[管理番号:2908]
性別:女性
年齢:35歳
3週間ほど前から乳頭から血性分泌液が出たため、2週間前に乳腺外科クリニックを受診しました。
結果は、マンモ異常なし、エコーでは乳管拡張がみられる、CEAは400(粘稠度が高いので数値も高くなりギ陽性とのこと)でした。
分泌物は、出るときと出ないときがあります。
ギュッと絞ってしまえば、しばらく出ないため、検査のための採取でも出てきませんでした。
そのため、直接乳管に針を刺し、吸い上げるような注射器(みたいなもの?)で採取したのですが、たくさんの分泌物がたまっていたようでした。
細胞診の結果は良性とのことで、経過観察を行い、再院は半年後になっています。
現在でも分泌物はあります。
量は多くなく、少量のときがほとんどです。
ギュッとつまむと出てきますが、その後はしばらく出ません。
ただ最近は分泌量が増えたのか朝起きると、直径2センチくらいな量が滲むようになりました。
いつまでこの状態が続くかわからないですが、半年間このままでいいのかと不安です。
○このまま経過観察してもいいものなのでしょうか。
○それとも、何か他に検査など行った方がいいのでしょうか。
○もしくは、今は見つからないほどの小さな癌だけれど、半年後にわかるようになるということでしょうか。
○また、ついつい確認のために、乳頭をつまんでしまいますが、それは控えた方がよいでしょうか。
お忙しいとは思いますが、回答よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
重要な事は「単孔性分泌なのか、どうか?」です。
○単孔性分泌であれば、「乳管内病変の可能性」があります。
①乳管造影をして、「乳管内病変であることを確認」
⇒②乳管(腺葉)区域切除にて、「組織診断」をする。
上記が正しい診療です。
このQandAでも過去にさんざんコメントしてきたので詳細は省略しますが、
「乳管造影をしない(できない? もしかして存在自体も知らない?)乳腺外科医が多い」ことには辟易しています。
「CEAは400(粘稠度が高いので数値も高くなりギ陽性とのこと)でした」
⇒質問者には申し訳ありませんが…
どうでもいい検査です。
「分泌液CEAが低値」でも癌はあるし、「逆も真なり」です。
「最近は分泌量が増えたのか朝起きると、直径2センチくらいな量が滲むようになりました」
⇒当然、冒頭でコメントしたように①乳管造影をしなくてはなりません。
「○このまま経過観察してもいいものなのでしょうか。」
⇒上記コメント通りです。
私は賛成しません。
「○それとも、何か他に検査など行った方がいいのでしょうか。」
⇒乳管造影すべきです。
その可能性さえ、(担当医から)お話されていないとしたら大変悲しい事です。
「○もしくは、今は見つからないほどの小さな癌だけれど、半年後にわかるようになるということでしょうか。」
⇒経過観察とは「その可能性を考えた」上でのことです。
癌の可能性が無いのに「経過観察」はナンセンスです。
「○また、ついつい確認のために、乳頭をつまんでしまいますが、それは控えた方がよいでしょうか。」
⇒(絞らなくても)下着につくようであれば、その必要はないでしょう。
☆「単孔性乳頭分泌」は「血性であれ、非血性であれ」乳管内病変の可能性を示唆しています。
乳癌も最初は「乳管内に発生(乳管内病変)」するので、そのサインかもしれないのです。
質問者様から 【質問2】
田澤先生、ご回答ありがとうございます。
田澤先生のご指摘の通り、主治医からは、乳管造影等の説明はなく、こ
のHPではじめて知りました。
また、10日ほど前に細胞診の結果を聞き
に行った際に、まだ分泌がある旨を伝えると、主治医からは「でしょう
ね」の言葉のみ…。
正直、頭が??で、その場ではそれ以上聞けません
でした。
後になって、もっと確認しておくべきだったと反省していま
す。
自分で調べて見ると、乳頭からの血性分泌物という症状で、「マンモ異
常なし&エコー乳管拡張あり&細胞診良性」の場合、経過観察が適切との
ことも多く、それならこのままでとも考えましたが、どうしても違和感
があり、前回質問させていただきました。
通院中の医院では、乳管造影できないこともあり、検査可能な病院を紹
介してもらおうと思っています。
そこで、田澤先生にお聞きしたいことがあります。
お忙しいとは思いま
すが、ご回答よろしくお願いします。
1.乳管造影をして、「乳管内病変であることを確認」できなかった場
合、次はどのようになりますか。
もしくは、何かしらの診断が出るもの
なのでしょうか。
2.乳管造影→乳管(腺葉)区域切除→組織診断は、それぞれどのくらい
の時間を要するのでしょうか。
仕事には、すぐに復帰できるものです
か。
3.MRIが副作用も少ないという記述が見受けられた記事などもあったの
ですが、乳管造影はMRIと比べ、どのような点が有用なのでしょうか。
4.実は3年ほど前にも、現在とは反対側から血性分泌物がありました。
す
ぐに症状は治まったこととマンモ・エコー・細胞診では異常なかったた
め、そのあとのフォローはしていませんでした。
現在は、分泌物はな
く、マンモ・エコーでも異常は指摘されませんでした。
このことは、紹
介された病院で伝えた方がいいでしょうか。
長々となってしまいましたが、ご回答よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「乳頭からの血性分泌物という症状で、「マンモ異常なし&エコー乳管拡張あり
&細胞診良性」の場合、経過観察が適切とのことも多く」
⇒とんでもない話です。(全く問題外です)
それは「乳管造影をしない(できない、見た事もない)医師」のための記載内容です。
○本当の早期発見を考えるならば「せっかくの手掛かりを不意にして、数年後?に立派な癌として発見されるリスクは避けるべき」と私は思っています。
「1.乳管造影をして、「乳管内病変であることを確認」できなかった場合、次はどのようになりますか。」
⇒それは「乳管が正常」ということですね。
それは「乳管内病変無し=機能的分泌=心配なし」となります。
「もしくは、何かしらの診断が出るものなのでしょうか。」
⇒その場合は「機能的分泌」となります。
「2.乳管造影→乳管(腺葉)区域切除→組織診断は、それぞれどのくらいの時間を要するのでしょうか。」
⇒乳管造影は外来で「数分」でできます。(造影剤を入れた後に、マンモ撮影もありますが)
乳管腺葉区域切除は(当院では)前日入院翌日退院の2泊3日です。
「仕事には、すぐに復帰できるものですか。」
⇒仕事は退院当日でも何ら問題ありません。
「3.MRIが副作用も少ないという記述が見受けられた記事などもあったのですが、乳管造影はMRIと比べ、どのような点が有用なのでしょうか。」
⇒MRIでは「小さな乳管内病変の検出など不可能」です。
「MRIで解るものは超音波でも解る」と考えてください。
『MRIでも超音波でも解らない程の(小さい)所見を検出する検査が乳管造影』なのです。
○MRIで見えるようになるまで診断を保留する=「超音波で検出されるまで待つ」ということです。
「このことは、紹介された病院で伝えた方がいいでしょうか。」
⇒そう思います。
○要は、ご本人が「どの程度、早期発見に拘るか?」です。
「超音波で見えるようになるまでは(診断ができなくても)仕方が無い」というのであれば、そのままでもいいのです。