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母の乳がんHER2強陽性 ステージ3 手術先行

[管理番号:6928]
性別:女性
年齢:65歳
病名:
症状:

①性別<女性>
②年齢<65>
③質問のタイトル<母の乳がんHER2強陽性 ステージ3 手術先行>
④質問文<下記参照願います>
⑤病名(HER2タイプ乳がん)
⑥症状(下記参照願います)
***⑦⑧は質問が2回目以降の方***
一度めです。

******
⑨同意事項の確認 確認しました

母親(65歳)に乳癌が見つかってから、こちらの乳癌プラザさんで勉強させていただいております。

先日家族への説明がありましたが、私(娘)は同席できず、同席した兄と叔母の話を総合して以下の内容を書いております。
不確かな部分もありますし、他の方の質問と重複してしまう可能性もあります。
中には田澤先生に聞くべきでないこともあるかもしれませんが、回答していただければ大変励みになります。
よろしくお願いいたします。

<経緯>
2018/10/(下旬) 別の病気(双極性障害)で入院中、自分でしこりを見つけすぐ
その病院にて触診→その日のうちに乳癌告知
■告知された内容
・しこりの大きさ3×4cmぐらい
・ステージ3ぐらいではないか

2018/11/(上旬) 家族とともに病状説明を受ける(この日までにMRIや生検などの検査をしています)
■ 告知された内容
・ 右乳房内側上部にガンあり
・ サブタイプはHER2 type:(HER2陽性のもの)。HER2 強陽性。

・ 明らかなリンパへの転移は一箇所(腋のみ)
・ 乳管に石灰化がある
・ 温存するか全摘にするか選べる
・ 手術は「右乳房切除術 腋窩リンパ節郭清術」
・ この日はステージの説明がありませんでした。

・ 術後、ハーセプチン及び化学療法を約1年
・ 放射線治療についての説明はありませんでした
・ リンパの転移についての説明の前後に、画像にははっきり映らないけど
小さいのがいくつか。。。
というような説明がありましたが、がんそのもののことなのか、リンパ節の転移のことなのかよくわからなかった。

・ 遠隔転移は無し

2018/11/13 手術予定

ご質問
■ 2018/10/24の時(MRIなどをする前)にはステージ3ではないかと言われていましたが、田澤先生のホームページに掲載されているステージ分類(https://nyuugan.jp/question/stage/)を拝見いたしますと、ステージ2ではないかと思えます。
腫瘍の大きさやリンパ転移の他にステージを決定する要素はありますか?
■ 温存でも良いと言われましたが全摘にすることにしました。
ここでも同じ疑問なのですが、乳がんのガイドラインを見てみますと、
(https://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q19/)、温存は基本的にステージ2までの方に適応となっています。
それを考えますと、ステージ3なのに温存でも良いという判断は何を意味するのでしょうか。
ステージ3で温存可能なのはどんな場合でしょうか。

■ 2018/11/05の段階で、放射線治療についての説明はありませんでした。

やらないものだと思っていましたが、全摘でリンパ転移一箇所でも放射線の治療をした方が良いという記事も乳がんのガイドラインにありました
(https://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q34/)。
主治医に確認した方が良いでしょうか。
また、全摘腋リンパ転移ありの場合でも放射線治療を行わない場合はありますか。

■ 乳癌が発見された場所が、右乳房上部なのですが、鎖骨のリンパには転移が今の所無いようです。
右乳房上部ですと鎖骨にとても近い位置ですので
それより遠いところにある腋リンパに転移するのが不思議です。
乳癌が発見された場所とリンパの距離は転移のしやすさに影響しますか?乳癌がどこにあろうと、転移しやすいのは鎖骨ではなく腋なのでしょうか。

■ 田澤先生の乳癌プラザQ&Aでは、「小さくして温存」以外の術前化学療法は疑問符ということでしたが、母の主治医も手術先行を選択しました。
母も乳がん発見から約20日後に手術ができることは喜んで良いでしょうか?
■ 執刀医ですが、外科で乳がん手術の経験は多数あるようですが、乳腺外科の専門医では無いようです。
がんの専門医(認定医?)ではあるようです。
専門医以外の医師の執刀には不安があります。
ですが、田舎のため他に選択肢がないのでこのままその先生でお願いするのですが…。
専門医以外の医師が執刀する場合のリスクはありますか?
■ 「画像にははっきり映らないけど小さいのがいくつか。。。」と説明されたのは、「乳がん自体が小さいのが他にあった」という意味なのか、「リンパに他にいくつか転移があった」のか、上記の説明から推測できますでしょうか。
兄と叔母そして母の話を総合しますと、石灰化が小さいのがたくさんあった、というふうにも取れました。

■ 他に細かいデータで主治医に確認すべき点はありますか。

■ 乳がんを告知された人間を励ますには、やはり具体的な生存率などを説明して自信を持たせるのが一番でしょうか。
先生の患者さんは、どのような声をかけられると勇気が湧く方が多いでしょうか。
先生の回答を多数拝見し、標準治療を淡々とこなしていけば生存率も悪くないと「私は」思っていますが、双極性障害のある母は落ち込んで泣いています。

■(中旬)日に手術を控えていますが、術後の傷の痛みはどれほどでしょうか。

私(娘)は帝王切開の経験があり、その時はすごく痛かったのですが、母の手術は筋肉を切らない表面的なものに思えますので、帝王切開よりは痛くないのでは?と推測していますがいかがでしょうか。
本人は若い頃盲腸の手術経験があるようですが、それよりも痛くないよーなどと言えたら励みになると思い、このような質問になってしまいました。

引き続き、乳がんプラザさんで勉強させていただきます。
どうぞよろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「ステージ2ではないかと思えます。」
→その通り。

「腫瘍の大きさやリンパ転移の他にステージを決定する要素はありますか?」
→ありません。

「ステージ3で温存可能なのはどんな場合でしょうか。」
→これは質問者の勘違いです。

 物事はシンプルに考えましょう。
 「温存可能=腫瘍から十分にマージンを取った切除でも(残した乳腺で)十分に整容性が保たれる」というだけの話です。

 想像してみましょう。
  (乳腺が小さい人)10cmの乳腺の人に5cmの腫瘍がある場合と、逆に(乳腺が大きい人)20cmの乳腺の人に5cmの腫瘍がある場合では、「後者の方が残存乳腺の割合が大きい=整容性が保たれる」そうですよね??

 簡単に言えば…
  同じ3cmの腫瘍でも「乳腺が小さい人にとっては温存は難しく」逆に、「乳腺が大きい人にとっては温存しても(十分に残存乳腺が残るので)整容性が保たれる=温存可能」となるのです。

「全摘腋リンパ転移ありの場合でも放射線治療を行わない場合はありますか。」
→3個以内なら(私は)やりません。

「乳癌がどこにあろうと、転移しやすいのは鎖骨ではなく腋なのでしょうか。」
→その通り。

 リンパ管にはルートがあります。
 「腋窩」→「鎖骨下」→「鎖骨上」なのです。  内側腫瘍の場合には「胸骨傍」に行くルートもありますが、実際にはほとんど行きません。

「発見から約20日後に手術ができることは喜んで良いでしょうか?」
→その通り。

「専門医以外の医師が執刀する場合のリスクはありますか?」
→その医師が「乳がんの手術は誰がやっても同じ」と思っているとしたら…

 そのこと自体「その程度のレベル」と露呈しているようなものです。

 ★実際には「専門医」だからといっても(大病院で)執刀する機会が少ない医師よりは、執刀機会がある(執刀件数がある)認定医の方が上手だと思いますよ。

「乳がん自体が小さいのが他にあった」という意味なのか、「リンパに他にいくつか転移があった」のか、上記の説明から推測できますでしょうか。」
→(文面から推測するに)
 どちらでもないようです。

 「小さいリンパ節がいくつか写っている(エコーなのかCTなのか不明)」が、
(CTでは造影されていないので)「(それらのリンパ節は)転移ではないと判断」しているけど、「少し気になるんだよなー」的なコメントのようです。

「他に細かいデータで主治医に確認すべき点はありますか。」
→レベル1だけ郭清するのか、レベル2まで郭清するのか? くらいですね。

「先生の患者さんは、どのような声をかけられると勇気が湧く方が多いでしょうか。」
→勇気というか…

 手術して、(術後に)普通に抗HER2療法を行えば治りますよ(再発率は低いですよ)というようなことですね。

「術後の傷の痛みはどれほどでしょうか。」
→全摘+腋窩郭清でも…

 当院なら「術翌々日に退院している」わけですから…(50歳代前半までは術翌日退院です)
 その程度だということです。