[管理番号:6371]
性別:女性
年齢:44歳
44歳
マンモトームの結果は以下です。
ER:100, PgR:80, HER2:3+, Mib(ki):25%
Histological Grade2, Nuclear Grade2
tb2, nc2, mt2 乳腺脂肪浸潤f(t)
肺、肝臓CTと骨シンチ診断結果より、遠隔転移は無し。
腫瘍の大きさは、2.2cmですが、横に広がっており、最大5cm程度と言われています。
これ以外にも周辺に1個の腫瘍り、詳細は5/(中旬)にMRIを予定です。
腫瘍が大きいため術前抗がん剤を勧められています。
この大きさで手術は可能でしょうか?
(エコーの結果よりリンパ転移は無さそうとの診断ですが、上記より正しいのでしょうか?nc2とはリンパ転移ありという事でしょうか?)
この結果で先生ならステージはどの辺りと思われまでしょうか?
周辺に1つの腫瘍がある場合でも術前の抗がん剤治療で、乳房温存の可能性はありますでしょうか?
先生の以前の質問の答えで術前抗がん剤してもいいHER2タイプは感受性があるので腫瘍が大きくなる事は少ないとおっしゃっていたのを見て少しでも腫瘍が小さくるのなら術前、でも先生の皆さんの質問に手術先行と答えられているのをみたら先に手術のほうがいいのか迷ってます。
家庭の事情なのですが12月には少しでも体調が落ち着いた状態でありたいです。
(娘が今年受験であることも気にしています。
年明けには少しでも彼女のサポートをしたいのです)
手術の後遺症はあるかと思いますが、先に抗がん剤治療を終わらせておけば、ハーセプチンだけなら副作用は軽いと聞きましたので。
あと、術前の抗がん剤治療も1回/3週間のFEC後に3ヶ月のタキソテール+ハーセプチン、術後にハーセプチン9ヶ月+ホルモン療法と言われています。
ACよりもFECの方が良いのでしょうか?
また、先進医療の適用可能性についても教えて頂けると幸いです。
文章がわかりにくいと思いますが返答頂けたら助かります。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「腫瘍が大きいため術前抗がん剤を勧められています。」
⇒??
術前抗がん剤を勧める理由にはなっていません。
術前抗がん剤を勧める理由は、あくまでも「小さくして温存」それだけです。
「この大きさで手術は可能でしょうか?」
⇒勿論、全摘なら何ら問題ありません。(乳腺を全部摘出するわけだから、腫瘍の大きさは無関係です)
「(エコーの結果よりリンパ転移は無さそうとの診断ですが、上記より正しいのでしょうか?」
⇒上記はマンモトームの病理診断のみの記載であり、リンパ節転移に関しての所見の記載はありません。
「nc2とはリンパ転移ありという事でしょうか?)」
⇒全く違います。
Nc2とはnuclear atypia(核異型)の略であり、mt2はmitotic counts(核分裂)とともにnuclear grade(NG 核グレード)の因子です。
(下記、参照のこと)
「核グレード」は「核異型の点数」+「核分裂の点数」です。
核異型 弱い:1点
中間:2点
強い:3点
核分裂 5個未満(10視野で):1点
5~10個 〃 :2点
11個以上 〃 :3点
核グレード(NG) 核異型の点数+核分裂の点数
2点、3点 :核グレード1
4点 ;核グレード2
5点、6点 :核グレード3
「この結果で先生ならステージはどの辺りと思われまでしょうか?」
⇒ステージは「腫瘍径」と「リンパ節転移」により決まります。
現時点の質問者からの情報からは cT2(腫瘍径2.2cm~5cm)cN0(リンパ節転移は画像上無さそう), cStage2Aとなります。
つまりステージ2Aです。
「周辺に1つの腫瘍がある場合でも術前の抗がん剤治療で、乳房温存の可能性はありますでしょうか?」
⇒もしも本当に多発ならば…
(それぞれが小さくなったとしても)「温存の適応外」です。
「先に手術のほうがいいのか迷ってます。」
⇒物事はシンプルに考えましょう。
多発の可能性が有るのであれば、術前化学療法をする理由がありません。(結局全摘となるのであれば)
「ACよりもFECの方が良いのでしょうか?」
⇒そんなことは全くありません。
「また、先進医療の適用可能性についても教えて頂けると幸いです。」
⇒ありません。
おかしな治療を選択すると、あとで必ず後悔します。
きちんと手術で摘出して、術後補助療法(この場合抗HER2療法)を行う事です。