[管理番号:2250]
性別:女性
年齢:40歳
初めまして。
先日、乳がん検診に行きました。
母が乳がんになっているので、毎年行っているのですが、今回は1年半ま空いての検診でした。
マンモグラフィーとエコーをしたのですが、エコーで引っかかりました。
診察室に入ると
『ホルモンのバランスが乱れてますね、乳腺が腫れています』と言われ、右胸の下の方が硬くなっていました。
私も触りましたが、私でもはっきり硬いのがわかりました。
先生は『たぶん、大丈夫だと思うけど、完全に大丈夫!と言いきれない
前回にはない所見なので、MRIと生針検をしましょう。』と言われました。
エコーには確かに、黒いブラックホームのような丸いのが写っていました。
先生がたぶん大丈夫とは思う!と言った言葉は信用できるのでしょううか?
聞いた話では、エコーの時点で、だいたいの予想はつくと聞いた事があるのですが。
友達は乳管に影が写って、再検査の時にMRIはなかったときいてます。
それで、良性でした。
私はMRIがあるのですが、がんの可能性がたかいのでしょうか。
ちなみに、11月に違う病院で人間ドックの触診の検査の時は何も言われませんでした。
毎年、乳ガン検診を受けていると伝えたので、あえて言われなかったのでしょうか。
私が触ってもわかるくらいなので、もしあったら、分かるはずなのですが。
あと、エコーでパッと見た感じなのですが、かなり大きかったようですが、実際の大きさも大きいのでしょうか。
再検査まで時間があり、不安なため、質問ばかりになり申し訳ございませんが、教えていただけたらありがたいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「『ホルモンのバランスが乱れてますね、乳腺が腫れています』「私でもはっきり硬いのがわかりました。」『たぶん、大丈夫だと思うけど、完全に大丈夫!と言いきれない前回にはない所見なので、MRIと生針検をしましょう。』」
⇒「乳腺が部分的に硬い=局所的な乳腺症(線維化が強いタイプ)」と思います。
「先生がたぶん大丈夫とは思う!と言った言葉は信用できるのでしょうか?」
⇒「乳腺の局所的な線維化=癌では無いだろう」と考えているようです。
「聞いた話では、エコーの時点で、だいたいの予想はつくと聞いた事があるのですが。」
⇒「乳腺の線維化」と「大体の予想はついている」と思います。
「私はMRIがあるのですが、がんの可能性がたかいのでしょうか。」
⇒違うようです。
私は「診断にMRIを用いる」ことには反対の立場ですが…
単に担当医は「MRIを多用する」タイプの医師なのだと思います。
「11月に違う病院で人間ドックの触診の検査の時は何も言われませんでした。毎年、乳ガン検診を受けていると伝えたので、あえて言われなかったのでしょうか。」
⇒「乳腺の硬さ」は「明らかにしこりとしての境界を持たない」限りは「硬いけど、乳腺症だな」で終わってしまいます。
今回も(エコーでチェックされなければ)触診のみでは「乳腺症の硬さ」で終わってしまっている可能性も十分にあります。(例えばマンモ+触診だけならば)
「あと、エコーでパッと見た感じなのですが、かなり大きかったようですが、実際の大きさも大きいのでしょうか。」
⇒私が(メール内容から想像しているものは)「境界を持ったしこり」ではないと思います。
質問者様から 【質問2】
前回、乳腺が張っている で相談をさせてもらったものです。
針生検の結果、まさかの悪性でした。
私も8割くらいは大丈夫だろうと
思ってた中での悪性との結果で、動揺をしてます。
でも、現実を受け止め、しっかりしなきゃと思い、また相談をさせて下さい。
この前の針生検で分かった事は、14ミリの悪性の浸潤がん
ER+、PgR+、HER2-、でした。
転移は今からの検査予定です。
先生からは、初期のガンで比較的穏やかなガンだとおもいます。
と言われました。
初期のガンでもりんぱの転移や、他に転移する場合があるのですか?
ステージと早期とは意味が違うのですか?
今、頭が整理できてないので、私のガンの可能性が知りたくてメールをしました。
早期でもステージが高いと根治は難しくなるのですか?
あと、抗ガン剤はどんな時に使うのでしょうか。
私は他に転移がなければ、比較的に完治できるのでしょうか?
それともステージによっては、抗ガン剤を使用したり、根治は難しくなってくるのでしょうか。
突然の事に頭が整理できません。
アドバイスをお願いします。
もし、リンパに転移した場合はやはり、リンパも取り、全摘でしょうか。
乳がんにおいて、全摘をする方が心配がないのでしょうか。
もちろん、温存でも予後が同じなのは分かりますが、田澤先生の適する、適さないで言うと、どの様な感じでしょうか。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
担当医が「たぶん、大丈夫だと思うけど」と、言っていた筈ですが、癌だったのですね。
お気持ち、お察しします。
「この前の針生検で分かった事は、14ミリの悪性の浸潤がん」
⇒14mmであれば「腫瘍径は十分小さく」早期乳癌と思います。
「ER+、PgR+、HER2-、でした。」
⇒「luminal type」といい、「ホルモン療法が効き易い」大人しいタイプと言えます。
「初期のガンでもりんぱの転移や、他に転移する場合があるのですか?」
⇒「リンパ節転移」については「14mmでは大丈夫」だとは思いますが、エコーで確認が必要です。
「他臓器転移」はありません。
「ステージと早期とは意味が違うのですか?」
⇒早期乳癌とは、一般的に「ステージ1」を言います。
「早期でもステージが高いと根治は難しくなるのですか?」
⇒「早期はステージ1を言う」ので、「早期でもステージが高い」という表現そのものが誤りです。
「あと、抗ガン剤はどんな時に使うのでしょうか。」
⇒これは「ステージ」というよりも「性質=サブタイプ」によって決まります。
◎サブタイプとは?
組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に
増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高
値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常
の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行
う
● トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と
分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
質問者は、上記のうち「luminal type」に相当するので、luminalBでない限り抗がん剤の適応はありません(Ki67は手術標本で計測することが多いです)
「私は他に転移がなければ、比較的に完治できるのでしょうか?」
⇒「腫瘍径=14mm」だから「根治」の可能性が高いと思います。
「それともステージによっては、抗ガン剤を使用」
⇒「抗がん剤の使用」は「ステージとは無関係」に「サブタイプに応じて」決まります。
「ステージによっては、根治は難しくなってくるのでしょうか。」
⇒ステージが上がれば再発率が高くはなってきます。
「もし、リンパに転移した場合はやはり、リンパも取り」
⇒術中に「センチネルリンパ節生検」を行い、「転移を認めた場合にはリンパ節郭清」を行います。
「もし、リンパに転移した場合は、全摘でしょうか。」
⇒関係ありません。
「乳房温存とするか乳房全摘とするかは、(リンパ節転移の有無とは無関係に)腫瘍の拡がりによってきめる」のです。
完全に「分けて考える」のです。
「乳がんにおいて、全摘をする方が心配がないのでしょうか。」「もちろん、温存でも予後が同じなのは分かります」
⇒色々な因子を「ごちゃ混ぜにする」のは止めましょう。
①「リンパ節転移がどうなのか?」
②「乳腺を部分切除するのか、全摘するのか?」
③「術後の治療として抗がん剤が必要なのか?」
これらは、全く「独立した」ものであり、関連付ける必要はありません。
①は「センチネルリンパ節生検」を術中に行い、その結果に応じて決まるものであり(それとは全く無関係に)②は「腫瘍の拡がり診断で決めるべきもの」であり、(それらとは全く無関係に)③は「サブタイプにより自ずと決まるもの」なのです。
質問者様から 【質問3】
先生、返信ありがとうございました。
お陰で、少しずつではありますが、頭を整理できています。
先生からの色んな因子を分けて考える!との事、理解できました。
そこでまた、不安があり相談させていただきたいです。
私の場合、増殖指数が高い場合に抗がん剤が使用になるとの事ですが、この数値はどの段階で分かるのでしょうか?手術をした後の病理の結果ですか?それとも、針生検で分かっているものなのでしょうか?
それと、抗がん剤の種類についてですが、素人考えで、抗がん剤と言うと、点滴する→激しい脱力、激しい嘔吐、脱毛のイメージがあります。
とてもじゃないけど、日常生活が送れない。
ドラマなどの影響かも知れませんが。
私にはまだ手のかかる、小さい子供が2人います。
抗がん剤には経口などの種類もあるのでしょうか?あれば、どのくらい服用をして、
私が抗がん剤を使用する場合はどんな可能性があるでしょうか。
少しずつではありますが、頭を整理しながら不安が和らぐ事もあれば、
また新たな不安があり、知識もないので先生に相談しました。
もちろん、再発防止、長生きの為にはどんな治療も頑張ろうとは思いますが、、
なかなか気持ちがプラスに向かずに、不安な毎日です。
また、腫瘍経が14ミリではありますが、浸潤経は手術しないとわからないのですよね。。。
それもどれほどなのか、不安になります。
今、私を支えているのは、とりあえず早期だから、根治する可能性が高い!
と信じる事だけです。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「私の場合、増殖指数が高い場合に抗がん剤が使用になるとの事ですが、この数値はどの段階で分かるのでしょうか?手術をした後の病理の結果ですか?それとも、針生検で分かっているものなのでしょうか?」
⇒Ki67のことですね。
「針生検の組織でオーダーする」こともあれば、「手術標本でオーダーする」こともあります。
私は「病変全体での評価」としていますが、「針生検で調べている施設」もあり、様々です。(本来は「手術標本で調べるべき」と思いますが…)
「とてもじゃないけど、日常生活が送れない。ドラマなどの影響かも知れませんが。」
⇒ドラマの影響のようです。
実際には「仕事をしながら」抗がん剤をしている方は沢山います。
「抗がん剤には経口などの種類もあるのでしょうか?あれば、どのくらい服用をして、私が抗がん剤を使用する場合はどんな可能性があるでしょうか。」
⇒経口抗がん剤はありますが、「標準治療」ではありません。
使用する(可能性のある)抗癌剤の種類は「サブタイプが不明」なのでわかりません。(ただ点滴となります)
「また、腫瘍経が14ミリではありますが、浸潤経は手術しないとわからないのですよね。」
⇒その通りです。
「思ったよりも大きい」こともあれば「小さい」こともあるのです。