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非浸潤性乳管癌と言われました

[管理番号:4498]
性別:女性
年齢:40歳
先日、乳がんと分かり、大変動揺しています。
今の状況、今後起こること、主治医に確認すべき事、手術について、田澤先生にお伺いしたくご質問させて下さい。
針生検の結果、非浸潤性入管癌(ER陽性、PgR陽性)が出ました。
今後の治療方針は、来週CTを撮ってから家族を呼んで決めるということです。
田澤先生のコラムを拝見しました。
それでもCTを撮るという主治医は、何か引っかかるところがあり、確認したい事でもあるのか?と心配です。
「針生検をした部分は非浸潤だったけれど、細胞をとっていない部分に浸潤がある事もあるので、転移の有無を確認する」と言う事です。
①針生検をした部位以外が浸潤していて、もう既に肺や肝臓などに転移していると言うことは、ある事なのでしょうか?
(針生検は4回バチンと採っていました。)
「非浸潤ならステージ0ですが、もし転移があればステージ4になるので。」と言われ、0と4!?あまりの落差に驚きました。
②転移が見つかる様な症状では無かったとして、浸潤している可能性は高いのでしょうか?
その場合、治療は大変になるのでしょうか?
③先日の針生検から、追加の細胞検査が入ったようです。
(追加の請求書が来ました)
この追加の検査から、どの様な事が分かるのでしょうか?
グレードは、まだ聞いていません。
④CTの結果を受けて、どの様な手術、治療が考えられるでしょうか?
⑤出来れば春休み中に手術をしたい。
と聞いてみたのですが、「早くても5月上旬」と言われました。
そんなに期間があいて大丈夫なのでしょうか?
⑥まだ子どもが小さいため、とにかく成長をしっかり見届けるまで生きる!が第一目標です。
温存したいなどのこだわりはありません。
もし、温存可能です、と言われたとしても全摘を希望した方が良いでしょうか?
また、自らの意思で全摘したとしてのデメリットはありますか?
⑦術後の社会復帰(車の運転や家事も含めて)、には時間がかかるものでしょうか?
長く質問してしまいすみません。
自分自信の不安と同時に、子どもの為にもしっかり治さなければ、という気持ちです。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「今後の治療方針は、来週CTを撮って」
⇒非浸潤癌という診断なのに「CTを撮影」することは厳に慎むべきです。
「それでもCTを撮るという主治医は、何か引っかかるところがあり、確認したい事でもあるのか?と心配」
⇒違います。
 たんに、「乳癌なら術前に全員にCTを撮影する」というルーティーンでしょう。
「針生検をした部分は非浸潤だったけれど、細胞をとっていない部分に浸潤がある事もあるので、転移の有無を確認する」
⇒勿論、理屈はそうですが…
 そもそも「乳癌は浸潤癌でも、初期治療の段階では遠隔転移は殆ど無いのでルーティーンにする必要が無い(余程、腫瘍が皮膚を破っているとか、腋窩リンパ節が容易にゴロゴロ触れるなどの特定の場合之身に絞るべきです)」というのが(私の)実感です。
 それを(針生検での仮診断とはいえ)「非浸潤癌でCTを撮影するというのは、控えるべき」です。
「①針生検をした部位以外が浸潤していて、もう既に肺や肝臓などに転移していると言うことは、ある事なのでしょうか?」
⇒絶対にありません。
 そんな「極々低率の話をしていたら」(大げさに言うと)「線維腺腫でもCTを撮る」という話になってしまいます。
「非浸潤ならステージ0ですが、もし転移があればステージ4になるので」
⇒こういう「馬鹿なこと」を言う医師のコメントは無視しましょう。
 ♯何でもかんでも「0.001%の可能性も50%の可能性との区別がつかない」
ようなセンスでは、患者さんに「無駄な不安」を与えるだけで大変な問題です。
「転移が見つかる様な症状では無かったとして、浸潤している可能性は高いのでしょうか?」
⇒文章だけで予測する事は無理ですが…
 「微小浸潤」などは病変全体でないと解りません。
「その場合、治療は大変になるのでしょうか?」
⇒早期であることは間違いないでしょう。
 ただし、術後の治療は「サブタイプに応じたもの」となるので「早期だから楽」とは限りません。
「③先日の針生検から、追加の細胞検査が入った」「この追加の検査から、どの様な事が分かるのでしょうか?」
⇒この情報からだけでは解りません。
「④CTの結果を受けて、どの様な手術、治療が考えられるでしょうか?」
⇒CTは無関係ですが…
 拡がり診断で「部分切除か、全摘か」という選択です。
「そんなに期間があいて大丈夫なのでしょうか?」
⇒病状からは大丈夫だと思います。
「もし、温存可能です、と言われたとしても全摘を希望した方が良いでしょうか?」
⇒それは「ご本人の価値観」です。
 見た目に拘らないのであれば、「全摘にデメリット」はありません。
「また、自らの意思で全摘したとしてのデメリットはありますか?」
⇒乳房を失う意外はありません。
「⑦術後の社会復帰(車の運転や家事も含めて)、には時間がかかるものでしょうか?」
⇒全くかかりません。
 退院当日でも可能です。(本来、退院とは「自宅療養」ではなく、「何をしても制限が無い状態」ということです)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はご返答頂き、ありがとうございました。
田澤先生のおかげで、治療方針の決定まで落ち着いて待つことが出来ました。
前回までの検査では、針生検(4回採取)の結果DCIS(Er+、PgR+)と言われていました。
今回、CTやMRIの結果、範囲が広く、乳頭付近まであるので、右乳房切除となりました。
手術説明の際、担当医は「全摘出」という言い方はせず、説明のたびに「乳房切除」とおっしゃるのですが、医学的に何か意味合いが違うのでしょうか?ただ「全摘」という言い方は通称なので、正式な説明では「切除」とおっしゃったのでしょうか?
リンパについては、センチネルリンパ生検を手術時に行います。
リンパの転移について、担当医に伺ったところ、「CTを見る限り、右側のリンパに腫れが見えるけど、左にも大きさは小さいけれど同じようにある。
右側の腫れは針生検した後の反応が出ているのではないか。」という事で、「積極的にリンパへの転移を疑う要因が無いので、センチネルリンパ生検をするのですよ」という事でした。
針生検でDCISが出ている場合、リンパの転移まで心配する程では無いのでしょうか?
あと気になる点は、「しこりは出来ていないが、範囲が広い」という点です。
範囲が広いということは、それだけ浸潤部が見つかる可能性も高いということでしょうか?
また2cm未満はステージ1という事ですが、DCISから2cm以上浸潤部がある事もあるのでしょうか?
浸潤部が会った場合のその後の治療方針についてですが、微小浸潤でも治療が必要な場合は、サブタイプにもよると思いますが、どの様なパターンが考えられますか?
また浸潤径何ミリまでが無治療、何ミリ以上が要抗がん剤治療、など大きさの目安はありますか?
また、私の父方の祖母が乳がんをしています。
(私が物心ついた時から、祖母の片方乳房はありませんでしたが、90直前まで長生きし、最後は老衰で亡くなるまで元気でした。)
遺伝性の乳がんを疑われますか?
色々な情報が溢れる中ですが、ネットの記事で、遺伝性乳がんの場合、
ホルモン受容体陰性やトリプルネガティヴである場合が多い。
というものがありましたが、事実そうなのでしょうか?
浸潤部が見つかった場合のサブタイプが心配です。
それと、私は8年前に卵巣膿腫ができ子宮内膜症の手術をしています。
そして、ここ数年、PMSがひどくなってきた事から、2年間低用量ピル(ルナベル→フリウェル)を飲み続けていました。
婦人科では血液検査、医師との問診はきちんと定期的に受けていましたが、結局、1年半(乳腺外科を受診した今年1月まで)は生理が止まった状態でした。
生理が止まってから常に乳房の張りや痛みを感じていた為、乳腺外科受診をきっかけに、自発的に薬をやめました。
(やめた後は、生理もすぐに戻り、生理痛もなくPMSとは無縁で3カ月過ごしています。)
2年に渡りピルを飲んでいた事も、今回の癌に関係するのでしょうか?
また、今までの私の体質から、ホルモンの関係?というのでしょうか。
乳がんや卵巣がんなど、起こしやすい体質という事は考えられますか?
手術は5月の上旬に決まりました。
間がだいぶ開くのも、心配ではありますが、前回の質問で田澤先生から「病状からは大丈夫だと思います。」と返答頂いたので、落ち着いて手術を待ちたいと思っていますが、待ち時間が長いと、不安や疑問が次々出てきてしまいます。
質問が長く、多岐に渡ってしまい、申し訳ありません。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「手術説明の際、担当医は「全摘出」という言い方はせず、説明のたびに「乳房切除」とおっしゃるのですが、医学的に何か意味合いが違うのでしょうか?ただ「全摘」という言い方は通称なので、正式な説明では「切除」とおっしゃったのでしょうか?」
⇒まさに「その通り」です。
 所謂「全摘」とは、正式名称では「乳房切除術」となり、「部分切除」は「乳房温存術」と言います。

「針生検でDCISが出ている場合、リンパの転移まで心配する程では無いのでしょうか?」

⇒その通りです。
 私の経験では(結果的に、手術標本で浸潤癌が見つかった人でも)術前診断で非浸潤癌だった人で「リンパ節転移陽性の人はいない」のが現状です。(私の記憶のかぎり)
「範囲が広いということは、それだけ浸潤部が見つかる可能性も高いということでしょうか?」
⇒「小さいよりは…」程度です。
「また2cm未満はステージ1という事ですが、DCISから2cm以上浸潤部がある事もあるのでしょうか?」
⇒それは殆どありません。
 再三コメントしていますが…
 「0.0001%と50%を同一に語る」ことは、全く無意味なのです。
「サブタイプにもよると思いますが、どの様なパターンが考えられますか?
また浸潤径何ミリまでが無治療、何ミリ以上が要抗がん剤治療、など大きさの目安はありますか?」

⇒浸潤癌でルミナールタイプの場合(私なら)
 1.微小浸潤なら無治療
 2.pT1aなら無治療を勧める(積極的に治療を希望する方は、其の意思を尊重します)
 3.pT1b以上なら基本的にホルモン療法
 抗癌剤は、pT1b以上で「トリプルネガティブ」「ルミナールB]「HER2陽性」で適応となります。
「遺伝性の乳がんを疑われますか?」
⇒違うと思います。
 そもそも「非浸潤癌で遺伝性乳癌を意識」する必要は全くありません。
「遺伝性乳がんの場合、ホルモン受容体陰性やトリプルネガティヴである場合が多い。」
⇒その通りです。
「浸潤部が見つかった場合のサブタイプが心配です。」
⇒考え過ぎです。
 例えれば、「転ぶ前から、転んだ後の治療を想像する」ようなものです。
「がんや卵巣がんなど、起こしやすい体質という事は考えられますか?」
⇒無関係です。