Site Overlay

オカルト乳がんによるリンパ節転移

[管理番号:8972]
性別:女性
年齢:50歳
病名:乳がん(浸潤生乳管がん、オカルト乳がん)
症状:腋窩のリンパの腫れ(複数)
投稿日:2020年10月30日

日々のご診療でお忙しいところ失礼いたします。
このような質問を差し上げることは躊躇したのですが、
ネットで拝見できる先生のコメントなどを拝読して、先生のご厚意にすがる気持ちになりました。

先月の初めに妻が乳がんと診断されました。
妻は乳腺症ということもあり、乳腺の専門医に半年ごとに検診を受けておりました。
1年前の定期検診でがんの疑いがあり、細胞診(クラス3判定)、組織診(クラス1判定)と、腋窩リンパ節に腫れが少しあるが、経過観察となりました。

当時ちょうど私の職場が変わったことともあり、この最初の先生に紹介状とデータをいただき、異動先の乳腺の専門医の先生(がん拠点病院の先生)にも診断していただき、再度、細胞診を行なった上で、「異常なし」、「半年後検診」となりました。
そして直近の3月にも検診を受け「異常なし」とのことでした。
腋窩リンパの腫れの指摘の説明も患者としても繰り返しました。

ところが、10月の検診で、乳房・乳腺には異常所見はないが、腋窩のリンパの一つに5センチ弱の腫れがあり、それ以外にも複数リンプ節が腫れているとのことで、「乳がん、肺がん、悪性リンパ腫」の可能性あるとのことで、血液検査、CT(胸部)、組織診を行いました。

その結果、「肺と肝臓に異常なし(CTより)」、「腫瘍マーカー異常なし」、「浸潤性乳管がんの転移疑い:ER(+:>80%)、PrG-、HER2(3+)、KRI 67(40~50%)(組織診より)」との判定となりました。
現在、追加でMRIと骨シンチを行い、その結果を次週お伺いする予定となっております。
いわゆる「オカルト乳がん」とのご説明を主治医の先生からいただいております。

現時点では、今後、抗がん剤治療(タキソテール、カルポプラチン )、抗HER2療法
(ハーセプチン、パージッタ )、手術、放射線療法、ホルモン療法を組み合わせる予定です。

まだMRIの結果を聞く前からご質問をさせていただくことは本当に恐縮なのですが、
半年前に診断していただいている経緯もあり主治医の先生にどこまで質問していいいのか躊躇するところもあり(リンパの腫れは妻も全く気づいていませんでしたの、そのことで主治医の先生を責めるつもりは全くありません)、
先生のご意見を賜りたいと強く願った次第です。

ご意見を賜りたいの以下の点です。
個々の事例の話ですので、質問が不適切なものもあろうと存じますが、妻の病状の深刻度を知りたいという趣旨でございます。

①腋窩リンパ節が半年でこれほど急速に成長することはあるのでしょうか。
またそれががんの進行の速さを示しているのでしょうか。

②腫瘍の大きはステージなどで問題にされますが、リンパ節の腫れの大きさをどのように解釈すれば良い
のでしょうか(リンパと転移の関係つにいての先生のコメント等は拝読しました。他では得ることが全くできない唯一の貴重な情報でした。)。
ネットなどを拝見しても、リンパの腫れが5センチに迫るというのは見る例が少なく不安に感じております。

③1年前から既にリンパ節の腫れがあったとすれば、この1年間の治療の遅れは予後にどのような影響を
与えると考えることができるのでしょうか。
転移のリスクを高めてしまったこが悔やまれます。
具体的なご回答は無理かと存じますが、一般論としてでもお考えをお聞かせいただければ本当に救われます。

以上、まだ原発巣が見つかってもいない、ご判断が難しい状況での質問ではないかと拝察申し上げますが、先生のご回答は先の見えない状況で道しるべとなるかと考えおすがり申し上げる次第です。

 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

「①腋窩リンパ節が半年でこれほど急速に成長することはあるのでしょうか。
またそれががんの進行の速さを示しているのでしょうか。」

⇒実際の「半年前のサイズ」の記載が無いので不明です。

「②腫瘍の大きはステージなどで問題にされますが、リンパ節の腫れの大きさをどのように解釈すれば良いのでしょうか」
⇒大きさは気にしなくていいでしょう。

「複数リンプ節が腫れている」とあるので、手術をして「実際の個数の評価」をしてから考えればいいことです。

「③1年前から既にリンパ節の腫れがあったとすれば、この1年間の治療の遅れは予後にどのような影響を
与えると考えることができるのでしょうか。」

⇒半年前どの程度の所見だったのか?不明ですが、「明らかな所見が無かった」と仮定すれば、それほどの影響はないでしょう(1年前から明らかなのに放置と比較すれば)

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

オカルト乳がんによるリンパ節転移
性別:女性
年齢:50歳
病名:オカルト乳がん
症状:リンパ節に画像で確認できる5個の腫れ、乳房には異常所見なし
投稿日:2020年11月6日

田澤先生

1週間前に、妻のオカルト乳がん(潜在性乳がん)について質問を申し上げたものです。

お忙しいところ、ご回答をいただき本当にありがとうございます。
またご回答に必要な情報が欠けている点が多く失礼いたしました。

1年前に指摘されたリンパの腫れは、その時点では特に検査の必要は指摘されませんでしたし、直後に受診したもう一人の先生も腫れを問題にされませんでした。
また、半年前の検診では、リンパ節に関しては何も指摘されませんでした。

妻本人も気づいていなかったので、どのような状況だったのかは想像するしかありませんが、その時までは、見過ごされる範囲の腫れであったのではないかとは想像しています。

また、今週の診察で新たにお聞きしたことですが、MRI診断でも乳房に異常所見はなく、小さな乳がんの芽のようなものがあるのだろうとのことでした。
その際、主治医の先生に改めてお聞きしたところ、リンパの明らかな腫れは画像では、近接した5個を確認できるとのことでした。
そのうちの2個は4~5センチ大だそうです。
一方、リンパ節は可動的で癒着はしていないとのことです。
画像を見た印象はぶどうの房のような形でした。

リンパの転移の数からステージ3という響きがとても重くのしかかりますし、リンパの画像もショックでした。

以上が現在わかっていることになりますが、次の4点の追加の質問をお許しください。

①先生のご回答の理解として次のような考え方でよろしいでしょうか。

1年という時間幅では(明らかに放置しきたという状況でなければ)、リンパ節での(局所)転移が進むことがあっても、がん細胞がリンパ節を破り遠隔転移に結びつく状態にまで進展する可能性は高くはない。

② 潜在性乳がんで、原発巣が見つからない理由が「単に見えない大きさ」である場合、腫瘍径は小さなものなので、血行性転移の可能性も低くなるのでしょうか。
あるいは、潜在性乳がんについては別の考え方(画像では「見えない浸潤部分の広がりがある」など)をする必要があるのでしょうか。

③リンパの腫れの大きさは、周りのリンパ節へのより多くの転移の可能性を示唆していると思うのですが、この理解の仕方は間違っているでしょうか。

④他の方の質問へのご回答で、「再発の可能性が高いのは進展の早い腫瘍ではないか」との先生のコメントを拝見しました(素人の解釈で誤解でしたらお許しください)。
リンパ節での転移の早さは腫瘍の成長の早さを意味しているのでしょうか。

以上、お忙しいところ、長文となりましたことお許しください。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは田澤です。

「1年前に指摘されたリンパの腫れは、その時点では特に検査の必要は指摘されませんでしたし、直後に受診したもう一人の先生も腫れを問題にされませんでした。」
⇒「問題にされませんでした」とありますが…

 一方で「1年前に指摘されている」ことからは、(結果論ですが)1年前から腫れていたわけです。(1年前から「既にあった」というのが事実です)

「①先生のご回答の理解として次のような考え方でよろしいでしょうか。
1年という時間幅では(明らかに放置しきたという状況でなければ)、リンパ節での(局所)転移が進むことがあっても、がん細胞がリンパ節を破り遠隔転移に結びつく状態にまで進展する可能性は高くはない。」

⇒そう思います。

「② 潜在性乳がんで、原発巣が見つからない理由が「単に見えない大きさ」
である場合、腫瘍径は小さなものなので、血行性転移の可能性も低くなるのでしょうか。
あるいは、潜在性乳がんについては別の考え方(画像では「見えない浸潤部分の広がりがある」など)をする必要があるのでしょうか。」

⇒潜在性乳癌を特別視する必要はありません。(必要以上に「悲観視」も「楽観視」もせずに粛々と必要な治療を行いましょう)

「③リンパの腫れの大きさは、周りのリンパ節へのより多くの転移の可能性を示唆していると思うのですが、この理解の仕方は間違っているでしょうか。」
⇒そう思います。

「④他の方の質問へのご回答で、「再発の可能性が高いのは進展の早い腫瘍ではないか」との先生のコメントを拝見しました(素人の解釈で誤解でしたらお許しください)。
リンパ節での転移の早さは腫瘍の成長の早さを意味しているのでしょうか。」

⇒考えすぎ