[管理番号:2659]
性別:女性
年齢:56歳
こんにちは。
いつも先生の真摯な回答を読ませて頂いています。
私は十二年前に右乳癌の温存手術を受け、リンパ節転移は無かったものの、細胞の顔つきが悪いという事で、EC療法四回、放射線、リュープリン+タスオミンのホルモン療法を受けました。
それから十二年目の昨年十月の定期検診の超音波検査で縦隔のリンパ節に1.3cmの転移が見つかりました。
その後のPET CTでもう一つか二つ縦隔の小さな転移がありそうだということで、今現在、タキソテール+ハーセプチン+パージェタ六回を終了しています。
今後は、ハーセプチン+パージェタにホルモン剤を服用するとのことです。
いずれはハーセプチン+ホルモン剤に減らして、何年続けるかは未定とのこと。
タキソテール+ハーセプチン+パージェタの点滴を五回終えた時、腫瘍マーカーを見たら、CA15-3の値が17.5(初発の基準値は9.5)に上がっていました。
再発が見つかって抗ガン剤を始める前は11.0でした。
十二年間ずっと8~9以内でした。
抗ガン剤を始めて約四ヶ月経ってからの腫瘍マーカーが今までになく上がっているということは、抗がん剤が効いていないということでしょうか?
来月半ばにPET CT を撮ることになっていますが、もし縦隔のリンパ節転移に抗ガン剤の効果が見られない場合、私は先生の病院でトモセラピーを受けたいと思っています。
主治医は他の病院で治療を受けることにいい顔をすることはないと思いますが、そのような場合、今の病院でハーセプチンを受けながら、田澤先生の病院でトモセラピーの治療だけを受ける事は出来るのでしょうか?(今の病院には普通のリニアックしかありません。)
今はタキソテールの副作用(?)なのでしょうか、胸が少し苦しく息切れします。
胸骨の辺りの肋骨も触ると痛みます。
やはりタキソテールが効かずに、かえって縦隔のリンパ節のガンが拡がっているのではと不安でなりません。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
術後12年での再発。お気持ち、お察しします。
「超音波検査で縦隔のリンパ節に1.3cmの転移」
⇒これは「誤り」ですよね?
超音波で「縦隔リンパ節」は見えません。
○超音波で見えるリンパ節は「腋窩」「鎖骨下」「鎖骨上」「胸骨傍」などです。
縦隔は「CTやPET」でないと見えません。
「その後のPET CTでもう一つか二つ縦隔の小さな転移がありそう」
⇒PETで他に「転移が無い」のであれば、「十分根治の可能性」があります。
「タキソテール+ハーセプチン+パージェタ」
⇒HER2陽性だったのですね。
12年前は「ハーセプチンは術後補助療法の適応が無かった」のが残念です。(抗HER2療法ができていれば再発しなかった可能性もあります)
因みに
2001 ハーセプチンの「再発治療」開始
2008 ハーセプチンの「術後補助療法」への適応拡大 となります。
「タキソテール+ハーセプチン+パージェタの点滴を五回終えた時、腫瘍マーカーを見たら、CA15-3の値が17.5(初発の基準値は9.5)に上がっていました。再発が見つかって抗ガン剤を始める前は11.0でした。」
⇒この値であれば、(私なら)全く問題にしません(経験からです)
「20未満で推移」するなら問題ありません。
「抗ガン剤を始めて約四ヶ月経ってからの腫瘍マーカーが今までになく上がっているということは、抗がん剤が効いていないということでしょうか?」
⇒上記通りです。
今回の「縦隔リンパ節が2~3個?」程度であれば、「腫瘍マーカーに影響していない」ようです(実際、有意な上昇とはなっていません)
「来月半ばにPET CT を撮ることになっていますが、もし縦隔のリンパ節転移に抗ガン剤の効果が見られない場合、私は先生の病院でトモセラピーを受けたいと思っています。」
⇒それも一つの選択肢です。
そもそも私であれば、「トモセラピーを先行」し、その後の「メンテナンス」として抗ガン剤を行う事にしたでしょう。
♯担当医は「抗ガン剤の効果をみるために、リンパ節(はそのままにして、その大きさの変化を効果判定に)利用する」ようなことを言っているかもしれませんが、それは「無意味」です。
「そのような場合、今の病院でハーセプチンを受けながら、田澤先生の病院でトモセラピーの治療だけを受ける事は出来るのでしょうか?」
⇒勿論可能です。
「放射線科へ直接」紹介してもらってください。
質問者様から 【質問2】
田澤先生 、いつも拝見させて頂いております。
昨年、乳ガンが十二年経って縦隔リンパ節に再発、の件で質問させて頂いた者です。
2015年11月からタキソテール 、パージェタ、ハーセプチンを6回。
パージェタ、ハーセプチンを3ヶ月した後、現在ハーセプチンの単独投与を4週に一回、アリミデックスを服用しています。
タキソテールを6回終えた時点でのPETーCTは画像上完全消失し、腫瘍マーカーも正常値でした。
HERー2血清濃度 7.9
CEA1.1
CA15-3 14.4
NCC ST439 1.2
しかし一年後、先月の検診で、画像上は消失のままでしたが、腫瘍マーカーの血清HER2蛋白定量濃度の数値が毎回7から8で陰性だった数値が19.2に上昇、陽性になってしまいました。
他の腫瘍マーカーは正常値です。
陰性だったものが陽性になったということは再発の可能性が高いということでしょうか?
画像上見えないけれども血液中にこのままHER2蛋白が増殖して、
近々どこかの臓器に転移するのではと不安でなりません。
主治医はまた次回血液検査をして様子を見ると言っています。
あまり気にしなくていいとも言っていますが。。
パージェタを七ヶ月しかやらなかったのがいけなかったのでは(主治医が一年やる必要なしとのこと)などと思ってしまいます。
蛋白定量濃度が下がらない場合、また抗ガン剤をしなければならないのでしょうか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「蛋白定量濃度が下がらない場合、また抗ガン剤をしなければならないのでしょうか?」
⇒血中HER2はマーカーの1つにすぎません。
CEAやCA15-3が正常ならば、まずは慌てずに「次回(3カ月?)再検」で問題ありません。
再検でも「明らかに上昇傾向がある場合」には(PETなど画像で異常がなくても)「治療の再検討も考慮」となります。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、回答をありがとうございました。
改めての疑問ですが,血中HER2濃度が上がるという事態はどうして起きるのでしょうか?
検索してもなかなか腫瘍マーカーとしての説明も出ていないので、不安です。
抗がん剤で縦隔リンパ節転移が消えてもハーセプチンに耐性ができてしまったということでしょうか?
2016.1月から腫瘍マーカーの項目に入り、
4.3 ー7.2 ー7.2 ー7.9 ー8.3 と昨年まで陰性であるものの、そういえば少しずつ上がっていたのかなと思います。
そして一年後の2017.3月には
19.2の陽性になってしまったのですから、この一年間で少しずつ上昇していたのかもしれません。
初発で使えなかったハーセプチンとパージェタを使えるということで、
主治医も、完治を目指す今できる一番有効な治療と言っていたため、
再発治療に光明を見出していたのですが、こんなに早くハーセプチンの効果がなくなってしまったのでは。。。
と思うと希望が打ち砕かれたような思いでいます。
治療の再検討も考慮となると次にくる治療はどう言ったものが考えられるのでしょうか?今の治療の単独ハーセプチンに再びパージェタを加えても意味のないことなのでしょうか?
このまま血清濃度が上がり続けると、血中にHER2蛋白がドンドン溢れ出して全身に近々転移するのではと眠れない日々を過ごしています。
肝心な縦隔のリンパ節に形がないだけ、余計に不気味です。
田澤先生は、この状況での治療の再検討はどのようなものをお考えですか?
もうこのような状況での十年、二十年さきの長生きを望むことはとても無理なことなのでしょうか?やはり放射線治療もした方がよかったのでしょうか?
次の治療法も含め、何かアドバイスがあれば、教えていただきたいです。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「田澤先生は、この状況での治療の再検討はどのようなものをお考えですか?」
⇒質問者は私の前回の回答を見ていただいていますか???
もしかして前回の「私の回答」が質問者には満足できなかったのかもしれませんが…
同じ質問には同じ回答しかできません。
○前回の回答
「⇒血中HER2はマーカーの1つにすぎません。
CEAやCA15-3が正常ならば、まずは慌てずに「次回(3カ月?)再検」で問題ありません。
再検でも「明らかに上昇傾向がある場合」には(PETなど画像で異常がなくても)「治療の再検討も考慮」となります。
「次の治療法も含め、何かアドバイスがあれば、教えていただきたいです。」
⇒前回、回答してますよね???
まずは慌てずに「3カ月後にマーカー再検」してみることです。
そして、それでも明らかな上昇傾向がある場合に『ようやく、再検討も考慮』してください。
○この段階で「再検討は不要」そのように「前回」回答しているのです。