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乳腺腫瘤、乳腺嚢胞 経過観察について

[管理番号:922]
性別:女性
年齢:43歳
6月に健康診断で乳房エコーをしました。
結果が『左乳腺腫瘤』『左乳腺嚢胞』で、半年後経過観察になっていました。
あまり深く考えず、半年後に診察を受ければいいやと放置していましたが、最近左胸に違和感があったりチクチクしたり、背中肩甲骨にまで痛みがあります。
そして今日お風呂に入っていた時何気なく乳首をつまんだら、黄色い透明な分泌物が滲みました。
近所の乳腺外科に予約をしましたが、これは乳がんの恐れはありますか?
また、なぜ半年後の経過観察になっていたのか気になります。
嚢胞や腫瘤で分泌物がある事はありますか?
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 検診で「乳腺腫瘤」「乳腺嚢胞」ですね。
 乳頭分泌にかんしては「単孔性」なのか「多孔性」なのかがカギとなります。

回答

「何気なく乳首をつまんだら、黄色い透明な分泌物が滲みました」
⇒これが「単孔性なのか?」に注意してください。
 もしも「単孔性」であれば、「乳管内病変」の可能性があります。
 (乳管内乳頭腫のような)「乳管内病変」があると、「腫瘍からの分泌が、その乳管から出る」のです=これを「単孔性分泌」といいます。
 ♯多孔性であれば、「気にする必要は全くありません」
 
「これは乳がんの恐れはありますか?」
⇒乳頭分泌が「仮に単孔性だとしても」その可能性が高い訳ではありません。
 「単孔性の乳頭分泌を伴う病変の代表格」は乳管内乳頭腫です。
 これは良性病変です。ただ、周囲に小さな癌「非浸潤癌」を伴うこともあるので注意が必要なのです。
 
「なぜ半年後の経過観察になっていたのか気になります」
⇒それは(基本的に良性と判断しているとしても)完全には「悪性の可能性を除外できない」との判断だからです。
 もし、「基本的に良性と判断できない」場合には「必ず、要精査」となる筈です。
 ○その意味で、「癌の可能性は(無くはないが)少ない」と解釈できるのです。
 
「嚢胞や腫瘤で分泌物がある事はありますか?」
⇒嚢胞は無関係です。
 腫瘤の中でも、乳管内乳頭腫や「非浸潤癌」など「乳管内病変」では「分泌を伴い」ます。
 ♯但し、その場合は「単孔性分泌」なのです。
 
○「近所の乳腺外科を受診」した際には、是非「単孔性分泌なのか?」分泌についても聞いてみてください。
 
 

 

質問者様から 【質問2 乳腺腫瘤、乳腺嚢胞 経過観察について】

早速のお返事ありがとうございます。
確認してみましたが、恐らく単孔性だと思います。
ちなみに右胸からは白い分泌物があるのにも先ほど気付きました。
前回は書きませんでしたが、べつのがんの治療で昨年まで抗がん剤治療をしていました。
その影響で生理が止まったままとなり、恐らくすでに閉経しています。
閉経しても乳管内乳頭腫の可能性はありますか?
少し調べると、閉経前なら乳管内乳頭腫の可能性もありそうですが…
治療後今年の3月にpet/ctを受けていますが、その際には特に問題なかったのですが、pet/ctに映らなかったり、その後に乳がんが発生している可能性もありますか?
お忙しい中何度も申し訳ありません。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 検診で「乳腺腫瘤」とあり、「単孔性の乳頭分泌」もありますね。

回答

「閉経しても乳管内乳頭腫の可能性はありますか?」
⇒あります。
 いくら「閉経前に多い」とはいっても質問者は43歳なのです。「化学療法閉経となったとしても」可能性はあります。
 「乳腺腫瘤」と「単孔性乳頭分泌」をむすびつければ、「乳管内乳頭腫」の可能性があります。
 
「今年の3月にpet/ctを受けていますが、その際には特に問題なかったのですが、pet/ctに映らなかったり、その後に乳がんが発生している可能性もありますか?」
⇒PETで全ての乳癌が「描出される」訳ではありませんが…
 ただし、今回の「乳腺腫瘤」は、その際から存在していたと想像されるので「参考には」なります。
 乳癌の可能性は低いと思います。