでしょうか?
宜しくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 術前のマンモトーム生検の結果は、
ER(+)、PgR(+)
ki67 10%
HER2(2+)
⇒これはHER2-FISH行っているのでしょうか?(本来、されなくてはならないものです)
 おそらくHER2-FISHはnegative(増幅なし)となり、『luminal A』となりそうです。
術後病理
pT1a(2mm), pN0, ly0,

回答

「1×1mm,10×3mmの腫瘍性異形を示す病変を認めます。異形上皮の悪性度についてさらに検討が必要」
⇒このまま「異型」相当であれば『追加切除は不要』
 これが「浸潤癌」であれば『追加切除は必ず必要』
 ◎「非浸潤癌(このレポートでいうin situ ca)」であった場合が微妙となります。
  基本的には「追加切除」ですが、「露出部分の範囲(長さ)」が『2mm以内』ならば「放射線の追加照射」も検討されます。
 
「切ってしまえば心配のない種類の癌なのでしょうか?」
⇒大丈夫です。
 Luminal Aであり、かなり大人しいタイプです。
 ホルモン療法が有効です。
 
 

 

質問者様から 【質問2 断端陽性の手術方法について】

こんにちは。先日はお忙しいなか、ご回答下さりありがとうございました。だいぶ気持ちが整理されてきました。
再度質問させて下さい。
断端陽性となった場合の手術方法ですが、主治医は部分切除で対応できると言っていました。
断端陽性と出た場合、それは、多発性であったり、拡がり易い種類の癌で、乳首を越えて反対側にもすでに拡がってしまっている可能性はないのでしょうか。
初めて癌の告知を受けた時は命が助かるなら全摘で構わないと思ったのですが、いざ温存で乳房が残っているのを見ると精神的にかなり助かっているのは感じます。
子どもにも手がまだまだかかっていることもあり、安全第一だとは自分に言い聞かせております。しかし、いざ全摘をしたら、多分悲しい気持ちが術後強く出てくるだろうともおもいます。
先生でしたら、断端陽性の患者には全摘を勧めますか?
また、断端陽性は再発のリスクが高いと書いてある事が多く、怖い思いをしておりますが、それは断端陽性で切除も放射線もかけない場合にハイリスクになると言う意味なのでしょうか?
しっかりと治療すればハイリスクには当たらなくなるか教えてください。
お忙しい中、何度も質問してしまい申し訳ありません。
宜しくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 ポイントは病理医のコメントです。
「組織学的に、ブロック#12,31(腋窩側)にそれぞれ1×1mm,10×3mmの腫瘍性異形を示す病変を認めます。
異形上皮の悪性度についてさらに検討が必要です。
特に#31は腋窩側断片であり、癌の有無についてさらに検討を重ねています。他の断端は陰性です。」

⇒「ブロック♯12」と「ブロック♯31(腋窩側)」の位置を担当医から図示されているのでしょうか。
 「ブロック♯12」がもしも「陽性」ならば、その方向への「切り足し」となります。
 「ブロック♯31」は腋窩側ということなので、「末梢側を腋窩方面に完全に切除」することとなります。

回答

「断端陽性となった場合の手術方法ですが、主治医は部分切除で対応できると言っていました」
⇒図示してもらってください。
 「他の断端は陰性」とありますから、「それぞれの方向へむかって」追加の部分切除で治まるという判断でしょう。
 
「断端陽性と出た場合、それは、多発性であったり、拡がり易い種類の癌で、乳首を越えて反対側にもすでに拡がってしまっている可能性はないのでしょうか」
⇒これは切除標本の中の「腫瘍」と「それらの異型上皮」の位置関係に注目してください。
 『乳房内多発(多中心性発癌:全くバラバラに存在)』と『乳管内進展(同一乳管系の乳管に沿った拡がり)』を区別する必要があります。
 全く「バラバラに存在」している場合には「乳腺内多発」として、「他の方向にも」スキップして病変が存在する可能性を考えます。「乳房切除の適応もでてきます」
 逆に「腫瘍から、末梢への拡がりの裾野」に相当する場合には、「乳房内多発」とは考えず、『乳管内進展』として「その方向へ追加切除」すれば大丈夫だと思います。
 
「先生でしたら、断端陽性の患者には全摘を勧めますか?」
⇒上記の記載通りで「乳腺内多発」と考えれば「全摘を勧めます」
 「乳管内進展」と考えれば「追加部分切除を勧めます」
 
「断端陽性は再発のリスクが高いと書いてある事が多く、怖い思いをしておりますが、それは断端陽性で切除も放射線もかけない場合にハイリスクになると言う意味なのでしょうか?」
⇒その通りです。
 「断端陽性のまま」にしておくと「乳房内再発」の高リスクとなります。(ちなみに全身再発のリスクではありません)
 
「しっかりと治療すればハイリスクには当たらなくなるか」
⇒その通りです。
 「追加切除」をすれば、「乳房内再発の」ハイリスクではなくなります。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

初回の質問の中でHER2 2+とお伝えしました。
主治医は、追加の検査にまわしておきますと言っていましたが、その結果についてはまだ聞かせれておりません。
その後、ハーセプチン対応などの話はないので、多分陰性だったのだろうと解釈しているところです。次回の診察で確認しようとおもいます。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 ご丁寧にありがとうございます。
 主治医も「断端の事にばかり気持ちがいってしまし」「HER2-FISHの結果を見確認の可能性」があります。
 質問者の方から確認してもらう方が良いでしょう。
ER(+)、PgR(+)
ki67 10%
HER2(2+)
核異形スコア:1, 核分裂スコア1(0/10HPF), 核グレード1
波及度:g-in situ, リンパ管侵襲:ly0, 静脈侵侵:v0
 こんなに大人しいHER2陽性は見た事がないので、「陰性」だとは思います。
 
 

 

質問者様から 【感想4】

先日はとても分かりやすい回答をしてくださり、ありがとうございました。
自分がどういう状況で、主治医に何をどう質問したら良いのか、お陰さまでかなり整理できました。
乳癌と診断され、不安ばかりが大きくて、色々質問して納得のいく治療をしたいと思っても、何をどう質問したら良いのかがわからなかったのです。
先生に不安を聞いていただくことで、私が疑問に感じていたことを整理し、主治医に質問すべきポイントを、明確に教えてくださったこと、本当に感謝しております。
再手術かもしれないということで、仕事のことや子どもの世話を誰かに頼むなど、負担感が大きく落ち込んでいましたが、しっかりと受け止めて根治を目指そうと思えるようになりました。
病理が確定したら、また不安がでてくるかもしれませんが、その時は助けて下さい。
本当にありがとうございました。
 
 

 

質問者様から 【質問5 迷っています】

先日は大変分かりやすいご回答を、ありがとうございました。
本日、病理の最終の結果が出ました。
先日先生が教えて下さった「微妙な結果」となり、今後の治療に迷いが出ております。
主治医からは追加手術でも放射線での対応でもどちらを選んでも良いと言われ困惑しております。
先生ならば患者さんに、どちらをすすめるかお聞きしたく、再度質問させていただきました。宜しくお願いいたします。
前回、断端陽性を疑われていた部位ですが、非浸潤での、断端陽性と診断されました。
最初に切除したものと同一の乳菅内のものとの事で、追加手術をするとしても部分切除でいけるとのことでした。
断端陽性の部位についての病理組織診断の所見です。
In situ ca含む1.0×0.30mm
ER(+)>90%
PgR(+)おおむね70%
HER2 1+(ductal conponentのため参考値)
Ki67 labeling index:約10%程度の腫瘍細胞陽性
となっております。
放射線での治療で根治を目指すことは可能なのでしょうか。
また、切除した場合と放射線のみで治療した場合の差はほとんどないとの説明でしたが、先生も同じように感じられますか?
この程度の断端陽性であれば、放射線をすすめる病院のほうが多いと思う、とも言われましたが、どうなのでしょう?
放射線を選んだ場合、万が一局所再発を起こした時は治癒は困難になってしまうのでしょうか?
どちらを選んでも構わないので、検討してくださいと言われ、本当に迷ってしまっております。
田澤先生でしたらどのようにされますか?
可能でしたらその根拠もあわせて教えていただけると有難いです。
度々の質問で申し訳ないのですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 前回「◎「非浸潤癌(このレポートでいうin situ ca)」であった場合が微妙となります。基本的には「追加切除」ですが、「露出部分の範囲(長さ)」が『2mm以内』ならば「放射線の追加照射」も検討されます。」
 とお話しました。
 まさに、「1mmの非浸潤癌」となると、ピンポイントに「放射線の追加照射も検討」に該当します。

回答

「放射線での治療で根治を目指すことは可能なのでしょうか。」
⇒可能です。
 
「田澤先生でしたらどのようにされますか?」
⇒私であれば、「放射線照射の追加照射」でいいと思います。
 根拠ですが、「そのような方針で治療をやってきて、何ら問題はない」からです。
 私自身の「温存乳房内再発は(幸いな事に)殆ど無い」のですが、その結果感じている乳房内再発のリスクは『ある程度広範囲の断端陽性』です。
 2mm以下は「十分に照射でコントロール可能」と思います。(経験上)



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