Site Overlay

細胞診で左乳管内乳頭腫の疑い

[管理番号:3438]
性別:女性
年齢:45歳
45歳。
出産経験なし。
5月(中旬)日、乳がん検診を受けました。
要精密検査の連絡があり
6月(中旬)日、エコーと細胞診をしました。
結果、6ミリのしこりが乳頭奥に見つかりましたが、はっきりした楕円なので良性だと思うと医師には言われました。
3か月の経過観察か、はっきりさせたいなら細胞診をしましょうと言われ、細胞診を選択。
細胞を取った後
もやはり「細胞が水っぽい」ので良性だと思いますと言われました。
7月(下旬)日、結果を聞きに行きました。
以下が細胞診の報告です(一部不明箇所があります)。
「左乳管内乳頭腫の疑い」
クラス3(1、2、3a、3、3b、4、5)
円柱状上皮細胞+  好中球+  赤血球+
乳頭状増殖を示す乳管上皮細胞集塊をみとめます。
●柱(?)間質細胞をみとめますが、2相性は不明瞭。
intraductal papiloma(?)を疑いますが、生検での確認。
クリニックの医師は
「ここでは出来ないので、他の病院で針生検をしてもらってください」と言いました。
どこの病院でもいいと話されました。
8月(上旬)日、針生検とマンモトームができる健診センターへ行きました。
(乳腺外科の一般診療もしているところです)
紹介状などを見た医師は
「ここではできない。MRIがあるような大学病院などへ行ったほうがいい」
「小さな病変なので、取ったら場所がわからなくなるし良いか悪いか調べられない」
「クラス3だけど、悪い方なので針生検ではなくマンモトームになる」と言われ、話しだけされ紹介状を返されました。
質問です。
1.田澤先生は細胞診の結果をどう思われましたか。
2.2相性が不明瞭とはどういう意味ですか。
3.しこりの位置が胸筋(?)に近く、しかもしこりが小さい場合、マンモトーム
(または針生検)はうまくできるのでしょうか。
(胸の付け根というか、マンモグラフィ画像の端ギリギリに映っていました)
4.健診センター医師はマンモトームの前にMRIと言いましたが、「がん」と診断されてから撮影するものではないのでしょうか。
医師に詳しく聞きたかったのですが「検査内容は病院が決めること。
自由診療ではないのであなたが検査をリクエストできない」と言われ、それ以上なにも言えませんでした。
5.急を要するものでしょうか。
乳管内乳頭腫はがんとの区別が難しいと本で読みました。
今のところ、乳頭からの色の付いた分泌物はないです。
早く生検をしたいのですが、通いやすい場所にある大学病院は混んでいるらしく初診は1か月後です。
すでに細胞診から2か月近く経過しており、その上こんなに待って大丈夫なのでしょうか。
お忙しいとは思いますが、先生のご意見をお聞きしたく思います。
よろしくお願いします。
長々と書いてしまい読みにくいと思います。
申し訳ありません。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
正直な感想としては、そのクリニックも(針生検もマンモトーム生検もできる筈の)
検診センターも、その位の組織診ができないようでは「看板倒れ」と非難されても仕方がないでしょう(たらい回しにされている質問者が実に不憫です)
其の程度の診断ができないようでは存在意義を疑います。
そもそも「MRIが撮れる」必要など全くありません。
診断だけなら「針生検でもマンモトームでも、全く問題無」です。
瘢痕が残るから、「取ったら場所がわからなくなるし良いか悪いか調べられない」というコメントも全く賛成できません。
「1.田澤先生は細胞診の結果をどう思われましたか。」
⇒良くある所見です。
 「クラス3だけど、悪い方なので」という医師のコメントからは「クラス3b」ということでしょうか?
 確率的には高くはないですが、乳癌の可能性もあります。
 所謂「鑑別困難」であり、私であれば「組織診(この場合マンモトーム)」します。 
「2.2相性が不明瞭とはどういう意味ですか。」
⇒正常な「乳腺組織」では「乳管上皮は必ず筋上皮細胞を伴う(これを2相性といいます)」
 これに対して、「癌は、(筋上皮は伴わずに)乳管上皮のみの増殖(これを2相性の消失といいます)」
 ○2相性が不明瞭ということは「癌を疑う所見」なのです。
  ただし、細胞診のように「細胞を少量しか採取していない」と、『たまたま採取した細胞に筋上皮細胞の付随が、(本当はあるのに)たまたま見えにくいだけ』という可能性があるのです。
  だから、組織診で評価が推奨されるのです。
「3.しこりの位置が胸筋(?)に近く、しかもしこりが小さい場合、マンモトーム(または針生検)はうまくできるのでしょうか。」
⇒全く問題ありません。
 ただし、(自分で超音波をしないような、大学病院の医師が)上手くできるかどうかは(私には)保証できません。
「4.健診センター医師はマンモトームの前にMRIと言いましたが、「がん」と診断されてから撮影するものではないのでしょうか。」
⇒その通り、質問者の理解は極めて正しい。
 
「5.急を要するものでしょうか。」
⇒(たとえ、癌だとしても)「細胞診でクラス5が出ない程度」のものであり、しかも6mmであれば「急は全く要さない」ことはご理解ください。
「早く生検をしたいのですが、通いやすい場所にある大学病院は混んでいるらしく初診は1か月後です。すでに細胞診から2か月近く経過しており、その上こんなに待って大丈夫なのでしょうか。」
⇒時間的には「全く問題なし」ですが、私が心配なのは寧ろ「大学病院の医師に微妙な病変の診断ができるのか?」ということの方です。