[管理番号:4256]
性別:女性
年齢:55歳
田島 篤 先生
先生のご意見をいただけませんでしょうか。
私は乳がんを発症し、手術除去後、分子標的抗がん剤治療を受けましたが、再発しました。
素人判断では、標準的な治療を受けてきた様に思いますが、田澤先生も同じ様な治療を選択されましたでしょうか。
また、先生でしたら今後どのような治療を選択されか教えていただけませんでしょうか。
以下にこれまでの経過を書きましたが、受診時のメモやネットで得た情報に基づいていますので、不正確な表現もあるかと思いますがご容赦下さい。
これまでの経過
2014年1月 右胸のしこりに気づいた
中規模総合病院(婦人科)を受診
CT, MRI,骨シンチ検査で 乳がんと診断 画像診断では
転移なし
2月 手術 右胸 全摘出 部分切除の可能性もあったが乳頭近くに腫瘍が広がっていたので全摘との説明 腫瘍径 22 x 18 mm
センチネル節生検では陰性だったのでリンパ節切除はなし
切除組織の病理検査結果
HER2タンパク 2+
エストロゲンレセプター (-)
プロゲステロンレセプター (-)
その後、手術を担当した主治医が体調を崩し、以降約1年間非常勤医師が治療担当医となった。
2014年4月
抗がん剤点滴開始
エンンドキサン、タキソテールを3週間に1回 x 4回
その後ハーセプチンを3週間に1回 x 11回
CT検査、骨シンチ、血液検査などの経過観察中には再発なし
2016年1月
新しい主治医が着任、病院組織が乳腺外科として再スタート
2016年3月
首の付け根リンパ節に5mm程度のシコリがあることに自分で気づいた。
PET検査(大学病院)で右腋下~鎖骨部、首リンパに複数個の再発ありとの説明。
もらったPET検査の画像をOsiriXというソフトで確認すると、6個ありました。
その一部を抽出したファイルでしたらメールで送ることが出来ます。
CT検査等他の検査画像は手元にはありません。
4月
ハーセプチン、パージェタ、タキソテールの治療開始
3週間に1回点滴
タキソテールは5回で中止 副作用で日常生活の継続が困難となってきたので
その間に腫瘍は増殖(素人でも触って確認できた)
8月
サイズが大きい首リンパ節の腫瘍(大豆程度の大きさ)を2個摘出
他にも腫瘍はあったが、切除できないとの判断だった。
病理検査結果
HER2タンパク 3+
エストロゲンレセプター (-)
プロゲステロンレセプター (-)
9月
ハーセプチン、パージェタ 3週間に1回投与の組み合わせに変更
その後3回目で中止 効果なしと判断
血清HER2タンパク検査 9.7 mg/mL
11月
カドサイラに変更 3週間に1回 3回投与済み
1月
残っていた首付け根付近の腫瘍は増殖を続け、現在は2センチ程度 目視で皮膚の盛り上がりが判る。
これまでのCT検査では、肺や肝臓などへの遠隔転移は無いとの判断だが、将来的に遠隔転移の可能性が高いと言われている。
現在の主治医は乳腺外科医で、日本外科学会、日本乳癌学会、日本がん治療認定医機構がん治療認定医
以上です。
よろしくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まず私が気になったのは
「HER2タンパク 2+」という表記ですが、その後「抗HER2療法を行っている」ようですが、きちんとFISHで確認しましたか?
「エンンドキサン、タキソテールを3週間に1回 x 4回その後ハーセプチンを3週間に1回 x 11回」
⇒TC+HERのようですが…
HERは「11回」とありますが、18回の間違いでは?(ハーセプチンは1年間投与なので17~18回となる筈です)
再発治療については指摘しなくてはならない点は複数あります。
1.ハーセプチンにこだわりすぎている。
最初の時点(ハーセプチン+パージェタ)で効果が無かったのに、次にカドサイラ
(これもHER2をターゲットとしています)にしている
おそらく、最も効果があるのはbevacizumab+paclitaxelでしょうし、(それが嫌なら)アンスラサイクリン系とすべきでしょう。
2.放射線照射を選択肢としていない
「腋窩~鎖骨下~鎖骨上~頚部?」リンパ節再発であれば、「化学療法と放射線治療のどちらを先にするか?」迷うところです。
リンパ節が小さいのであれば「放射線照射先行」⇒(おそらく)画像上消失⇒(メンテナンスとして)「bevacizumab+paclitaxel」が妥当だと思いますし、
現在「リンパ節が増大してしまった」のであれば、最初に
「bevacizumab+paclitaxel」を行い、(その後)「放射線照射」とします。