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乳腺全摘出後の断端陽性と追加治療

[管理番号:8593]
性別:女性
年齢:52歳
病名:原発浸潤性乳管癌及び乳頭腺管癌
症状:
投稿日:2020年6月1日

●状況
  乳頭及び乳輪は切除、皮膚温存乳房全摘出手術を完了。

  センチネルリンパ生検によりリンパ転移陰性を確認済み。

  HER2陽性タイプの為、術後治療として分子標的薬を含む化学療法を予定。

  全摘出の為、放射線治療の予定なし。

●術後病理診断レポート(抜粋)
  免疫組織化学染色
   ER及びPgR:nagative
   HER2 cep17 ratio:9.41
      average/cell:15.53
      FISH distribution:Group I
   MIB-1:30%
  切除部位及び大きさ等
   A,B,C,E
   縦10.0cm x 横10.5cm x 高2.5cm
   広範なコメド壊死及び石灰化を伴う浸潤有
   一部でMicropapillary pattern を呈する
  浸潤径
   1.0cm x 1.0cm x 1.0cm(最大径)
  乳管内進展巣を含めた径
   7.0cm x 5.5cm x 2.0cm
  組織学的波及度:g,f(乳頭伸展+:in situ)
  脈管侵襲:リンパ ly0 血管 v0
  乳管内進展:+ EIC:+ Comedo component:+
  水平切除断端:cut surface陽性 5mm以内陽性 頭側
  水平断端   :in situ 5mm 断端からの距離:0mm
  体表側断端:陰性
  下床断端:陰性
  組織学的異型度:Grade 1(score:5)
     TF 2点(10% to 75%)/ NA 2点 / MS 1点
  センチネルリンパ節(0/1)

質問
  術後病理診断に記載のある『水平切除断端陽性』につき以下を気にしております。

   ・全摘出後であっても追加切除は局所再発防止に必要(優位性がある)なのか
   ・放射線治療の必要性はないのか
  術後の化学療法で所謂『取り残した癌』も叩けるのではと考えておりましたが、
断端陽性の場合、局所再発率が陰性の2倍となるといった報告を目にする事が多く懸案となっております。

  ご教示いただけると幸いです。

  以上宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「・全摘出後であっても追加切除は局所再発防止に必要(優位性がある)なのか」
⇒通常、全摘で断端陽性となることはありません。
 執刀医と相談しましょう。

「・放射線治療の必要性はないのか」
⇒無意味。
 もしも(執刀医的に)不安なら再切除でしょう。